田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『映画の森』「新型コロナウィルスの感染拡大の今こそ見たい3本の映画」

2020-04-30 16:10:30 | 映画の森

 共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)4月20日号で、『映画の森』と題したコラムページに「新型コロナウィルスの感染拡大の今こそ見たい3本の映画」を紹介。

『復活の日』「愛は、人類を救えるか」

『アウトブレイク』「絶滅するのは人類か、ウイルスか」

『コンテイジョン』「恐怖は、ウイルスより早く感染する」

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『マネーボール』

2020-04-29 10:32:47 | 映画いろいろ

『マネーボール』(11)(2011.11.13.MOVIX亀有)

 以前、妻との会話という形で「お気楽映画談義」というブログをやっていた。全く噛み合っていないその時の記事から。

夫:久しぶりにプロ野球を生で観戦したので、今回は去年見た野球を扱った映画について。ブラッド・ピット主演の『マネーボール』。

妻:初マツダスタジアム、よかったねー。芝生のにおいがして感動した~。

夫:この映画でブラピが演じたのは、出塁率や選球眼を重視した“マネーボール”を提唱して、メジャーリーグに革命を起こしたオークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーン。実際のビーンと比べると、見た目はもちろん、性格や生きざまもちょっとかっこ良く描かれ過ぎている気もするけど、ブラピが正攻法で演じていて好印象を与えられたね。

妻:チャラいブラピじゃなくてよかった。でもブラピは美形だから、どんな役を演じても、どことなく甘い感じがするんだよね。そこが彼のいいところですが…。

夫:アート・ハウ監督を演じたフィリップ・シーモア・ホフマンとビーンの補佐役を演じたジョナ・ヒルも好演を見せてくれた。

妻:かっこいいといえば、ブラピよりもむしろ彼(ホフマン)の方だったかな。最近、ものすごくダイエットしたらしいです。

夫:それから、脚本のスティーブン・ザイリアンが、天才少年チェスプレイヤーを描いた『ボビー・フィッシャーを探して』(93)『シンドラーのリスト』(93)に続いて、実録映画のお手本のような脚本を書いていた。メジャーリーグの球団経営の裏側が赤裸々に描かれているから、野球のルールを知らない人でも、企業経営のノウハウを描いた映画として楽しめると思うよ。君もそうじゃなかった?

妻:そうですね、メジャーリーグの世界はよく分かりませんが、球団経営の大変さはよく分かりました。カネ!カネ!カネ!

夫:何よりこの映画は、一見ドライに見えて、実は“ベースボールへの熱い愛”を貫いている。試合の場面にもリアリティーと迫力がある。これが映画と野球が好きな者にとってはたまらないツボになるわけ。2011年の映画ベストテンの一本に入るな。

妻:なるほど~。ところで、今後の野球関連映画として、重松清さんの『赤ヘル1975』なんかを映画化したらいいと思います。あの小説の時代を、あの土地(広島)で同じように過ごした私にとっては、ぜひ映画になってほしいものですわ~。
 
夫のひとりごと 野球映画の付録
その1
 『マネーボール』の原作に影響されて書かれたとも思える『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の映画版(11)をテレビでやっていたので何の気なしに見始めた。で、肝心の試合の場面の描き方が稚拙で興醒めさせられるところもあったけれど、結局最後まで見てしまった。ほかのスポーツが題材だったら途中で見るのをやめていたかも…。やっぱり俺は野球が好きなんだなあとつくづく思ったよ。選手たちよりも大泉洋が演じた監督の方に感情移入していたところがあるかな。
 
その2
 『グラン・トリノ』(08)を最後に俳優は引退するかも…と言っていたクリント・イーストウッドが4年振りに出演した『人生の特等席』(TROUBLE WITH THE CURVE)が今秋公開になるそうだ。彼が演じたのは、メジャーリーグの伝説的なスカウトだというから今から楽しみ。

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『アイアンマン』

2020-04-29 09:00:07 | 映画いろいろ

『アイアンマン』(08)(2011.2.20.日曜洋画劇場)

