共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
カンヌ国際映画祭監督賞受賞作『アネット』
カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作『TITANE チタン』
詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1322957
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今週は
カンヌ国際映画祭監督賞受賞作『アネット』
カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作『TITANE チタン』
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『TITANE チタン』(2022.3.30.オンライン試写)
幼い頃、交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア(アガト・ルセル)。それ以来、彼女は「車」に対して異常な執着を抱き、危険な衝動に駆られるようになる。
殺人を重ね、行き場を失ったアレクシアは、ある日、消防隊長のビンセント(バンサン・ランドン)と出会う。10年前に息子が行方不明となり、今は独りで生きる彼の保護を受けながら、奇妙な共同生活を始めるアレクシア。だが、彼女はある重大な秘密を抱えていた。
2021年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール(最高賞)を受賞したジュリア・デュクルノー監督作。独創的という評判だが、塚本晋也監督の『鉄男』(89)やデビッド・クローネンバーグ監督の『クラッシュ』(96)の影響も感じさせる。
前半は、暴力、殺人、セックス、汚物、タトゥー、ドラッグといった、とにかく下品で、グロテスクで、痛い描写を繰り返しながら、アレクシアのサイコキラーぶりを見せる。
「果たして見続けられるのだろうか…」と不安に思ったのは自分だけではあるまい。実際カンヌでは途中で退場した観客も少なくなかったという。
アレクシアがビンセントに引き取られ、互いに父と息子を求める孤独な2人が、疑似親子のようになっていくあたりから少々雲行きが変わりはするが、これは変態、ゲテモノ映画の類いに入るものだという印象は消えなかった。早い話、ここまで極端なものを見せなければ、愛が表現できないのか、という怒りや疑問を感じた。
このところのカンヌがパルム・ドールに選んだ作品は、『万引き家族』(18)『パラサイト 半地下の家族』(19)、そしてこの映画と、暗く病んでいて、見ていて気が晴れないものが続き、暗澹たる思いになる。
『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)
夏休みは恐竜とトムとの一騎討ち!?
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f3086e110eeda2a94ee6ec209af19544
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/cbc0c7c4fa4dd6a8d50e193577aa64f1
『ミッション:インポッシブル』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7bf09afe6169fadcb93e07e2b9b7cfbb
朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で、ハリウッドの映画スタッフが、映画製作のオーディションのために映画村を訪れた。その映画のタイトルは『サムライ・ベースボール』。これは多分『ラストサムライ』(03)と『ミスター・ベースボール』(92)の合体だろう。で、『ラストサムライ』には、伴虚無蔵(松重豊)のモデルと思われる福本清三が、サイレント・サムライ役で出演したのだ。
『ラストサムライ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/49ffa1d36ec04bf32dd59a96aaf849d8
『ミスター・ベースボール』(92)(1993.2.16.日比谷映画)
初めて日本のプロ野球が舞台になったハリウッド映画。二ューヨーク・ヤンキースから中日ドラゴンズにトレードされた強打者ジャック・エリオット(トム・セレック)の姿を通して日米の違いが露わになる。監督役は高倉健。セレックも健さんも野球経験はほとんどなかったというが、名選手と名監督らしく見せてしまうところが映画のマジックだ。2人の間で苦労する通訳(塩屋俊が好演)がこの映画の主人公だという見方もできる。監督はフレッド・スケピシ。
この映画の主人公ジャック・エリオットのキャラクターには、かつて日本でプレーしたさまざまな外国人選手の姿が反映されている。例えば、ダリル・スペンサー、ウィリー・デイビス、チャーリー・マニエル、ウォーレン・クロマティ、ランディ・バース、ボブ・ホーナー、セシル・フィルダー…。
一方、健さんが演じた内山監督も、時には長嶋さん、王さん、星野仙一、広岡達朗と、こちらも複数のモデルがいるようだ。その分、どちらも人物像が散漫になったきらいがあり、健さんの監督が英語がペラペラだったり、ヒロインが監督の娘といったご都合主義的なところも見られたが、これだけ日本人キャストで固められた映画をハリウッドが作り、上映したのだから、日本野球のハリウッドデビューとしては、ゲームシーンのリアルさも加味して、合格点をあげてもいいと思った。惜しむらくは、エリオットの孤独や改心の奥が描き切れなかったところか。
名前こそ出ていないが、この映画の影のクリエーターは、『菊とバット』や『和をもって日本となす』のロバート・ホワイティングではないだろうか。
『トータル・リコール』(90)
冒頭から坂道を転げ落ちるようなアクションの連続
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/970a130abc33708c019f603aed77ce1c
第94回アカデミー賞、作品賞は『コーダ あいのうた』
『ドライブ・マイ・カー』は国際長編映画賞を受賞
https://tvfan.kyodo.co.jp/news/topics/1322420
『コーダ あいのうた』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/26f5bd475228c178aab790f79b810599
『アネット』(2022.3.27.オンライン試写)
レオス・カラックス監督が、ロン&ラッセル・メイル兄弟によるポップバンド「スパークス」がストーリー仕立てのスタジオアルバムとして構築していた物語を原案に、映画全編を歌で語り、全ての歌をライブで収録したロックミュージカル。
スタンダップコメディアンのヘンリー(アダム・ドライバー)と一流オペラ歌手のアン(マリオン・コティヤール)、その2人の間に生まれたアネットが繰り広げるダークな寓話を、カラックスならではの映像美で描き出す。ドライバーがプロデュースも兼任。昨年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。
オープニングは、『ラ・ラ・ランド』(16)風の楽しいミュージカルを予感させるような曲調で始まり、一瞬「カラックスにしてはまともじゃないか」と思わせるが、次第に、今まで見たことがないようなダークでシュールなミュージカルに変転し、「やっぱりカラックスは一筋縄ではいかないか…」となる。
全編を歌で語るという意味では、すでに『シェルブールの雨傘』(64)が行っているので新味はないが、光に反応して歌う幼児のアニーを人形にしたり、セックスや出産まで歌で語るところを見ると、よく言えば独創的だが、やはり珍妙な、実験的なミュージカルという印象を持たされた。全体としては、ロックミュージカルというよりも、オペラや演劇のにおいが強いと感じた。
ただ、ちょっとフェリーニの映画を感じさせるエンドロールなど、捨て難いシーンもあり、見終わった後は、妙に後ろ髪を引かれる。
ところで、ロックミュージカルと呼ばれた映画として、『ロッキー・ホラー・ショー』(75)を思い出した。何をもってロックミュージカルとするのかは分からないが、『ボヘミアン・ラプソディ』(18)や『ロケットマン』(19)は、この範疇には入らないのかな。