朝ドラの「ひよっこ」、今週のサブタイトルは何と「ビートルズがやって来る」だ。
昭和30~40年代を舞台にしたこのドラマは、これまでも、加山雄三の「恋は赤いバラ」を海で歌うような、いいシーンがあったが、今週は1966年の6月末から7月初頭にかけてのビートルズの来日にまつわる騒ぎを描いている。
ドラマーでもあるシシド・カフカが「私はリンゴが好き」と語る楽屋落ちも楽しい。それにしても、チケットの抽選に応募させるために、ライオン歯磨きは相当儲けたのだろうなあ。
で、ビートルズが宿泊したのが、赤坂の東京ヒルトンホテル(後のキャピトル東急ホテル)。そうか、それでヒロインのみね子(有村架純)が働く場所を赤坂にしたのか。
そのビートルズをこよなく愛する、おかっぱ頭の“変なおじさん”の宗男を演じている峯田和伸がいい味を出している。
インタビュー記事は↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1113548
そんな展開を楽しく見ながら、この2年前の64年に、ビートルズが初渡米した際の騒動を描いた『抱きしめたい』(78)というキュートな映画があったことを思い出した。
初見の際のメモを。(1982.8.12.自由ヶ丘武蔵野推理劇場.併映は『レット・イット・ビー』)
昨日のトビー・フーパーの『ポルターガイスト』(82)に続いて、スピルバーグがプロデュースした映画を見た。ロバート・ゼメキスの『抱きしめたい』である。
1964年、ビートルズの渡米からエド・サリバン・ショーへの出演までのアメリカの狂乱ぶりを、何とか彼らを見に行こうとするニュージャージー州の田舎町の若者たちの姿を中心に、明るくコミカルに描いている。
ジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフィティ』(73)同様、ベトナム戦争が激化する以前のアメリカの青春の一断片として見れば、ほほ笑ましい気さえする。
ここではビートルズの足(もちろん偽物)しか映らないが、この時期の彼らのファンの大多数は若い女性で、まだアイドル扱いされており、後に彼らが、音楽的、思想的に大きく変わっていくことなどは想像外だったろう。
狂乱の主役たちも、今では中年となり、親となって子供に説教しているなんて人も少なくはないはず。そんな彼らが、この映画を見たらどんな思いを抱くのだろうか。などと、ちょっと意地悪な感慨を持った。