芥川龍之介鑑賞 春の句6
春寒やのび損ねたる日陰独活

白酒や障子さしたる風曇り
沈む日や畑打ちやめば海の音
蜂一つ土塊噛むや春の風
春寒き小包解けば和布かな
軒先に和布干したる春日かな
桃煙る中や筧の水洩るる
春雨や作り木細る庭つづき
ゆららかや杉菜の中に日は落つれ
春に入る柳行李の青みかな
春寒やのび損ねたる日陰独活

白酒や障子さしたる風曇り
沈む日や畑打ちやめば海の音
蜂一つ土塊噛むや春の風
春寒き小包解けば和布かな
軒先に和布干したる春日かな
桃煙る中や筧の水洩るる
春雨や作り木細る庭つづき
ゆららかや杉菜の中に日は落つれ
春に入る柳行李の青みかな
のび損ねたる の措辞に龍之介の心情が現れているようだ(丈士)