「池中玄太80キロ」(80)(1980.5.26.)
西田敏行主演のアットホームコメディ。編集長役の長門裕之や同僚カメラマン役の三浦洋一、坂口良子らとのコミカルなやり取りや、血のつながらない子どもたちとのちぐはぐさが、何ともいえないいい味になっている。
毎回、後半にちょっとホロリとさせる場面が用意されており、その辺りに、かつて石立鉄男主演の一連のホームドラマを手掛けた松木ひろしの脚本のうまさが出ている。
「池中玄太80キロパートⅡ」(81)(1981.8.29.)
ついに玄太が終わってしまった。最近テレビ離れのきらいがある自分にとって、唯一毎週欠かさず見ていたドラマだった。前作の気を持たせた終わり方からして、きっと続編ができるだろうとは思っていたが、まさかこれほど夢中になるとは思ってもみなかった。
とにかく西田敏行が素晴らしいのである。そのがむしゃらぶり、ユーモアとペーソス、彼の人柄もあるのだろうが、何とも温かいのである。それに加え、長門裕之、三浦洋一、坂口良子、三人の娘たちから脇の脇に至るまで、皆愛すべき人物なのだからどうしょうもない。
実際、血もつながっていない子どもを三人も実の親以上の愛情を持って育てるというストーリーは現実離れをしているのだが、その中から親子というものについて改めて考えさせられた。
特に深刻ぶるわけでもなく、笑っているうちに、ふと、こんなことは俺んちにもあるなあという感じなのである。一見、ドタバタと落ち着きのないドラマのように見えるが、テーマがしっかりしていたということなのだろう。
また、玄太が特にかっこいいわけでもなく、ドジで無類のお人好しで、今時天然記念物みたいなやつだから、どうしても毎週見守ってやりたいような気にさせられてしまったのだ。
そして、味気ない毎日を送っている自分にとって、この土曜の夜9時という時間だけは、穏やかな気分でいられたような気がする。玄太が終わって確実に楽しみが一つ減ってしまった。