別名「ルリカラクサ」
英名は「ベイビーブルーアイズ」
こぼれ種で、思いがけないところから、芽をだしてくれます。
さて、この「人ったらし」は、一体誰でしょう?
亀和田 武著 「人ったらし」より
「人ったらし」は、水を飲む姿さえサマになる。
原稿を書く商売を始めてから、ずいぶんたくさんの人に会って、インタビュー記事を書いた。
・・・・・
そうしたなかに、ほんのちょっとした身ごなしが、私の目にとてもあざやかなものに映り、ときおりなにかの拍子でそのときの姿がいまでもよみがえる人がいる。
その日のインタビュー相手は日本でも当時一、二の人気を誇るバンドのヴォーカリストだった。
デビュー盤が爆発的にヒットしただけでなく、二枚目、三枚目のアルバムでも新境地を拓き、クオリティー(中身)とセールス(人気)の両面で、あっという間に、日本の音楽シーンの頂点に君臨する存在になっていた。
・・・・
指定されたのは、渋谷の道玄坂をずっと上った先にある録音スタジオだった。
私たちが一階のティールームに着いてしばらくして、彼がマネージャーも伴わずに、ふらりと一人で現れた。
たぶん編集者はカチンカチンに緊張しながら名詞を渡し、
「お飲み物は?」
とか聞いていたのだろうが、そのへんのやりとりはさずがに覚えていない。
私が覚えているのは、テーブルをはさんで私たちの向かいの席に座った彼が、次の瞬間に体をひねって、店の隅にいた女の子に
「オネーさん、お水ね」
といったときの声の調子と身のこなしだ。
・・・・
疲れているのかな。
気むずかしい性格なのだろうか。
そんな懸念が心に浮かび始めたその瞬間に、彼の口からさりげない調子で発せられた
「オネーさん、お水ね」
の一言だった。
その場の空気が一瞬で、しかもむりなく自然に変わった。
・・・・
「オネーさん」
という言葉を口にして、これだけサマになる人は滅多にいないぞ、とも思った。
大体「オネーさん」という呼び方それ自体が、死語とはいえないまでも、口にする側にデリケートな配慮が求められる言葉になっている。
・・・・
でも、このときの
「オネーさん、お水ね」
はかっこ良かった。
・・・
「オネーさん、お水ね」。
こんなどうってことのない一言でもって、
「人ったらし」
はその場の雰囲気を一変させることができる。
肩の力を抜いた余裕のようなものが、その場に居合わせた全員にじわっと伝染していく。
さて、この人は一体誰でしょう?
答えは、CMの後で・・・。
録音スタジオがある場所で、ピンときた方は、かなりの通。
そうです、サザンの桑田桂祐さんでした。
同じ言葉でも、なぜか素敵に聞こえるから不思議です。
これはもう生まれ持ったものと私はおもうのですが・・・。
逆に、何を言っても、皮肉に聞こえてくる人もいますが。
しか、男性は大変ですよね、女性に声をかけるのに、気をつかわなくてはいけなくて。
名前を呼ばれるのが女性からすれば一番嬉しいのですが、名前を知らない時は、
「オネーさん」
も
「おばさん」
とちらも、ちょっとね~。
「すみませんが・・・」
これが一番無難ではないでしょうか?
今日の私の小さな幸せ
昨日、ワラビ取りに行ったんです。
重曹で、一晩アク抜き。
今日は、揚げと一緒に、煮てみました。
日本酒にあうんですね~、これが。