そこまでがつひ長くなり星月夜 2016-08-14 | 秋 そこまでがつひ長くなり星月夜 天の川の夏空が終わると なんよも鮮やかな秋の星空があらわれる 君をそこまでと声をかけて送る とりとめのない話が弾んで 驚くほどの時間と距離を歩いていた そんな青春は満天の星空だった
蔦紅葉夕闇はやき天主堂 2016-08-13 | 秋 蔦紅葉夕闇はやき天主堂 天主堂という言葉の響きが気に入っている 店主様という言葉にも懐かしい親しみを覚える 幼年期に協会の日曜礼拝に通っての 牧師様のお言葉が脳裏に焼き付いているのかも知れない 歴史ある天主堂の壁の蔦は紅葉する季節がくる
要らぬもの一際目立つ九月かな 2016-08-12 | 春 要らぬもの一際目立つ九月かな 立秋の声をきくと 夏日のつづくなかにも時折は秋の風を感じる 夏の間に乱雑になった部屋を見渡すと 整理整頓するよりは まとめて廃棄するものばかりに見えてきた
いつだって不承不承や桐一葉 2016-08-11 | 秋 いつだって不承不承や桐一葉 桐の葉が落ちるときはなかなかの光景だ 風もないのにパラリと枝を離れて地に 這いばるように落ちる 何かを待ってぎりぎりまで頑張ったがついに精魂つきたかのようである それでも未練はまだまだ残る
ラマダンに入る枯色のいぼむしり 2016-08-10 | 秋 ラマダンに入る枯色のいぼむしり 蟷螂は枯葉のような擬態をする 旧くから蟷螂自体が枯れるとした俳句がたくさんある 云いえて妙なると納得だ おそらく長期間 飲まず食わずで体力を温存して春をまつつもりらしい ラマダンに入るのだから外敵も襲わないのかな *越冬する蟷螂はまれで10月ごろ卵を産み幼虫は春に孵化するのだが
ヘルメット脱ぎて盆僧現るる 2016-08-09 | 秋 ヘルメット脱ぎて盆僧現るる 盆は七月と八月で地方によって使われ方が違う 最近は夏休みの関係もあるのか八月が主流だ 盆には旦那寺の僧が檀家を回って経を読むしのだが わが寺の和尚はオートバイを駆ってやってくる ヘルメットを脱げば立派な僧と変身でsる
旱田や鉄塔の影折れかかる 2016-08-06 | 夏 旱田や鉄塔の影折れかかる 関東はゲリラ豪雨がここのところのニュースだが ダムの貯水量は50%を切っていて水不足の危険域にある 田畑への水遣りもおぼつかない 亀甲紋は未来社会への警告を告げる託宣のようだ ここに映る鉄塔の影は ほとんど溶けて折れかかっている
またひとつ原発稼働蟬しぐれ 2016-08-05 | 夏 またひとつ原発稼働蟬しぐれ 生物は創造主の思し召しで種の保存に法則があるという 即ち永遠の種を保つために適正な生命を維持するものらしい 一定量を超えると集団で死んでみたり 少なくなると天候の異常などに便乗して大量発生したりする さて人類の原子力発電所 人類を大幅に減少させるための 創造主の仕業なのではないだろうか 戦争もそうした理由によるものだったのだと思う
国ぢゆうの石は露座仏終戦日 2016-08-04 | 秋 国ぢゆうの石は露座仏終戦日 1945年8月15日 終戦記念日 全面降伏をした廃線の日をこの国は終戦と呼ぶ つくろいのような気恥しい気持ちになる 日本全土を焼土から救ったという記念日なのだろう この日は国中の石が磨崖仏 戦争犠牲者の御霊のように感じる
返事には一呼吸おく木下闇 2016-08-03 | 入選句 返事には一呼吸おく木下闇 緑陰/片陰など夏の翳りをあらわす言葉は多いが 木下闇に魅入られている なかなか成功しないがいずれは納得の1句を詠みたいと思っている 木下闇にいるといつか一人の世界にはいっているようだ 連れから話しかけられても返事は一呼吸遅れてしまう 話しかければ相手もまた同じようだ 入選 2016/8/3 朝日新聞 栃木俳壇 石倉夏生選
足下に湯釜の秋やとうやくりんどう 2016-08-02 | 秋 足下に湯釜の秋やとうやくりんどう 白根山の湯釜 二人の娘が中学生のころに上った その娘の子供たちが小学生のときに上った いずれも夏休みの今頃の季節だった 白根山の標高が高いので 少し早めの秋を足下に発見したものだ 高山植物のとうやくりんどう
かなかなや黄色い声の消えた村 2016-08-01 | 夏 かなかなや黄色い声の消えた村 日暮らし は朝と夕に鳴くのだという 蟬はなく時間をその週類で分け合っているのかもしれない 種の輪廻は、まことに不思議 創造主の深慮遠謀に脱帽するばかり 黄色い声は子供らのこと 人は愚かにもその種を逆ネズミ算のように減少させている