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夜更けより静かな場所

2025-02-01 19:53:48 | 読書

 

 

とても読み心地のいい本に出会いました

岩井圭也著

「夜更けより静かな場所」

初読みの作家さんです

 

帯には

古書店で開かれる深夜の読書会で、男女6名の運命が動き出す。

直木賞(2024年上半期)候補、最注目作家が贈る「読者へのラブレター」。

じわりと泣ける瑞々しい群像劇

一冊の本が、人生を変える勇気をくれた。珠玉の連作短編集!

 

古書店の名前は「深海」

還暦過ぎの店主の姪が、この古書店をこう表現します

 

一日中暗くて、ひんやりしていて、人気(ひとけ)がなくて、奥には愛想の悪い主が居座っている。

まるで海の底にあるみたいな、誰からも忘れ去られたような古書店。

<深海>という名前は、店にぴったりな気がした。

 

この大学生の姪、吉乃が

「おすすめの小説とかありますか?」

と叔父である店主に尋ねたところから、物語が動き始めます

 

渡された分厚い本に感動した吉乃

この気持ちを誰かと分かち合いたいと思います

叔父さんは、それならばと

「読書会でも開いてみるか」

と言います

深夜零時から2時までの深夜の読書会

参加者は吉乃を含めて6人

はじめて会う人ばかりだが、みんな本好き

(一人だけは吉乃が好きで参加したのだが)

 

順番にそれぞれが選んだ課題図書で読書会が開かれます

 

自分が選んだ本が自分と同じように感動するとは限らない

この主人公には共感できない等という感想を聞けばカチンとくる

読書会は熱をおびたり、沈黙が支配したりします

 

そんな時、店主遠藤さんが静かに言葉を掛けます

 

「登場人物への共感は、必要でしょうか?

そもそも、すべての物語に共感することは不可能です。

所詮、現実世界でも他人とわかりあうことなんてできないのですから」

と言います

 

6人共に、人生に行き詰っていたり、悩みを抱えています

しかし、本が彼や彼女たちの背中を押します

 

最後に吉乃は

 

もしかしたら、わたしたちは常に家族や友人や職場の人と、

読書会をしているのかもしれない。

課題図書は、おのおのの人生だ

と思うのでした

 

この本、各所に心にストンと落ちる言葉が散りばめられています

こんなに沢山の付箋を本に貼ったのは久しぶりです

 

私は、時代小説が主食で和定食好き。

お造りがあって、天ぷらがあって、茶わん蒸しもついていて、みたいな

この本は、白い大きなお皿に綺麗な色のソースで線が描かれているフランス料理みたいな感じ

とってもおしゃれで素敵です

岩井圭也さんって一体何者?

 

多分今年一番の本になりそうな気がします(まだ1月が終わったばかりですが)

お勧めです、本当に!

 


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2 コメント

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tamiさんへ (U1)
2025-02-02 21:14:03
こんばんは。
紹介していただいたこの本、
読みたい本リストに書いておきます。
読みたい本が何冊もあります。読むとすれば、春になってからかと思います。
返信する
寒いですね~ (tami)
2025-02-04 17:24:19
>U1 さんへ

ここ大分も朝から小雪が舞いました。
そちらは雪が積もっているのでしょうか?

この季節はやはり読書。
いい本に出会えると、あ~この本を読まずに人生を終えなくて良かった~って思います。(笑)
今、宇江佐さんの「寂しい写楽」を読んでいます。
宇江佐さんにしては少し文章が堅いかな?
な~んてね。

寒波の襲来、風邪などひかれませんように。
返信する

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