ケンのブログ

日々の雑感や日記

単純なやりとり

2020年07月03日 | 日記
大阪でも最もディープな地域の一つと言われているところにあるドラッグストアーにおばちゃんが入ってきた。

「ここに並べてある薬、どっちも同じような感じやけどこっちのほうが値段が高い言うことはこっちのほうが効くんかなあ」とおばちゃんは言った。

店員の方はあっさりと「はい、そうです」と言った。

「ほんならこっちにするわ」とおばちゃんはその高い方を買ってお店を出ていった。

僕は文字を読むということが割と習慣になっているからドラッグストアでも類似の商品が置いてある時は薬の成分を見ることが多い。

大概の場合は類似の市販薬は価格が違っていても成分はほとんど同じということが多いから、見比べて成分が同じ、あるいはほぼ同じというときは価格のやすい方を買うことが僕は多い。まあ、処方薬で言えばジェネリックを選ぶ場合が多いということだろうか。

おばちゃんはその点、僕とは真逆の買い方をしたということになる。

店員さんも違うなとおもう。高いほうが効きますかと問われて、あっさりとそうですと答える店員さんは最近少なくなってきた。

お客様の体質にもよりますし、などど明確な答えを避けて、お客さんの自己責任で薬を買うように誘導する店員の方が多くなってきているように思う。

しかし、おばちゃんの薬の買い方はある意味とても正しいとも言える。

薬には効くと思って飲むと効くという実験結果もあるらしい。

いわゆるプラセボ効果というもので有効成分の全く入っていない錠剤をこれは効きますと言って飲ませるとそれを信じて飲んだ人は症状が治るというものだ。

それをプラセボ効果という。

高いから効くと単純に信じて買っていったおばちゃんはきっと薬が効いたことと思う。

思えば昭和の時代は薬局に行ってお腹が痛いですというと薬剤師の方が、それならこれですと言って出してくれた薬を単純に買うという場合が多かったようにおもう。

僕も学生の頃、友達の家で吐き気をもよおして、友達が単純に薬局で勧められた薬を買ってきてくれてそれを飲んだら見事に治ったという経験がある。

そのさまを見た友達も「やっぱ薬って効くもんやなあ」と感心していた。

ディープな地域でのおばちゃんと店員の方のやり取りはプラセボ効果ということを考慮に入れれば極めてまっとうな言葉のやりとりであるように思う。

最近、こういう素朴な場面に遭遇することが少なくなってきたなと思う。

薬局で薬の成分を見てネットで同じ成分の薬をもっと安く買うという人もいるくらいだから、、、。

たまにこういう素朴なやりとりを聞いていると心がホッとする面があるなと思う。