藤岡陽子著
「森にあかりが灯るとき」
「森あかり」
という名前の特別老人ホーム
ここで働く登場人物の立場から介護現場の実情を知る
まずは介護士として働く溝内星矢
福祉大学を出た後、お笑い芸人になるも挫折
そして「森あかり」で働きだして日がまだ浅い
まだまだ経験が浅く失敗が続く
だから介護現場で疑問に感じたこともストレートに物を言う
そんな彼は利用者さん達に好かれている
人生って上書きの連続じゃないですか。
昨日嫌なことがあっても今日いいことがあったら、
人生はいいもんだなって思えるし
今笑えていたら大丈夫
と思っている
そして、ここで医師として働く葉山先生は
延命至上主義の看取りはやめにしたい
と常々口にする
しかし、施設長は体調が悪くなったら病院に送りたいと思う
利用者の倉木さんは
病院には行きたくない、ここで終わりたいと願う
葉山先生に倉木さんは言います
あのね、先生、私くらいの年になると、頭も体も思うようにならないんです。
不自由な体で、暗い森の中を歩いているようなものです。
昼間でも日が当たらず、夜になると暗くて前が見えなくて、
そんなところをふらふらと死ぬまで歩いている感じなんです。
そうやってふらふら歩いていると、時々、チカッチカッって光が見えるんです。
蛍のような淡い光じゃなくて、灯台の光線のような目が覚めるほど強い光です。
その正体は、若い人が仕事を頑張っていて、とても忙しそうで、
でもなにもできなくなった自分には眩しく見えるんです。
介護現場は本当に大変なわりに恵まれてはいない
友達も膝を悪くして手術してリハビリ中
恵まれてなくても懸命に利用者さん達の意思や尊厳を大事に思い寄り添っている
その気持ちが介護される人の心に光を灯している
介護士さんの顔から笑顔を消さないように
少しでも介護現場が改善されるといいのですが
重いテーマの本なのに
ストレスを感じず、読後感もとてもいい
流石藤岡陽子さんです
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