夕狩の野の水たまりこそ黒瞳 金子兜太
兜太さんらしい野趣にあふれた一句だ。
彼の生き様は狩人のように思える。
妥協をよしとせず、生涯挑戦の連続だった。
夕狩に遭遇した水たまりを黒い瞳と形容する、
この比喩こそ兜太さんの世界だ。
初学の私には句意の全容は解明し難いが、
この黒い瞳こそが真実を、正義を映すのだと語る
兜太さんを感じる。
夕暮れの冬野に孤高の狩人、兜太さんの姿が見えてくる。
余談になるが受ける情報の八割は目からのものだと言われる、
私は視力が極端に劣るので記憶を呼びさましたような句が多い、
これもそんな一句だ。
祖父の目の尖った記憶鶏合たけし