開き直りコメディ
両親の離婚の危機に直面した大学生の美唯(田野優花)。ひょんなことから、2017年から1991年にタイムスリップしてしまった彼女は、若き日の両親と出会い、二人の恋を成就させるべく、アイドルグループを結成する。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』もろ頂きの青春コメディに、アイドル映画の要素をプラスした金子修介監督作。ここまであけすけにやられると腹も立たない。というか、逆によくぞここまでやったと言うべきか。一応、アイドル論らしきものも含まれているのがミソだ。
近々『こいのわ婚活クルージング』も公開される金子監督。コメディを描くには、恥ずかしさを超えた開き直りが大切だと気付いたのか…。典型的なバブル女を演じた樋井明日香がなかなかいい味を出していた。
アイデア賞ものの面白さ
ニューヨークに暮らす黒人の写真家クリスは、ある週末、恋人のローズの実家に招待される。クリスは、ローズの家族や隣人から過激なまでの歓迎を受けるが、彼らに対して妙な違和感を抱く…。
『招かれざる客』(67)と『ステップフォード・ワイフ』(04)を足して割ったようなブラックコメディ+ホラー。アイデア賞ものの面白さがある。監督はコメディアンのジョー・ダン・ピール。日本とアメリカのコメディ(笑い)の質の違いや、見る側の受け取り方の違いをつくづく感じさせられた。
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
前作からのファンは満足するが…
『ブレードランナー2049』
詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1129120
『ブレードランナー』(82)の、35年ぶりの続編となる『ブレードランナー2049』を監督したドゥニ・ヴィルヌーブにインタビュー。
とても真面目な人で、質問にも誠実に答えてくれた。
本当に『ブレードランナー』が好きなんだなという感じがした。
詳細は↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1128564
「オレの肌は白いが血は黒い」
1960年代のオーストラリアを舞台に、実在したオーストラリア先住民(アボリジニ)のガールズ・グループ、サファイアズの活動を描く。
「オレの肌は白いが血は黒い」と豪語する、ソウル・ミュージックを愛してやまない白人男のデイブが、カントリーを歌っていた彼女たちの歌声に惚れてマネージャーとなる。演じるクリス・オドウドが傑作で、彼が陰の主役だと言っても過言ではない。
ベトナム戦争たけなわの中、彼女たちは戦地に慰問に行く。そこで戦争の実態を知って…というシリアスな側面もあるが、基本はコメディタッチのサクセスストーリーなので気軽に見られる。デイブと恋仲になる長女(デボラ・メイルマン)が、だんだんとチャーミングに見えてくるところが映画の魔術。
リードボーカルを務めるのは、テレビのスカウト番組出身というジェシカ・マーボイ。所詮イミテーションではあるのだが、なかなかうまく歌っていた。というよりも、やはり曲自体の魅力に負うところが大きいのだなあ。
だって、「ダンス天国」(ウィルソン・ピケット)、「アイ・キャント・ヘルプ・マイセルフ」(フォートップス)、「フーズ・ラヴィング・ユー」(ジャクソン5)、「悲しいうわさ」(マービン・ゲイ)などなどが、次々に歌われるのだから、こりゃたまらんぜ。
『ブレードランナー』(82)の、35年ぶりの続編となる『ブレードランナー2049』で、強く美しいレプリカントのラヴを演じたシルヴィア・フークスと、主人公Kの恋人であり相談相手でもあるジョイを演じたアナ・デ・アルマスにインタビュー。
二人とも美しくて、くらくらした。
詳細は↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1128582
もはや直球では正義は描けない
天才的な戦略を駆使して、政界を影で動かすロビイストの実態に迫った社会派サスペンス。銃規制法の改正を巡る、反対派と賛成派のパワーゲームの渦中に身を置く主人公エリザベス・スローン(ジェシカ・チャスティン)の強引な手法と葛藤が描かれる。
監督はジョン・マッデン。新人ジョナサン・ベレラの脚本が見事。マーク・ストロング、マイケル・スタールバーグ、ジョン・リスゴー、サム・ウォーターストーンら、チャスティンと絡む俳優たちのアンサンブルも素晴らしい。
エリザベスは、この女とは絶対に一緒に仕事はしたくないが、その力は認めざるを得ないというタイプのアンチヒーロー。その行動を見ていると腹が立ってくること甚だしい。ところが、ラストのどんでん返しは、大昔のフランク・キャプラの『スミス都へ行く』(39)を思わせるような、アメリカの良心を描いている。
こうした逆転の構図が、この手の映画の醍醐味だとも言えるのだが、そこに至るまでのやり取りが何と複雑怪奇であることか、これが時代の違いということなのかという感慨が湧く。それに加えて、エリザベスの挫折も描かれるので、見る側の心も晴れない。もはや直球では正義は描けないのだ。
先日も、ラスベガスで銃乱射事件が起きたばかり。そうした意味でもタイムリーな公開となった。さて、原題は単純に「ミス・スローン」なのだが、それがどうすればこの邦題になるのか…。
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
アメリカ映画の底力を感じさせる
『バリー・シール/アメリカをはめた男』
詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1128213
見どころは本物のSL
ザ・シネマ 今週の「シネマ・ウエスタン」は、ランドルフ・スコット主演でサンタフェ鉄道敷設の様子を描いた『サンタフェ』(51)。監督はアービング・ピシェルで、日本では劇場未公開の映画だ。
南北戦争が終結し、戦地から帰還したブリット(スコット)と3人の弟たちは新天地を求め、バージニアから北部へと向かう。旅の途中、酒場でのいざこざに巻き込まれたブリットたちは北軍の兵士と撃ち合いになり相手を殺してしまう。追われる身となった兄弟は列車に飛び乗るが、それは鉄道建設の労働者を募る列車だった。やがてブリットは鉄道の建設現場で働き始めるが、弟たちは強盗団に加担して悪事に手を染め、兄弟の溝は深まっていく…。
スコットを際立たせるための、何ともご都合主義的で、時代錯誤のストーリーが展開するが、この手の映画に理屈を並べても始まらない。およそ90分、何も考えずにボケーっとしながら見ている分には腹も立たない。
ランドルフ・スコットは紛れもない西部劇の大スターなのだが、リアルタイムではない自分にとっては、正直なところあまり魅力が感じられない。(ファンの皆さんごめんなさい)
『アイアンホース』(24)『大平原』(39)『カンサス大平原』(53)など、鉄道敷設を背景にした西部劇の見どころは、何といっても、本物のSLがふんだんに登場するところ。この映画もその点では大いに満足させてくれる。