本日の高住神社の状況です。
◆曇り
◆16℃
六月一日、今日は更衣(ころもがえ)の日。
官公庁や学校では夏服へと衣服を替える日となっていますが、その風習は平安時代までさかのぼります。
宮廷では旧暦四月一日に冬装束から夏装束へと、そして十月一日より再び冬装束へと衣装を着替えていたそうです。
催馬楽(さいばら)と呼ばれる、同時代の貴族に好まれた歌謡に「更衣(ころもがへ)」という歌があります。
更衣(ころもがへ)せむや さ公達(きんだち)や 我が衣は 野原篠原(しのはら) 萩の花ずりや さ公達や
〈衣替えをいたしましょう 私の衣は野原や篠原の萩の花で染めた衣でございます〉
季節に衣服を替えることを謡ったものですが、”さ公達や”というのは呼びかけの囃し詞。「さあ、みなさま」といったものでしょうか。
萩は秋が花期だからなのか、春夏にはハギノハノスリ、秋冬にはハギノハナズリと変えて歌ったとも。
調べてみると男女の衣服交換を暗喩している・・・なんて大人なダブルミーニングもあったりと、 昔は詩歌に恋情を乗せて伝えていたのでしょうね。
催馬楽は民謡や風俗歌を大陸から伝わった管弦楽の旋律にあわせて歌うもので、雅楽の一種として今も歌われています。
着物が増えた江戸時代にはさらに細かくなり、そして新暦を取り入れた明治時代になって現代の基盤となる6月1日・10月1日と衣替えの日が定められました。
衣類の差、暦の差はあれど、季節感を大切にした日本人の心を大切にしていきたいものです。
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さて、写真はたまたま境内で見つけたシカの赤ちゃん。
鹿の子模様がはっきりとしてますが、大きさからすると産まれてさほど経ってないのでしょう。
そう遠くないところから甲高い鳴き声が数度聞こえてきたので親かも知れません。
はぐれたのか身を案じて隠れていたのか、人の匂いがつかないようそっと放っておいたら、翌日いなくなっていたので無事に旅立ったようです。
自然には人間が介入してはならない境界線があります。
鳥も獣も幼いうちは可愛くて手を出しそうになりますが、静かに見守ることも自然を「護る」こと。
自然の領分と人の領分、混じりつつけれど交わることなく、うまく調和させながら棲み分けをしていくことが大切なことなんだと思います。