竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
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東西南北より吹雪哉 夏目漱石

2019-01-15 | 今日の季語


東西南北より吹雪哉 夏目漱石

エンタツ・アチャコの漫才コンビで有名だった花菱アチャコのせりふではないが、「もう、むちゃくちゃでござりまするワ」という物凄い吹雪。「東西南北」は「ひがし・にし・みなみ・きた」と読むと、五七五音におさまる。ただ、物凄い吹雪ではあるけれども、アチャコのせりふと同じように、悲愴感はない。巧みな句でもない。作者は、この言葉遊びめいた、ちょっとした思いつきを楽しんでいるのであって、漱石にとっての俳句とは、ついにこのような世界で自適することにあったのかもしれぬと思う。『漱石俳句集』(岩波文庫)所収。(清水哲男)

視界ゼロ吹雪く山頂無一物 平田青雲
地吹雪に道閉ざされてしまひけり 加藤栄女
吹雪く中葬列に手を合はせけり 加藤栄女
地吹雪へ列車引く子を送りけり 加藤栄女
地吹雪や石像のごと尻屋馬 飯田知克
地吹雪に連れ去られさう下校の子 高瀬博子
五戸の谷吹雪く一戸の通夜あかり 境江富美江
地吹雪や背中で進む通学路 坂一草 吹雪
冬空に舞ふ進水の紙吹雪 亀井朝子 冬の空
地吹雪や二の橋までは見えてをり 藤野尚之
鈍行を鈍行が待つ吹雪かな 杉田とみ子
ホスピス棟吹雪にかすむ窓の夫 竹内静子
吹雪を来し子の瞳けものの光持つ 小原賢哉
地吹雪を踏みつぶし行く五能線 森岡正作
地吹雪や蝦夷はからくれなゐの島 櫂未知子