田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

「BSシネマ」『ショコラ』

2023-09-17 08:00:55 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『ショコラ』(00)

 伝統と戒律を重んじるフランスの小さな村。ある日、謎めいた母娘がやってきてチョコレートの店を開く。村人たちは最初は警戒していたが、母ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)が作る絶品のチョコレートに次第に心を開いていく。

 幸せを運ぶ不思議なチョコレートを売る母娘の姿をラッセ・ハルストレム監督が描くヒューマンファンタジー。


ブラック&ハートウォーミングな「贈り物」たち『ビッグイシュー日本版19号』(2005.1.1.)


「チョコレートが印象に残る映画」(2008.12.20.)『ビッグイシュー日本版112号』(2009.2.1.)


 バレンタインデー近しということで、「チョコレートが印象に残る映画」というお題を振られたが、これが意外と難題。何本か候補作を挙げたところ、編集側が選んだのは『夢のチョコレート工場』(71)『チャーリーとチョコレート工場』(05)『ショコラ』(00)『チョコレート・ウォー』(88)『ザ・ビートルズ1976 ダコタ・ハウスにて…』(00)だった。


【インタビュー】『真実』ジュリエット・ビノシュ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7795130b7ef631c2306859bc58108446


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「BSシネマ」『友だちのうちはどこ?』

2023-05-11 06:36:43 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『友だちのうちはどこ?』(87)(2004.11.8.ビデオ)

 イラン北部の小さな村。小学生のアハマッドは、ある日、同級生のモハマッドの宿題のノートを間違えて持ち帰ってしまう。「ノートを忘れたら退学だ」という先生の言葉を思い出したアハマッドは、ノートを返そうと、ジグザグ道の丘を越え、遠く離れた隣の村に住むモハマッドの家を探し歩くが…。

 イランの巨匠と言われているアッバス・キアロスタミの映画。正直回りくどい感じがしてなんともかったるく、途中でテープを早送りしたい衝動にかられた。うーん、こういう映画はちょっと苦手だ。で、今回の原稿はこの映画を見てイランの街というか村について書けば終了のはずが…これでは難しい。最後の最後で再考せねばならないか。

【今の一言】結局、原稿には書けなかった。その時の記事がこれ。
『ビッグイシュー日本版』19号(2004.12.15.)『特集:とき、ところ自由自在。映画で出かけるお正月の旅』

 

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ノア・バームバック『イカとクジラ』

2022-10-30 10:26:51 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『イカとクジラ』(05)(2006.8.18.聖路加ソニーピクチャーズ試写室)

 突然離婚した両親と彼らに振り回される息子たち…という4人家族をシニカルかつコミカルに描く。ウディ・アレンの線を狙ったスケッチドラマなのだが、ノア・バームバック監督の趣味や、独り善がりで思わせぶりな描写が多いため、登場人物の誰にも感情移入が出来ず、見ていてどうにも落ち着かない。親父役のジェフ・ダニエルズはこの役で“新境地開拓”なのだろうか。ウェス・アンダーソン絡みの映画はどうも苦手だ。


『ビッグイシュー日本版 第63号』(2006)


『ヤング・アダルト・ニューヨーク』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d79a4aa4f89c5dc2ae406393d233b5a8

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「BSシネマ」『Love Letter』

2022-01-15 09:15:41 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『Love Letter』(95)

 2年前に事故で恋人を亡くした渡辺博子(中山美穂)はふとした好奇心から、恋人が昔住んでいた小樽に手紙を出す。ところが、来るはずのない返事が博子に届く。それは彼と同姓同名で、中学時代の同級生だった女性(中山二役)が書いた手紙だった。やがて2人の間で、死んだ恋人にまつわる思い出話が交わされていく…。

 本来、自分はこの手の話は好きなはずなのだが、以前からどうも岩井俊二の映像処理が好きになれない。いくら万人が誉めようがこればかりは好みや感覚の問題だからどうしょうもない。

ビッグイシュー「映画の中の図書館たち」から



『君の膵臓がたべたい』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/954c56b02eff903ec700e1bad94523f2

