「神田古本まつり2018」で、最近ハマっている50年代映画の小型パンフレットが通常の半額で大量に売られていた。
で、懲りずに『ブラボー砦の脱出』(53)『重役室』(54)『十二人の怒れる男』(54)『長い灰色の線』(55)『捜索者』(56)『駅馬車』(39)=リバイバル時の62年版を買ってしまった。もはや小型パンフが俺を呼んでいる状態。これはかなりやばい。
でも、例えば野口久光さんの「アンスコカラーの長所を発揮した『ブラボー砦の脱出』」を読むと、カラーフィルムにもいろいろある。だからデジタルリマスターで色合いを再現するのも大変なのかな、と考えさせられる。
双葉十三郎さんの「『長い灰色の線』の魅力」を読むと、ジョン・フォードが横長のシネマスコープを使いこなしたと評価しており、当時はそんなふうに捉えていたのかと思いながら、シーン例を挙げての具体的な解説に納得させられる。
他にも、いかにも荻昌弘さんらしい、新しい視覚芸術「十二人の怒れる男について」など、ためになる記事が載っていて勉強になる。というわけで、趣味と実益を兼ねて、ということにして自分を納得させている始末。いやはや困った。
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
小品の佳作を2本
『search/サーチ』 『ライ麦畑で出会ったら』
詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1168194
この映画は、白秋を偉人としてではなく“ダメンズ”として描いているところがユニーク。佐々部清監督は『アマデウス』(84)のモーツァルトを意識したという。大森は「(イメージを崩し過ぎて)ご本人や、ご遺族の方に怒られないか心配だった」と笑うが。
詳細は後ほど。
『この道』↓
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9be77f36660312ec7a9fd72ad5e00c8b
舞台は1962年のボルチモア。ヒロインの太った高校生トレイシー(ニッキー・ブロンスキー)と彼女の母(ジョン・トラボルタ)、黒人たちが、テレビのダンスショー「コーニー・コリンズ・ショー」に出演するさまを描く。
62年という、まだベトナム戦争を知らず、公民権運動も盛んではなかった微妙な時代を背景に、太っていても、肌の色が黒くてもいいじゃないか、というメッセージを込めながら、ノリのいい歌とダンスで楽しませる。カラフルな衣装や装置も見ものだ。
ただし、特殊メイクで女装し、太ったトラボルタとクリストファー・ウォーケンの“夫婦ダンス”などを、グロテスクな悪乗りと見るか、よくやるよと笑って見られるかが、この映画の好き嫌いの分かれ目になるのでは。かく言う自分は『ジャージー・ボーイズ』(14)の“前科”はこの映画にあったのかと、ウォーケンに拍手を送った口。
敵役のミシェル・ファイファ― 、さすがのクイーン・ラティファ、コーニー・コリンズ役のジェームズ・マースデン、若手のザック・エフロンらも好演を見せる。こういう映画を見ると、黒人はみんなダンスがうまいと錯覚しがちだが、実際はダンスが苦手な黒人も少なくはないのだろう。
この映画で彼女は、家族と不仲のため東京に出、歌手を目指す親友のカナ(真野恵里菜)のマネジャーになるキリを演じている。屈折を抱えた、どちらかと言えば暗い役どころだったが、実際に話を聞いてみると、明るく元気な若者だったので安心した。
自分が通った高校は男子校だったので、最初は「やっぱり共学はいいなあ」などと思いながら映画を見ていたのだが、そのうちに「この子たちは一体どうなっていくのだろうか」とか、「これ以上彼らを不幸にするな」などと、親のような気持になって見てしまった。当たり前のことだが、もはや青春映画は遠くになりにけりか。
また、東京で生まれ育った人間としては、東京と地方との距離感に加えて、東京=悪所、地方出身者=被害者という、相変わらずの類型的な描き方を見ると、「あーまたか」という思いがしたのは否めない。
神保町を歩いていたら、またもや旧作映画の小型パンフレットを見付け、また何冊か買ってしまった…。
『遥かなる国から来た男』(56)は、2014年の2月に、フィルムセンターで行われた「テクニカラー・プリントで見るNFC所蔵外国映画」の中で初めて見た。亡くなった師匠が「いい映画だから機会があったら見ろ」と言っていたので、以前から気になっていた一本だった。
舞台は、クリスマスが近い雪の降る小さな田舎町。町に住む気の弱い酒場のピアニストと瓜二つで正体不明の男が町に現れ、混乱が起こるが、結果的には彼がピアニストの恋を成就させるというもの。
マルセル・カルネ監督がクリスマスの奇跡を描いたファンタスティックなミュージカルコメディーで、シャンソン歌手のジルベール・ベコーが二役を、フランソワーズ・アルヌールが2人の間で揺れるマドンナ役を演じている。扉を使った古典的な二役の入れ替わりギャグ、シャンソン風の音楽が印象に残る。
『素晴らしき哉、人生!』(46)にも似た“天使”の存在、あるいは『天使のくれた時間』(00)同様、一人二役の秘密を子供だけが知っているという設定など、クリスマスの奇跡を描いた映画には共通点が多いと感じた。
フランソワーズ・アルヌールのプロフィール
『真昼の暴動』(47)も、同じく師匠に勧められた映画。これも2014年の11月に、フィルムセンターで行われた「MoMAニューヨーク近代美術館映画コレクション」の中で初めて見た。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/57f63658424002e3b551e559e73741f5
他は『日本人の勲章』(55)『ゴーストタウンの決斗』(58)『ララミーから来た男』(55)『5つの銅貨』(59)。男くさい『日本人の勲章』の表紙は脇役のアン・フランシスだが、これはこれで良し。どれも好きな映画で、安価だからいいのだが、集め出すときりがないから…。
『遥かなる国から来た男』パンフレット(57・外国映画出版社)の主な内容
解説/監督マルセル・カルネ/物語/カルネのシャレたファンタジー(大黒東洋士)/この映画のシャンソン/ジルベール・ベコー、フランソワーズ・アルヌール
凶悪なルックスとキャラクターを持った悪役的なダークヒーローの誕生編。マーベルシリーズの常だが、やはり最初のものが一番面白い。善悪のはざまで揺れるエディをハーディが好演している。監督は『ゾンビランド』(09)のルーベン・フィッシャー。そのせいか、この映画もグロテスクなのに笑えるところが多々ある。
日本の『寄生獣』(14)との類似点が多いが、原作は『ヴェノム』が84年で『寄生獣』は88年だそうだ。
ベストスリーのバース、クロマティ、アレックス・ラミレスは順当か? あの選手はもっと上位のはずだとか、何故あの選手が入っていないなど、いろいろと異論はあるが、さまざまな選手のその後の姿や、隠れたエピソードが語られる楽しい番組だった。掛布がマイク・ラインバックとハル・ブリーデンを選んでいることにちょっと泣けた。
ちなみに、2005年に自分が勝手に選んだ来日外国人プレーヤーのベストナインは
1.ロベルト・マルカーノ(セカンド)
2.ロイ・ホワイト(レフト)
3.ウォーレン・クロマティ(センター)
4.レジー・スミス(ライト)
5.ブーマー・ウェルズ(ファースト)
6.ランディ・バース(DH)
7.マイク・デイアス(キャッチャー)
8.クリート・ボイヤー(サード)
9.デーブ・ヒルトン(ショート)
先発.ビル・ガリクソン
ストッパー.郭源治
これは自分の好みが大きく反映された結果なので、今選び直してもあまり変わらないかもしれない。