『グレン・ミラー物語』(53)(1993.1.8.)
ステレオ・完全版ということで、久しぶりに再見。先日『素晴らしき哉、人生!』(46)を見直した際に、ジェームズ・スチュワートとドナ・リードが演じた夫婦の姿が、あの映画を支えていると改めて感じたが、この映画も、音楽映画としての魅力もさることながら、スチュワート(グレン)とジューン・アリスン(ヘレン)のコンビネーションが素晴らしい。こうした夫婦愛の美しさをストレートに描く手法は、今の時代では失われたものなので、余計輝いて見えるのかもしれない。
特に、「私、素敵なことがあると首の後ろがむずむずするの」とうなじをさする癖があるヘレンが、夫の死を知り、涙しながら、ラジオから流れる「茶色の小瓶」(グレンがヘレンに捧げた曲)を聴いて、思わずうなじをさすってしまうラストシーンは、何度見てももらい泣きしてしまう。
アリスンは、自分にとっては、この映画や、テレビで見た『甦る熱球』(49)『戦略空軍命令』(55)といったスチュワートとの共演作が最も印象深い(もちろん公開されてから何十年も後の話だが)。ところが彼女をリアルタイムで見てきたわが師匠は「彼女が最も輝いていたのは、終戦直後に公開された『姉妹と水兵』(44)や『百万人の音楽』(44)。かわいくて一種のアイドルだった」とよく言っていた。スターの魅力を語る上で、こういうリアルタイムの体感はやはり大きいと思う。
ジェームズ・スチュワートのプロフィール↓
ジューン・アリスンのプロフィール↓
パンフレット(54・外国映画社(Foreign Picture News))の主な内容
解説・楽曲・物語・音楽映画としても伝記映画としても優れた『グレン・ミラー物語』(岡俊雄)・この映画に出演するアーティスト・新鋭監督アンソニー・マン