竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

残菊に佇ちて返せる歩なりけり 木下夕爾

2021-10-28 | 今日の季語


残菊に佇ちて返せる歩なりけり 木下夕爾

咲いている残菊にしばらく時を忘れて見入ってしまった
作者はふと思いついたように歩を返したという
歩の用向きを変えたのか、あきらめたのか
作者はそこは読み手に任せていて上手い
(小林たけし)


【残菊】 ざんぎく
◇「残る菊」 ◇「菊残る」 ◇「十日の菊」
秋の末まで咲き残った菊。9月9日の重陽の日は「菊の節句」ともいい、重陽過ぎての菊ということから、盛りを過ぎたあるいは季節はずれの意味を含む。

例句 作者

地に臥してなほ残菊の蕾かな 浅野白山
残菊や日翳りやすきをんな部屋 木下妙子
父の忌の庭を掃くなり残る菊 井本農一
十日の菊なれどと届きみづみづし 能村登四郎
残菊に丸薬を干す小縁かな 巌谷小波
残り菊腹式呼吸するが勝ち 木戸渥子
残菊といふ残菊とおもはねど 片野順子
残菊の波浴びる時青くなる 吉村毬子
残菊や焰灯していつかパリに 上原祥子
残菊や空の奥まで日のさして 櫻井ゆか

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