二役映画
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3e6355fbae9437b4f217615ce022db4a

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「BSシネマ」『笑の大学』

2022-01-05 07:08:53 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『笑の大学』(04)(2005.2.14.川越シアターホームラン)

 原稿を書き上げたものの、『笑の大学』は舞台版しか見ていなかったので、映画版を見てみようと思ったら、まだDVDが発売されていなかった。で、どこかで上映しているところはないかと思って調べてみたら、何と川越…。迷った末、小江戸散策を兼ねてということにして妻と一緒に出掛けた。

 舞台版の二人芝居の印象が強かったので、それを広げた映画の方はどうかなあと思っていたのだが、舞台の良さを生かしつつ、映画の持ち味(セット、音楽、回想シーン)が程よくブレンドされた傑作に仕上がっていた。監督はテレビドラマでよく三谷幸喜と組む星護。

 特に、検閲係・向坂を演じた役所広司が巧い! 対する座付き作家・椿役の稲垣吾郎も頑張ってはいたが、いかんせん、舞台版の近藤芳正に比べると、二枚目過ぎるのが難。他に、幻の座長・青空寛太を演じた小松政夫がグッドだった。

 また、ホームランという妙な名前の映画館も、昔の雰囲気を残したままのところで、この映画を見るには最適の場所だった。わざわざ川越くんだりまで出掛けた甲斐があったというもの。付き合ってくれた妻に感謝。さて、少々原稿に手を入れねば。

【今の一言】その時書いた原稿が『THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版24号「笑いが人生を変える映画」』だった。シアターホームランは、翌2006年に閉館したそうだ。

舞台『笑の大学』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8462f6f390749f3bb1299617464c4fbb

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「BSシネマ」『ライフ・イズ・ビューティフル』

2021-12-07 07:02:47 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『ライフ・イズ・ビューティフル』(98)

 ユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は、美しい女性(ニコレッタ・ブラスキ)と出会って結婚、子どもと3人で幸せに暮らすが、第2次大戦で駐留してきたナチスによって強制収容所へ送られてしまう。過酷な日々の中、グイドは幼い息子を悲しませまいと、「これはゲームだ」とユーモアを忘れず、生きる希望を与え続けるが…。主演のベニーニが監督・脚本も兼任した。

『外国映画男優名鑑』『THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版24号「笑いが人生を変える映画」』から。

 

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【インタビュー】『SNS-少女たちの10日間-』ビート・クルサーク監督

2021-04-15 16:50:02 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版』405号に『SNS-少女たちの10日間-』のビート・クルサーク監督のインタビュー記事掲載。

表紙は86歳になったイタリアの伝説的名優ソフィア・ローレン
https://www.bigissue.jp/backnumber/405/

街で販売員の方を見掛けましたら、ぜひお買い上げください。

 

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ベニスビーチ『ロード・オブ・ドッグタウン』

2021-02-28 17:43:18 | BIG ISSUE ビッグイシュー

 NHK BSの、世界ふれあい街歩きスペシャル「北米大陸・西海岸を行く」で、スケートボードが盛んなロサンゼルスのベニスビーチが紹介されていた。ここには一度訪れたことがあるので懐かしかったが、1970年代にこの地で結成されたスケボーグループ「Z Boys」たちを描いた映画のことも思い出した

『ロード・オブ・ドッグタウン』(05)

 舞台は1970年代のウエストコースト。スケートボード・ブームを現出させた実在の3人(ステイシー・ペラルタ、ジェイ・アダムズ、トニー・アルバ)をモデルにした青春群像劇だが、音楽やファッションといったうわべの雰囲気だけで70年代を描いているから懐かしさが浮かんでくるわけでもない。

 というか、そもそもオレたちのような世代に向けたノスタルジー物なのか、今の若者たち向けにスケボーや、それを取り巻くさまざまをカッコ良く見せようとしたのか、狙いが中途半端なので焦点がぼやける。

