3月21日(月・春分の日)、春季大祭ならび柴燈護摩修法が斎行されました。
当日は早朝より霧が深く、また小雨が降っていたので、「今日はお祭りはありますか?」という問い合わせが多くあり心配していたのですが、祭典が執り行われる頃には参拝の方々も増えてきました。
11時、予定通りに祭典が執り行われましたが、例年と違うのは、今年は特別に舞の奉納があるということ。
それもごく一般的な神社祭典で奉納される巫女舞ではなく、『天の舞(あまのまい)』という、沖縄の久高島に伝わる特殊な舞です。
説明によると、山岳修験の霊山が女人禁制であったように、沖縄の久高島には男子禁制の地があり、ノロと呼ばれる女性神官が祭祀を行っていたのですが、天から伝えられた型を基に復元した舞のひとつだそうです。
六人の女性が輪になって「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ」と拍を取りながら舞います。
円の中心に天の理(ことわり)を降ろすという意味があり、決して一人で舞うことはできないそうです。
中心に光の柱を立て、それをまた天にお返しする、天と地を繋ぐという舞。
英彦山は天照大御神の御子である天忍穂耳命を祀ることから太陽の子=日子山と名づけられましたが、久高島には太陽神を祀る習わしがあり、それがご縁で英彦山での舞奉納となった訳です。
ここ高住神社には、豊前窟時代に天照大日孁命を祀る小祠があったと神社誌に記載されていることからも、日孁命(ひるめのみこと)すなわち太陽神、そして女性神とするならば、女性祭祀としての久高の舞はまさしくご神縁だったのかも知れません。
赤い着物に身を包んだ舞女の方々。実際に今日のために沖縄から来られた方もいらっしゃるようです。
大祭参列者も初めて見る舞に神妙に見入っています。
山を包む冷霧がまた神秘的な空間を作り上げていたのではないでしょうか。
この後、高住神社で収録されたシンセサイザー楽曲の奉奏、そして参列者を交えての沖縄踊りで多いに盛り上がりました。
いつも厳しい顔つきの総代さんも笑顔で手拍子して大喜び。
最後は立ち上がって一緒に踊っていました。
“神人和楽”という言葉がありますが、神様と人が共に楽しむ場がそこにあったように思えます。
そして午後からは柴燈護摩。
家内安全や身体健全、そして彼岸の中日もあって先祖供養を祈願する護摩木がうず高く祭壇に組み上げられています。
今年は先日の東日本大震災や福島原発事故もあって、早期復興と国家安全を祈願する札も多く見受けられました。
導師による祈祷の声も一際大きくあったように思えます。
見守る参拝者も山伏達の祈りとともに手を合わせて願っていました。
その心内は人それぞれ。我が身のこと、家族のこと、国のこと。
その願いは雨にも負けないほど強い護摩の炎とともに天高く舞い上がっていったことでしょう。
春のお祭りは、その年の安泰と人々の幸せを祈るものです。
私も職員を代表して、護摩木に原発事故の早期沈静化と被災地の復興、国民の願いが叶うようにと願いを託させて頂きました。
皆様の願いが届き、すべての国民が幸せに暮らせるようお祈り申し上げます。
この場を借りて、ご参拝頂きました方々、また祭典に携わった皆様、そして遥々沖縄より舞を奉納して下さった先生方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
次の柴燈護摩は11月3日(木・文化の日)です。
これからの護摩木は秋の護摩焚きに奉納いたします。