田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

赤坂迎賓館と『銀座カンカン娘』

2018-04-30 14:05:05 | 雄二旅日記
 映画の友たちと共に、赤坂迎賓館を見学。

   


 『君の名は。』の聖地巡礼ですっかり有名になった? 四谷駅の赤坂口から迎賓館に向かう。途中、『人間の証明』(77)で“ストローハット(麦わら帽子)”に見立てられたホテルニューオータニのスカイラウンジが見えた。迎賓館は今は国宝となり、ロケをするのは難しそうだが、以前テレビで見た高峰秀子主演の『銀座カンカン娘』(49)の中でロケ地として使われていたことを思い出した。

『銀座カンカン娘』(2011.7.28.)

 終戦から4年後の東京を舞台に、芸術家志望の4人の若者を中心に描いたミュージカル人情劇。監督は島耕二、脚本は山本嘉次郎、撮影はハリーこと三村明、音楽は服部良一という豪華メンバーで、高峰秀子が歌う♪あの娘かわいやカンカン娘♪でおなじみの主題歌がふんだんに流れるが、笠置シズ子、灰田勝彦、岸井明とのコラボも聴ける。下宿屋の夫婦に扮した古今亭志ん生と浦辺粂子が絶品。特に志ん生は一人だけ別の空間にいるような独特の存在感を醸し出していた。

 大きく映る街中の外国映画の看板が気になったので調べてみたら、ウィリアム・A・ウェルマン監督、ダナ・アンドリュース、ジーン・ティアニー共演の『鉄のカーテン』(48)だった。


 

 こんなふうに、いまや古い映画は、失われた風景や建物の記録としても貴重なものになっている。
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【ほぼ週刊映画コラム】『君の名前で僕を呼んで』

2018-04-27 21:29:22 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

人が人を恋する感情を丁寧に描いた
『君の名前で僕を呼んで』



詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1148707
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『オンリー・ザ・ブレイブ』

2018-04-27 06:32:46 | 新作映画を見てみた

 2013年、米アリゾナで発生した巨大な山火事に立ち向かう森林消防隊ホットショットの活躍を、実話を基に描く。



 壮絶な山火事のシーンが最大の見ものだが、それを背景に、地方自治体の一団からエリート森林消防隊へと昇格するプロセス、隊員同士の友情と絆、仕事と家族との間で生じる葛藤といったドラマが丁寧に描き込まれている。何より、アメリカではこんなに頻繁に山火事が起きているという事実を知らされて驚くばかり。ラストの悲劇は、その行動の目的は違うものの、日本の『八甲田山』(77)を思い起こして切なくなった。

 強くて頼れる男の代名詞として「ジョン・ウェインみたい」というセリフも出てきたが、隊の指導員(ジョシュ・ブローリン)の妻(ジェニファー・コネリー)に馬の世話をさせたり、隊の後見人(ジェフ・ブリッジス)に「Riders In The Sky」を歌わせるなど、現代版の西部劇を思わせるところもある。

 アメリカ映画の伝統の一つである、“偉大なるばか者=名もなきヒーローたち”を描いた物語だ。

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『ピーターラビット』

2018-04-26 09:20:33 | 新作映画を見てみた
 ビアトリクス・ポターの児童書『ピーターラビット』を基に、時代設定を現代に移して初映画化。



 イギリスの湖水地方を舞台に、うさぎのピーターとその仲間たちと、動物嫌いで潔癖症のマクレガー(ドーナル・グリーソン)が、隣に住むビア(ローズ・バーン)を巡って繰り広げる争いを、CGを駆使して描く。

 監督はアメリカ人のウィル・グラックだが、いかにもイギリスらしいブラックユーモア、しつこいジョーク、皮肉なセリフがどうにもなじめない。これではピーターがただ小憎らしいうさぎに見えるだけなのだ。原作(未読)の持ち味を踏襲しているのかもしれないが、これを見ると『パディントン』がいかにバランス良く作られているのかが分かる。

 グリーソンが“見えない相手役”に対して、やられ役を熱演。これは『ホーム・アローン』(90)のドジな泥棒コンビ(ジョー・ペシ、ダニエル・スターン)に通じるところもあると感じた。

昔、キューピーマヨネーズのこんなCMもあった。
https://www.youtube.com/watch?v=wIGlklfvXDk
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鉄人、衣笠逝く

2018-04-24 19:12:39 | 名画と野球のコラボ

 また一人、リアルタイムで見ていたことを誇りに思う選手が亡くなった。鉄人と呼ばれた衣笠祥雄である。

 1975年のオールスター、僚友山本浩二との2打席連続アベックホームラン。79年、前日、巨人の西本にデッドボールを食らい、肩を骨折しながら、翌日、代打で江川の剛速球を全てフルスイングで三球三振! そして、対近鉄の日本シリーズ、「江夏の21球」の名脇役…。



「この映画が観たい」衣笠祥雄
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000185.000007517.html

『永い言い訳』
https://www.oricon.co.jp/news/2080276/full/

 こういうのを見ると、いまさらながら、いい人だなあと思う。

『赤ヘル1975』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a9d596e8420c3f00193a2d289c84b79c

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『モリーズ・ゲーム』

2018-04-24 17:40:46 | 新作映画を見てみた
悪女と見せかけておいて、実は…



 『ソーシャル・ネットワーク』(10)『マネーボール』(11)『スティーブ・ジョブズ』(15)と、実在の人物の知られざる裏側を描いてきた名脚本家アーロン・ソーキンの監督デビュー作。

