本日の高住神社の状況です。
◆曇り
◆4℃
Fさんが英彦山に登ってきたときの山の様子を。
朝方は靄がかかっており、視界もあまり良くなかったそうです。
北岳から登っていく途中、ヤマガラが枝に止まっているのが見えたとか。
鳥も羽毛をふくらまし、寒さから身を守っているのでしょう。
日が昇り始めるにつれ少しずつ青空がのぞき、ガスも晴れてきた様子。
木々の根元から雪が解け始め、黒い穴が開いているように見えます。
この写真を見て思い出したのが、加山又造の「冬」
寒風吹き荒ぶ荒涼とした冬山。
丸裸になった林をさすらう二頭の狼と、その傍のか細い樹で羽を休める一羽の烏。
遠くには烏の群れが飛び交い、群れからはずれた烏は頸をうなだれて孤立しているようだ。
餌を求めさすらう狼、そして孤独な烏が、冬山の寂寥感を際立たせている。
雪雲が覆う冬の山はどうも寂しげで、見ているだけで憂いがちになってしまいます。
冬山の靄の中で見つけた一羽のヤマガラ。
自然の生命活動が静まる冬の時期は、一つ一つの命がことさら際立って見えます。
その小さな生命と出逢ったFさんがどういう気持ちでシャッターを切ったのか。
私には写真を通して想像する他ありません。
おそらく、独りで登る自分と孤独な鳥とを照らし合わせ、寂寥とした冬景色に見つけた小さな生命の温もりがとても輝いて見えたのでしょう。
人間が気づかぬ間に、厳しい冬山を生き抜く生命の物語がどこかで起こっている。
この冬山を登った人間しか味わうことのできない、きっと素晴らしい出逢いがあるように思えます。