“禁じ手”テーマを消化しきれず
『ダラス・バイヤーズクラブ』(13)のジャン=マルク・ヴァル監督が11年に撮った作品。
1969年のパリで暮らすシングルマザー(バネッサ・パラディ)とダウン症の息子、現代のモントリオールで暮らすDJと恋人、そして別れた妻。異なる二つの時代を交錯させながら、彼らに関する不思議なつながりと愛の形を描く。
マルク・ヴァル監督は輪廻転生、前世や魂の存在など、答えのない“禁じ手”とも言うべきテーマに挑んでいるが、もとより消化しきれずに支離滅裂となり、後半はオカルトもどきの様相を呈していく。
その分、パラディの狂気と妖気を感じさせる演技が際立つが、結局のところ、奇策を用いた“怪作”という印象にとどまる。