 今回は、ジェシカ・チャステインを主役に迎え、スキー、モーグルのオリンピック候補から一転、26歳でセレブが集う高額ポーカールームの経営者となりながら、違法賭博の罪でFBIに逮捕された実在の女性モリー・ブルームの数奇な半生を描く。

 チャスティンが『女神の見えざる手』に続いて、悪女と見せかけておいて、実は…という主人公を演じる。それは、ソーキン監督が「これは正しい決断をした人の物語なんだ。だがその結果彼女は、大金も名声も失う」と語るように、モリーがFBIによる司法取引で顧客名を要求されながら、断固として断ったことを指す。

 この映画は、もちろんポーカーのルールを知っているのに越したことはないが、知らずとも十分に楽しめる。それは、モリーはもとより、モリーの弁護士(イドリス・エルバ)、個性的な顧客たち、そして対立する父親(ケビン・コスナー)などの人間ドラマがしっかりと描かれているからだ。

 さすがはソーキン、この映画も面白い。
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TOHOシネマズ日比谷 仏作って魂入れず

2018-04-23 09:34:03 | 雄二旅日記
 『レディ・プレイヤー1』を3Dで見ておこうと思い、TOHOシネマズ日比谷、初見参。正直なところ、あの目まぐるしい映像を3Dで見るのは、ちょっときつかった。今回は取材も経て、いろいろと確認するつもりで見たのだが、それどころではなかった。



 さて、TOHOシネマズ日比谷だが、まず雑多な食べ物のにおいが充満する中で待つエレベーターの流れの悪さに閉口させられながら、やっと4階まで上る。ロビーは広く、ゴジラ像も移設されてはいたが、フライヤーがなくて何を上映しているのかがよく分からない。おまけに、3D+IMAX夫婦50割で4000円も取るのに、通路は狭いわ、トイレの入り口も入りにくいはでイライラさせられた。劇場内はスクリーンも大きく、いすの座り心地も悪くはないのだから、もっと周辺にも気を使うべきだったのではないか。

 窓外の景色がいいと評判らしいが、それも日比谷公園あってのこと。映画館に行く時も、帰る時も、とにかく導線が悪過ぎる。映画を見せるためではなく、買い物や飲食をさせたいという魂胆が見え見え。結局、映画はついでに過ぎないのか…。これならTOHOシネマズ六本木ヒルズや日本橋の方がまだましだ。

 また、スクリーン12、13とは、単に旧スカラ座、みゆき座の名前を代えただけのものなのだが、先日妻が『ペンタゴン・ペーパーズ』を見に行った際には、案内が悪いので、やっと4階まで上がったものの、また地下1階まで降りなければならなかったという。

 「映画の宮殿」といううたい文句が聞いてあきれる。まさに、仏作って魂入れず。ゴジラも泣いている?
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『映画の森』「2018年4月の映画」

2018-04-22 06:41:21 | 映画の森
共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)4月23日号で、
『映画の森』と題したコラムページに「4月の映画」として5本を紹介。
独断と偏見による五つ星満点で評価した。

ラインアップは

イメージギャップを生かした変身が面白い『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』☆☆☆
ロボットが仲介する遠距離恋愛劇『きみへの距離、1万キロ』☆☆☆
皮肉とほろ苦さを含んだ青春物語『さよなら、僕のマンハッタン』☆☆☆
クルーガーが入魂の演技を見せる『女は二度決断する』☆☆☆
素晴らしきお子様ランチ映画の集大成『レディ・プレイヤー1』☆☆☆☆

クリックすると拡大します↓





WEB版はこちら↓
https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2018-05-08_1771091/
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【ほぼ週刊映画コラム】『レディ・プレイヤー1』

2018-04-21 17:29:25 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

素晴らしき“お子様ランチ映画”の集大成
『レディ・プレイヤー1』



詳細はこちら↓

https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1148073
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『MIFUNE: THE LAST SAMURAI』

2018-04-20 19:17:07 | 新作映画を見てみた
 『ヒロシマナガサキ』などで知られる日系3世のスティーブン・オカザキが監督した、三船敏郎の生涯を描いたドキュメンタリー映画。チャンバラ映画の歴史や、先の戦争について説明する冒頭を経て、本題の三船に入っていく。名場面と、関係者へのインタビューを中心に構成されている。



 証言者は、息子の三船史郎、黒澤久雄、共演女優の香川京子、司葉子、二木てるみ、八千草薫、映画監督の中島貞夫、スクリプターの野上照代、評論家の佐藤忠男、殺陣師の宇仁貫三、役所広司、そしてマーティン・スコセッシ、スティーブン・スピルバーグ。15年に製作されたものなので、最近亡くなった加藤武、中島春雄、夏木陽介、土屋嘉男の貴重な証言も聞ける。

 土屋が「三船さんは我慢の人」と語っていたのが印象的。黒澤明が三船に送った弔辞を香川が朗読するラストシーンも心に残る。全体的に黒澤映画の三船に偏り過ぎている気もするが、こうした映画が作られること自体が貴重なのだ。それにしても『蜘蛛巣城』(57)のラストは何度見てもすごい。

 三船は「『スター・ウォーズ』(77)のオビワン役ではなく、スピルバーグの『1941』(79)の潜水艦長役を選んだことを、ずっと後悔していた」と、どこかで読んだ記憶があるが、スピルバーグの証言を聞くと、結構楽しんで演じていたようなので、ちょっと胸のつかえが降りた。そういえば『レディ・プレイヤー1』の中に、三船をモデルにしたキャラがいたなあ。あれはスピルバーグ流の感謝の気持ちだったのだろうか。

https://www.imdb.com/title/tt4000670/videoplayer/vi3767383577?ref_=tt_ov_vi
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