田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『戦略空軍命令』

2018-02-28 06:09:11 | 復刻シネマライブラリー

 原稿作成のため、『戦略空軍命令』(55)を再見。

 

 朝鮮戦争終結後の、ソ連との冷戦の激化という状況を反映し、米空軍の全面協力のもと、核抑止力の重要性や愛国心の大切さを説くために作られた一種の空軍PR映画。

 現代の目から見れば、時代錯誤も甚だしいと、言えなくもないのだが、それとは別に、戦闘機がビクター・ヤングの美しい音楽に乗って大空を行く映像が、ヴィスタヴィジョンの大画面と色鮮やかなテクニカラーで存分に見られるという魅力がある。

 また『グレン・ミラー物語』(54)に続く、アンソニー・マン監督、ジェームズ・スチュワート、ジューン・アリソンという名トリオによる夫婦愛の物語という見どころもある。

 スチュワートが演じた予備役召集に応じて再入隊する主人公のロバート・“ダッチ”・ホランドは、セントルイス・カージナルスの三塁手という設定。そのモデルとなったのは、スチュワートと同じ、“のっぽ”の大打者テッド・ウィリアムズだという。

  

パンフレット(55・東宝事業課(スカラ座No.55-1))の主な内容
解説/物語/戦略空軍命令と航空映画の魅力(岡俊雄)/この映画に登場する爆撃機の性能/スタアメモ ジェームズ・ステアート、ジューン・アリスン/わき役のひとびとフランク・ラヴジョイ、バリー・サリヴァン、ブルース・ベネット、ジェイ・C・フリッペン、フランク・モーガン/監督アンソニー・マン/マン監督とステュアートの七本目のコンビ作品

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『映画の森』「2018年2月の映画」

2018-02-27 06:19:41 | 映画の森
共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)2月26日号で、
『映画の森』と題したコラムページに「2月の映画」として4本を紹介。
独断と偏見による五つ星満点で評価した。

ラインアップは

これは現代版の西部劇なのか…『スリー・ビルボード』☆☆☆☆
『君よ憤怒の河を渉れ』をリメーク『マンハント』☆☆
多国籍のキャストでつづる悲喜劇『ロープ/戦場の生命線』☆☆☆
ウォーターゲート事件の真相とは…『ザ・シークレットマン』☆☆☆☆

クリックすると拡大します↓




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『シムソンズ』

2018-02-26 16:39:49 | 映画いろいろ
 いろいろあった平昌五輪。最後の最後にカーリング女子が銅メダルを獲得したのを見ながら、12年前のカーリングブームと『シムソンズ』という映画を懐かしく思い出した。



2006年2月23日、12年前のメモを。

 ソルトレイクシティオリンピックでは、カーリングに見事にはまってしまった。あか抜けなくてちっちゃいけれど、ちょっとかわいい女性たちが、百戦錬磨の“世界のおばちゃんたち”に立ち向かう、といった感じで感情移入しやすいし、見ているうちに段々とルールが分かってきて、ゲームとしても面白いことに気づいた。

 というわけで、渋谷のシネ・ラ・セット(アングラ劇場みたいなミニシアター)のレイトショー(水曜日は何故か1000円)で彼女たちをモデルにした『シムソンズ』を見る。

 女子カーリングチームの結成からオリンピック出場までが、涙と笑いの中で描かれる、まさに直球ど真ん中勝負の青春映画で結構面白かった。4人の女の子たち(加藤ローサ、藤井美菜、高橋真唯、星井七瀬)の奮闘に加えて、コーチ役の大泉洋がもうけ役。ジャマイカのボブスレーチームを描いた『クール・ランニング』(93)を思い出した。あの映画もコーチ役で亡くなったジョン・キャンディがいい味を出していたなあ。
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【インタビュー】『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ監督

2018-02-26 12:24:55 | インタビュー

『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督へのインタビュー記事をアップ



https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1139036

 本作は、1962年、米政府の研究機関で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)が、秘かに運び込まれた不思議な“生き物”を目撃し…、という、ギレルモ・デル・トロが、種族を超えた愛を描いたファンタジーロマンス。

 デル・トロは「50年代の映画だったら、(本作の敵役である)ストリックランド(マイケル・シャノン怪演)の方が主人公になり、クリーチャー(半魚人)は悪役だ。そういう設定を反対にしたいと思った」と語る。

 ユニバーサルホラーはもとより、スタンリー・ドーネンにオマージュを捧げたというミュージカルシーンもある。イライザの住むアパートの部屋、階下の映画館、研究所の独創的なセットをはじめ、「デル・トロ映画」と呼ぶしかないような摩訶不思議な世界が現出する。

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【ほぼ週刊映画コラム】『ザ・シークレットマン』

2018-02-24 16:32:17 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

トランプ政権に対する不信感が反映された
『ザ・シークレットマン』



詳細はこちら↓

https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1141814
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『ケンタッキー魂』

2018-02-23 13:15:56 | 復刻シネマライブラリー

 原稿作成のため、ジョン・ウェイン製作・主演の『ケンタッキー魂』(49)を見る。

 

 舞台は1819年のアラバマ。英国軍との戦いに参加し勝利したケンタッキー連隊は、故郷に引き上げる途中、アラバマに立ち寄る。一方、アラバマにはワーテルローの戦いに敗れたナポレオン軍の残党が流れ着き、米政府から四つの地区を与えられて住み着いていた。

