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葱坊主どこをふり向きても故郷 寺山修司
葱坊主(葱の花)を見て、ロック歌手の白井貴子が「わあ、かわいい」と、昼のNHKテレビで言っていた。途端に私は「ああ、そう言われてみればかわいいな」と、はじめて思った。中学生のころの私には、なんだかとても寂しげな姿に見えていた。それこそ同じ坊主頭だったから、どこかで親近感を覚えていたのかもしれない。どうひいき目に見ても、ちっとも立派じゃないその姿が、このまま田舎で朽ち果てる自分の運命を暗示しているようにも見えたのである。とにかく、わけもわからずに大都会に出ることだけを夢見ていた少年の句だ。こう言っても、あの世の寺山修司は苦笑してうなずいてくれるだろう。『われに五月を』所収。(清水哲男)
【葱坊主】 ねぎぼうず(・・バウ・・)
◇「葱の花」 ◇「葱の擬宝」(ねぎのぎぼ)
葱の花。4、5月頃、葉の間から茎が伸びてっぺんに白い無数の花が集まって球状をなすので、そのさまを坊主に見たてる。また、擬宝珠に似ているので、「葱の擬宝」ともいう。
例句 作者
葱坊主子を育てては嫁にやり 成瀬櫻桃子
音のなき刻の不思議に葱坊主 神蔵 器
うすうすと花の透けたる葱坊主 辻 桃子
流人めく勤めや葱坊主を愛す 菅原鬨也
雨読して他所の畑の葱坊主 千田 敬
葱坊主みな不器用の独り立ち 柴崎左田男
たわいなき意地張ってをり葱坊主 福田安子
時間からこぼれてゐたり葱坊主 橋 閒石
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