竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

菜畑の波の間に間にかくる声 たけし

2018-01-13 | 
菜畑の波の間に間にかくる声



孫娘二人をつyれて猪苗代湖へ行ったのは
もう15年も前だ
菜の花畑の中で見失って大慌てしたものだ
孫たちに悪戯されたのはこれが最初だった(笑)


原句発表 2013/2/15 岳36-4  
菜畑の波にのまれて小さき声
原句は報告と情景描写に終わっていた

風とりどり終の棲家の黄水仙 たけし

2018-01-12 | 
風とりどり終の棲家の黄水仙



この家を終の棲家と定めて40年ほどになる
子供たちも成長し
孫の声も賑やかだった
その家族たちにもさまざまな出来事があった
妻も私もいまは老いたが
過不足のない人生に悔いはない
庭の黄水仙が風に歌っているようだ



発表 2013/2/15 岳36-4

大マスク防ぎにあぐぬ大陸禍 たけし

2018-01-11 | 
大マスク防ぎにあぐぬ大陸禍




大陸からの黄砂塵
この季節になると大型のマスクが目立つ
黄砂は江戸時代から飛んできていたようだが
最近は黄砂どころかミサイルまで
到底マスクでは防げない



原句発表 2013/2/15 岳36-4

大マスク防ぎあぐねし大陸塵
大陸塵は黄砂のことで
大マスクと季語が重なる
大陸からは黄砂を凌ぐ災禍がやってくるので
大陸禍としてみた

長命と云ふ不治を病み牛蛙 たけし

2018-01-10 | 
長命と云ふ不治を病み牛蛙



存えば良いというわけにはいかない
知力、体力、気力の衰えはもちろんだが
思考も見てくれも貧弱になるばかり
長命とは不治の病に似ているような

発表 2016/2/25 栃木県作家協会





春光や園児総出のフレスコ画 たけし

2018-01-08 | 
春光や園児総出のフレスコ画



栃木県の県北の保育園と幼稚園
春の日差しの中で
たくさんの園児が外塀に絵を描いていた
よくみればフレスク画
先生の指導よろしく微笑ましい
池面に春風がそよいでいる


発表 2017/4/1 遊牧108




求道のごとく箒目さくら守 たけし

2018-01-08 | 入選句
求道のごとく箒目さくら守




庭に今年成人式を迎える孫が生まれた時に植田桜がある
立派な大木になっていて
毎年楽しませてくれる
この20年間
家族の成長と変化とともにあった
私も喜寿ちかくなって
求道者のような心境にもなる
桜の花を掃き集める時
来し方の無事にただ感謝するのである


発表 2017/3/27 地梼圏71

2017/3/27 毎日新聞 西村和子和子

紙雛この家のをみな妻ひとり たけし

2018-01-07 | 入選句
紙雛この家のをみな妻ひとり



娘が二人
四人の孫のうち三人が女
母に義母
妻を数えて女が八人という家族だったが
現在は女性は妻一人
妻が紙を折って雛人形を作っている
雛人形を出してきて飾ることもなくなった

発表 2017/3/13 地梼圏71
このブログでの投稿名を長らく流伴としてきましたが
「たけし」と改めました、こちらは本名「武」のひらがな表示です
よろしくお願いいたします

発表 毎日新聞 小川軽舟 2017/3/23



奥津城のなにも動かず余花曇 流伴

2018-01-06 | 
奥津城のなにも動かず余花曇




奥津城は墓域
時期におくれた余花がさびしく
おりからの川風にゆらいでいるが
他に動くものは無い
無音の静寂があるばかり
この景は昨年もまたその前年も同じ
くもった空も同じようだ
悠久の時の流れ
何も変わるものは無い


発表 2016/9/25  地梼圏

裸電球いくさのあとの紙雛 流伴

2018-01-05 | 
裸電球いくさのあとの紙雛




終戦の後の初めての春
焼跡にはバラック小屋がたくさん
私は空襲の爪痕深い横浜に住んでいた

雛祭ちかくに妹は
裸電球の下で誰におそわるわけでもないのに
帰らぬ父を偲んで紙でお暇様を折っていた


発表 2016/4/1 遊牧102

風花や峠に朽ちし道しるべ 流伴

2018-01-04 | 
風花や峠に朽ちし道しるべ




リタイアしてしばらくの期間
あちらこちらの山をトレッキングしていた
ツアーに参加したこともあったが
単独行は思いがけない体験もあって楽しかった
金時山から足柄峠に抜けた時、道に迷ったこともあった
朽ちかけた道標を読み違えたのだった
おりからの風花を忘れられない


原句発表2016/2/3 地梼圏66
 
風花や一本道の道標
一本道の場所を特定した

薬喰理性のへこむ好奇心 流伴

2018-01-03 | 
薬喰理性のへこむ好奇心



げてもの料理には勇気が必要だが
その味覚には魅せられる
一度はまるとその好奇心は膨張する
薬膳料理にもそのきらいはあえう
おそるおあおる箸をつけるのだが
いつか理性は飛んでいる

発表 2016/2/2 街118x

顔ぢゆうに構え漲る大くさめ  流伴

2018-01-01 | 
顔ぢゆうに構え漲る大くさめ





嚏の出る時じゃ途中で停まることはできない
でる瞬間には大きく構えるかたちになっている
矜持も威厳もあったものではない
鼻水まで吹き飛んでからには
しならく声もない


発表 2015/12/10 街117