原稿作成のため、『戦略空軍命令』(55)を再見。
朝鮮戦争終結後の、ソ連との冷戦の激化という状況を反映し、米空軍の全面協力のもと、核抑止力の重要性や愛国心の大切さを説くために作られた一種の空軍PR映画。
現代の目から見れば、時代錯誤も甚だしいと、言えなくもないのだが、それとは別に、戦闘機がビクター・ヤングの美しい音楽に乗って大空を行く映像が、ヴィスタヴィジョンの大画面と色鮮やかなテクニカラーで存分に見られるという魅力がある。
また『グレン・ミラー物語』(54)に続く、アンソニー・マン監督、ジェームズ・スチュワート、ジューン・アリソンという名トリオによる夫婦愛の物語という見どころもある。
スチュワートが演じた予備役召集に応じて再入隊する主人公のロバート・“ダッチ”・ホランドは、セントルイス・カージナルスの三塁手という設定。そのモデルとなったのは、スチュワートと同じ、“のっぽ”の大打者テッド・ウィリアムズだという。
パンフレット(55・東宝事業課(スカラ座No.55-1))の主な内容
解説/物語/戦略空軍命令と航空映画の魅力(岡俊雄)/この映画に登場する爆撃機の性能/スタアメモ ジェームズ・ステアート、ジューン・アリスン/わき役のひとびとフランク・ラヴジョイ、バリー・サリヴァン、ブルース・ベネット、ジェイ・C・フリッペン、フランク・モーガン/監督アンソニー・マン/マン監督とステュアートの七本目のコンビ作品