 この映画は、この二つの史実を踏まえて、フランス人居留地の開拓をめぐる陰謀に、元ケンタッキー連隊の隊員ブリーン(ウェイン)と仏軍の将軍の娘フルーレット(ヴェラ・ラルストン)の恋を絡めた開拓民たちの物語として創作されたもの。

 “極楽”と呼ばれた喜劇コンビ、ローレル&ハーディのオリバー・ハーディが、ブリーンの相棒役で出演し、ウェインとの楽しい掛け合いを見せてくれる。

 ヒロインのフルーレットを演じたヴェラ・ラルストンは、チェコ代表としてオリンピックにも出場した元フィギュアスケーター。第二のソニア・ヘニー(ノルウェー出身の元フィギュアスケーター女優)にはなれなかったが、後にリパブリックのオーナー、ハーバート・J・イエーツ夫人の座に収まった。

 “アメリカの歴史秘話”に加えて、そうしたキャスティングの面白さもこの映画の見どころの一つだ。

パンフレット(50・アメリカ映画宣伝社(American Picture News))の主な内容
解説/物語/よみものB級映画論(上村弘之)/アメリカの批評/この映画に関連して/試写室だより「頭上の敵機」/今週の話題

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『リメンバー・ミー』リー・アンクリッチ監督

2018-02-22 06:29:12 | 仕事いろいろ
 『トイ・ストーリー3』(10)に続いて『リメンバー・ミー』を撮ったリー・アンクリッチ監督にインタビュー取材。



 「本作はポジティブなメッセージを持った作品。だからこそ、世に出すことで、トランプ大統領が発信したメキシコやメキシコ人に対するネガティブな感情へのカウンターになればいいと考えた」、「色使いという点では、『オズの魔法使』(39)を意識した」など、興味深い話を聞くことができた。

 詳細は後ほど。
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『軍法会議』

2018-02-21 19:21:48 | 復刻シネマライブラリー

 原稿作成のためオットー・プレミンジャー監督、ゲーリー・クーパー主演の『軍法会議』(55)を見る。

 

 第一次大戦終結直後、日本の真珠湾攻撃を予見し、空軍の独立とパイロットの安全確保を訴えながら、軍法会議で有罪となったビリー・ミッチェル大佐(クーパー)を主人公に描く。晩年のクーパーは、老いが目立ち、若手に食われる場面も多いのだが、本作で、検事役のロッド・スタイガーが、ねちねちとクーパーをいびるシーンは、見ていて本当につらくなる。

 寄ってたかってクーパーをいじめるような展開を見ながら、まるで赤狩りのようだと思ったら、何と赤狩りで仕事を追われたダルトン・トランボとマイケル・ウィルソンがノンクレジットで脚本に参加していた。

 また、タブーに挑み続けたプレミンジャー作ということで、裁判を通して軍隊の複雑さを描いているところが面白いのだが、裁判長役のチャールズ・ビックフォード、弁護側のラルフ・ベラミーといった舞台出身の俳優たちのうまさが際立つ映画でもあった。

  

パンフレット(56・不明)の主な内容は
解説/物語/ゲイリイ・クーパー、エリザベス・モンゴメリイ/ビリイ・ミッチェルという男/判決後のビリイ・ミッチェル/撮影余話
解説/物語/「法廷映画」の異色 盛り上がる人間像(槇由起雄)/ゲイリイ・クーパー/エリザベス・モンゴメリー/判決後のビリイ・ミッチェル

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『女は二度決断する』

2018-02-20 18:17:29 | 新作映画を見てみた
クルーガーが入魂の演技を見せる



 ドイツ・ハンブルグの外国人街で爆弾による爆発が発生。カティヤ(ダイアン・クルーガー)はトルコ移民の夫と息子を失う。在住外国人を狙ったドイツ人の右翼によるテロと判明するが、容疑者をめぐる裁判はカティアの思うようには進まない。やがてカティアはある決断を下す。

 実際に起きたネオナチによる連続テロ事件に材を取った力作。クルーガーが入魂の演技を見せる。監督は『ソウル・キッチン』(09)『消えた声が、その名を呼ぶ』(14)のファティ・アキン。トルコ移民のドイツ人としての自身の怒りや思いを、主人公のキャラクターに反映させたという。

 同じく、子どもを殺された母の怒りを描いた『スリー・ビルボード』と同時期に、こうした映画が作られたのは偶然か、必然か。ただ「やはり、こうするしかないのか…」という厳しい結末は、われわれ日本人には理解し難いところもある。
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『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』

2018-02-19 06:08:15 | 新作映画を見てみた

イメージギャップを生かした“入れ替わり”が見どころ



 謎のボードゲームの中の出来事が現実に起きてしまう様子を、特撮満載で描いた『ジュマンジ』(96)を、装いも新たに再映画化。

 今回は「ジュマンジ」という“テレビゲーム”をプレーした4人の高校生が、ゲームの中に入り込んでしまう。気弱なゲームマニアが筋骨隆々のドウェイン・ジョンソンに、インスタ大好きの少女が中年男のジャック・ブラックに、ガリ勉少女が女戦士のカレン・ギランに…という、イメージギャップを生かした“入れ替わり”が見どころになる。

 3度の“ライフ”を失うと本当に命を落とすという設定、それに伴う選択が物語の核となる。監督はローレンス・カスダンの息子のジェイク・カスダン。

 詳細は後ほど。

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