『君の名は。』の聖地巡礼ですっかり有名になった? 四谷駅の赤坂口から迎賓館に向かう。途中、『人間の証明』(77)で“ストローハット(麦わら帽子)”に見立てられたホテルニューオータニのスカイラウンジが見えた。迎賓館は今は国宝となり、ロケをするのは難しそうだが、以前テレビで見た高峰秀子主演の『銀座カンカン娘』(49)の中でロケ地として使われていたことを思い出した。
『銀座カンカン娘』(2011.7.28.)
終戦から4年後の東京を舞台に、芸術家志望の4人の若者を中心に描いたミュージカル人情劇。監督は島耕二、脚本は山本嘉次郎、撮影はハリーこと三村明、音楽は服部良一という豪華メンバーで、高峰秀子が歌う♪あの娘かわいやカンカン娘♪でおなじみの主題歌がふんだんに流れるが、笠置シズ子、灰田勝彦、岸井明とのコラボも聴ける。下宿屋の夫婦に扮した古今亭志ん生と浦辺粂子が絶品。特に志ん生は一人だけ別の空間にいるような独特の存在感を醸し出していた。
大きく映る街中の外国映画の看板が気になったので調べてみたら、ウィリアム・A・ウェルマン監督、ダナ・アンドリュース、ジーン・ティアニー共演の『鉄のカーテン』(48)だった。
こんなふうに、いまや古い映画は、失われた風景や建物の記録としても貴重なものになっている。