 原作はマーベルコミックだが、日本の石ノ森章太郎の漫画やアニメ、ドラマなどからも強い影響を受けていると感じた。オサマ・ビン・ラディンの存在、軍需産業の存在価値など、アメリカにとっての“アフガンの憂鬱”を、できるだけばかばかしく単純に描いているところがハリウッド映画の真骨頂だ。

 実際、こんなやつ(アイアンマン)がいたら助かるなあ、といったところか。ただし、前半が長過ぎてだれるし、結局最後までテンポの悪さは解消されなかった。

 ドラッグからの復帰後のロバート・ダウニーJr.は、こうした、半ばお気楽な役に冴えを見せる。一方、秘書役のグウィネス・パルトローは『恋におちたシェイクスピア』(98)でオスカー受賞後、作品に恵まれていない気もするが、『スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』(04)にも出ていたから、本人は意外とこういう役が好きなのかもしれない。

 もう一人のオスカー俳優ジェフ・ブリッジスが、スキンヘッドでひげぼうぼうの悪役を楽しそうに演じていたが、この映画→『クレイジー・ハート』(09)『トロン:レガシー』(10)『トゥルー・グリット』(10)と続く演じ分けには恐れ入る。思えば、彼は昔からあまり作品を選ばない人だった。

【今の一言】この頃は『アベンジャーズ』まで広がっていくとは、思いも寄らなかった。 

【インタビュー】『ライオン・キング』ジョン・ファブロー監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/1a0e3542ca0468087b27c55125579fbe

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『エル・ドラド』

2020-04-28 07:00:03 | 映画いろいろ
『エル・ドラド』(66)(1974.5.29.水曜ロードショー)
 
  
 
 水源地の利権を狙う牧場主に雇われたソーントン(ジョン・ウェイン)は、相手側に今は落ちぶれた旧友のハラー(ロバート・ミッチャム)がいることを知り、知り合った若者ミシシッピ(ジェームズ・カーン)と共に、相手側に加勢することにするが…。
 
 『リオ・ブラボー』(59)の設定を踏襲したハワード・ホークス+ジョン・ウェインのコンビ作。腰に傷を負ったガンマンとアルコール依存症の保安官との絶妙なやり取りが面白いが、『リオ・ブラボー』に比べると、いささかだれるところがある。
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『人生の特等席』

2020-04-27 07:00:04 | 映画いろいろ

『人生の特等席』(12)(2012.11.24 MOVIX亀有)

 メジャーリーグ、アトランタ・ブレーブスのスカウトとして、数々の名選手を発掘してきたガス(クリント・イーストウッド)。だが、コンピューターによるデータ分析が主流となった今、球団は、視力も衰え、時代遅れとなった彼を引退させようとする。最後のスカウトの旅へと出たガスに、父に対して複雑な思いを抱く一人娘のミッキー(エイミー・アダムス)が力を貸す。監督は、イーストウッド作品の製作を務めてきたロバート・ローレンツ。

 奇妙な邦題だが、原題は「TROUBLE WITH THE CURVE=カーブの問題=カーブが打てない選手」で、ちゃんと映画の核心を突いている。“野球の音”が効果的に使われ、最後は、コンピューターではなくガスの目と耳がものを言うところが痛快。父と娘がスカウトするメキシコ人のサウスポーは、ロサンゼルス・ドジャースのフェルナンド・バレンズエラをほうふつとさせる。

 さて、この映画は、父と娘の葛藤という点では、イーストウッドの過去の映画『目撃』(97)『ミリオンダラー・ベイビー』(04)『グラン・トリノ』(08)の系譜に属すだろう。硬派なイーストウッドには珍しく、ガスが妻の墓前で「ユー・アー・マイ・サンシャイン」を涙ながらに歌うシーンもある。