 これは、描き方によってはもっと面白くなるべき題材を、キャサリン・ハードウィック監督が消化しきれなかった結果ではないか。主役の3人(ジョン・ロビンソン、エミール・ハーシュ、ビクター・ラサック)よりも、彼らを世に送り出す役割を果たした店のオーナー(ヒース・レジャー好演)の屈折が目立ってしまうのもちょっと違う気がする。

 こうなると、同じくウエストコーストのサーフィンを描いたジョン・ミリアスの『ビッグ ウェンズデー』(77)が名作に思えてしまう錯覚が生じて困った。また、この映画を見ながらイーグルスの「ラスト・リゾート」を思い出した。

ビッグイシュー日本版39号(2005.11.)で、主役3人にインタビューをした。

【今の一言】3人の中での一番出世はエミール・ハーシュだ。

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『PEACE BED アメリカVSジョン・レノン』

2020-12-09 10:47:12 | BIG ISSUE ビッグイシュー

『PEACE BED アメリカVSジョン・レノン』(06)(2007.12.1.)

 

 『ビッグイシュー日本版84号』のオノ・ヨーコのインタビューに付随する、『PEACE BED アメリカVSジョン・レノン』の作品レビューを書いた。

 ニクソン政権が、ヒステリックにジョンを敵視した様子を描いたドキュメンタリーだが、ヨーコ絡みだから出来の方は推して知るべし。またもジョンの命日に当て込んだ商魂が感じられてあまりいい気持ちがしない。実はこのドキュメンタリーよりも、ジョンを射殺したマーク・チャップマンを描いた『チャプター27』(07)の方が見たかった。

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【インタビュー】『トニー滝谷』市川準監督

2020-06-28 19:24:19 | BIG ISSUE ビッグイシュー

 毎日新聞の「村上春樹をめぐるメモらんだむ」という記事の、新刊『村上T 僕の愛したTシャツたち』を紹介する中で、興味深い逸話が語られていた。

 それは、この本の中で最初に紹介された「TONY TAKITANI」という文字の入った黄色いTシャツについてのこと。これは、村上がマウイ島で1ドルで買った古着で、「いつかこの名をタイトルにした小説を書こうと思った」のだという。そして「~1ドルで買ったTシャツが基になって小説が出来、それが映画にまでなった。人生最良の投資」とまで書いている。

 その小説と映画のタイトルは『トニー滝谷』(05)。監督は先年惜しくも亡くなった市川準で、公開前に『ビッグイシュー日本版 21号』(2005.2.1.)でインタビューをした。
  
 掲載されたページでは書き切れなかったが、実は途中から、映画マニア同士の話みたいになってしまい、とても楽しいひと時を過ごしたことを覚えている。中でも、宮沢りえが演じた二役について、ヒッチコックの『めまい』(58)を引き合いに出したら、こんな会話になった。 

-今回、原作を読んだ時に感じたんですけれども、(アルフレッド・)ヒッチコックの『めまい』をすごく思い出したんですよ。

(市川)そうですよ。ちょっと気にした映画です。キム・ノバクのね。

- あれも一人二役でしたから。

(市川)あれはもう、髪の毛を直したりしてね。

最後もこんな会話になった。

(市川)この『トニー滝谷』という映画は、何か、いなくてもよかったような人たちばかりが出てくるような気分。そういう小説だったし、映画だったような気がするんだけど、なくてもよかった人生なんて一度もないんだということが届いていたらいいなあと。いなくてもよかった人なんて一人もいないんだみたいなね。

-(フェデリコ・)フェリーニの『道』(54)の中に出てくるセリフみたいにですね。

(市川)フェリーニも大好きですよ、僕は(笑)。ジュリエッタ・マシーナがいいね。

-私も映画が好きでこういう仕事をしていますので…。この映画は、監督が影響を受けたとおっしゃる、小津安二郎監督とか成瀬巳喜男監督の映画に似ているなあ、というところも感じましたし、さっきのヒッチコックの『めまい』とかですね、そういう感じもちょっと…。

(市川)シナリオを書いている時に、そういえば、『めまい』が近いものがあるぞと。ビデオを見て彼女の髪型とかね、研究しましたよ。いきなり変わるからねあれは。あなたも映画マニアだね(笑)。

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