 また、スカウト役のイーストウッドが訪れる地方の草の根野球の様子は『ドリーム・ゲーム/夢を追う男』(91)、野球にまつわる愉快なほら話という点では『ナチュラル』(84)『フィールド・オブ・ドリームス』(89)と重なるところもある。つまり、アメリカ人にとって、野球がどれほど身近で大切なものであるのかが、こうした映画を通して感じられるのである。

 ガスは、娘に男名のミッキーと名付けるほどの、ニューヨーク・ヤンキースの至宝ミッキー・マントルのファンという設定。これが日本なら、娘を(長嶋)茂雄や(王)貞治と名付けるようなものだ。当然、ミッキーは父に反発するが、実は彼女も野球狂というところがミソ。彼女がマニアックな野球クイズにもすらすら答えるという面白いシーンがあった。

 ガスのスカウト仲間の中に名脇役のエド・ローターの姿があったが、残念ながらこれが遺作となったようだ。

【今の一言】この映画と同時期に、高倉健の遺作となった『あなたへ』(12)を見たこともあり、同年代の両雄の“その後”に思いをはせたのだが、健さんがほどなくして亡くなったのに対して、イーストウッドはいまだに現役。すごいと言うべきか。

「映画で見る野球 その2」『メジャーリーグ』『ナチュラル』『マネーボール』『人生の特等席』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/80952a2821739214c4c86f2aec76f65d

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『さよならゲーム』

2020-04-26 12:46:24 | 映画いろいろ

 元マイナーリーグの左腕投手で、映画『さよならゲーム』のモデルになったスティーブ・ダルコウスキーが亡くなった。その剛速球の最速は115マイル(約185キロ)という声も上がるほどだったが、制球難でメジャー昇格はならなかった。

『さよならゲーム』(88)(1988.10.8.東劇)

 マイナーリーグ、ダラム・ブルズの熱狂的ファンのアニー(スーザン・サランドン)は、シーズンごとにお気に入りの選手を見つけて公私共に世話を焼くのを生きがいとしていた。彼女が今シーズン目を付けたのは、剛速球を投げるが技術も精神面も未熟なエビー(ティム・ロビンス)だった。そして、エビーのコーチ役として雇われたベテランキャッチャーのクラッシュ(ケビン・コスナー)も加えた、奇妙な“トリプルプレー”が始まる。

 野球映画は日本ではあまりヒットしないらしい。事実、今日の客席もガラガラだった。そこには日本とアメリカの野球=ベースボールに対する思い入れや捉え方の違いがあると思う。そして、この映画を見ると、それは選手たちも同様で、アメリカでは本当にベースボールを楽しみながら、遊びの延長線上のようにプレーしていることがよく分かる。

 その点、日本の野球には、どこか根性論や悲壮感が漂い余裕がない。そんなところから、助っ人外国人選手たちとの間にトラブルが生じるのも必然で、かつてヤクルトでプレーしたボブ・ホーナーが「地球の裏側に、もう一つの違ったベースボールがあった」と語ったのも当然だと思える。

 だが、その楽しさや余裕の裏にはメジャーリーグへの厳しい道があり、この映画の主人公クラッシュ(誰も注目しないマイナーリーグの通算ホームラン記録の更新を密かに狙っている)のように、マイナーでいくら活躍してもメジャーには定着できずに去っていく選手の方が圧倒的に多い。そうした選手たちの無念の思いがあるからこそ、メジャーリーグが輝く場所として存在しているのだ。

 監督・脚本のロン・シェルトンは元野球選手で、ストーリーに多少の脱線はあったものの、メジャーに上がれなかったマイナーリーガーとしての自身の思いを、見事に映画内に反映させていた、と言えるだろう。特に、ファーストシーンとラストシーンに映された名選手たちの写真(憧憬)が印象深いものとして残った。

 コスナーのプレーぶりが抜群! アメリカの俳優たちは本当に野球がうまい。それだけ生活の中に野球がしみ込んでいるからなのだろう。この後コスナーはWP・キンセラの『シューレス・ジョー』の映画版に出演するらしい。今から楽しみだ。

【今の一言】『シューレス・ジョー』の映画版は、言わずもがなの『フィールド・オブ・ドリームス』(89)だ。

「映画で見る野球 その4」 番外編
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/76d2b2c85a951d4ccf9946f06dc51c85
 

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『その時、映画があった』(玉木研二)

2020-04-26 10:01:12 | ブックレビュー

 毎日新聞紙上に連載されていた映画評から、内外の名作107本分(『街の灯』(31)から『八月の鯨』(87)まで)をまとめたものを再読。この本は、筆者が新聞記者だけに、単なる映画評にとどまらず、映画が作られた時代背景や日本で上映された時の社会情勢を織り込んで書かれている点がユニークだ。

 あらすじ、背景、ポイントなどを決まった文字数で的確に記すところは、さすがに歴戦の記者だけのことはある。文章修業としても大いに勉強になるし、多分、この人は相当な映画好きなのだろう、と思わせる語り口に好感が持てて、共感させられるところも多い。

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『ラスト・オブ・モヒカン』

2020-04-25 15:59:15 | 映画いろいろ

『ラスト・オブ・モヒカン』(92)

テレビで久しぶりに見た。

 18世紀半ば、独立前のアメリカ。イギリスとフランスは、それぞれインディアンを味方につけ、植民地戦争を繰りひろげていた。イギリス軍の司令官の2人の娘(マデリーン・ストウ、ジョディ・メイ)が砦へ向かう途中、フランス側のインディアン、マグワ(ウェス・ステューディ)に襲われるが、モヒカン族のチンガチグック(ラッセル・ミーンズ)と養子の白人ホークアイ(ダニエル・デイ・ルイス)に救われる。

 原作は、ジェイムズ・フェニモア・クーパーの古典小説『モヒカン族の最後』。モーリス・トゥールヌール、クラレンス・ブラウン監督作(20)、ランドルフ・スコット主演作(36)など、過去に何度か映画化されている。

 今回のマイケル・マン監督は、英仏の植民地戦争、インディアン同士の対立の中に、英軍大佐令嬢とモヒカン族族長の養子との恋を描いているのだが、彼の他の映画同様、いま一つぱっとしない印象を受けるのは何故なのだろう。それは、単に彼の作風が自分には合わないからなのか、それとも、彼の監督としての力量不足によるものなのか…。

『20世紀映画のすべて―淀川長治の証言』より『モヒカン族の最後』

 

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『アラモ』

2020-04-24 06:30:37 | 1950年代小型パンフレット
 
 
 ジョン・ウェインが製作・監督・主演を兼任し、テキサス独立戦争中の1836年に起こったアラモの戦いを描いた大作。初めて見たのは1974年。テレビの「土曜洋画劇場」で、前後編として2週にわたって放送された。
 
 悲しげなディミトリ・ティオムキン作曲の「The Green Leaves of Summer=遥かなるアラモ」はもちろん、後編でトラビス大佐(ローレンス・ハーベー)も、ジム・ボウイ(リチャード・ウィドマーク)も、デイビー・クロケット(ウェイン)も、皆死んでしまうのがとても悲しかった覚えがある。
 
 この映画は、アカデミー賞を取るための過度なキャンペーンの展開、あるいはタカ派、好戦的、愛国者として、ウェインを悪く言う時に、例に出されることが多いが、単にスペクタクル大作として見ると、監督としてのウェインの力量はかなりのものがあったのでは、と思わせるものがある。
 
 以前、今はなき『MOVIE』という雑誌のジョン・ウェイン特集号でこんなコラムを書いた。
 
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【ほぼ週刊映画コラム】今こそ、「生きていることの幸せ」を描いた映画を見よう(part1)『素晴らしき哉、人生!』『カイロの紫のバラ』『デーヴ』

2020-04-23 07:33:45 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
今こそ、「生きていることの幸せ」を描いた映画を見よう(part1)
『素晴らしき哉、人生!』『カイロの紫のバラ』『デーヴ』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1223924

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