田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

【ほぼ週刊映画コラム】『追憶の森』

2016-04-30 17:46:05 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

再生をテーマにしたスピリチュアルなミステリー
『追憶の森』




詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1048106
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)

2016-04-29 08:00:48 | All About おすすめ映画

歴史は見方や立場によって異なるのだ



 南北戦争時の開拓地を舞台に、インディアンと共に生きた元北軍中尉ダンバーの目を通して、軍隊や開拓者の恥部を明らかにしていきます。

 チェロキー・インディアンの血を引くケビン・コスナーが監督・主演し、アメリカ西部開拓史上のタブーに挑みました。

 この映画は、インディアンの文化や思想の豊かさを描く一方、先住民族を虐殺し、バッファローを絶滅寸前に追いやった者として白人を描いていきます。

 それは例えば、軍隊に捕らわれの身となったダンバーをインディアンが救出に来る場面に象徴されます。

 この場面は、インディアンに襲われた人々を騎兵隊が救いに来るという従来の西部劇とは逆のパターンなのですが、この映画を通してインディアンに感情移入をした観客は、その姿に拍手を送ることになるのです。

 インディアンから見れば白人は侵略者以外の何者でもないということ。コスナーはこの映画を通じて、歴史は見方や立場によって異なるのだということを明らかにしました。

 アカデミー賞では、コスナーの作品、監督賞のほか、ジョン・バリーの作曲賞、ディーン・セムラーの撮影賞など大量受賞を果たしています。この結果を、ハリウッド映画人の良識とする向きもありました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『三人のあらくれ者』

2016-04-28 08:00:12 | 映画いろいろ

三人のあらくれ者による三すくみの葛藤劇



 40数年ぶりに再見。従って細部は見事に忘れていたのだが、妙な西部劇だなと思った当時の記憶がよみがえってきた。

 原題は「Three Violent People」という。その三人とは、南北戦争帰りで激情型の牧場主コルト(チャールトン・ヘストン)、酒場女の素性を隠して彼の妻となったローナ(アン・バクスター)、幼い頃に事故で片腕を失い兄のコルトに反発するシンチ(トム・トライオン)のこと。

 この映画は、牧場の権利やそれぞれの過去をめぐって、三人による三すくみの葛藤を中心に描いている。昔の自分は、多分そのあたりに西部劇としては“妙なもの”という印象を抱いたのだろう。

 監督はポーランド出身でヨーロッパで撮影監督として名を成し、後にハリウッドで監督に転じたルドルフ・マテ。画面構成は美しいが、西部劇の監督としてはいかがなものかという印象を持った。



 ヒロイン役のバクスターはきつい感じが逆にセクシーな印象を与える女優で、結構好みのタイプだ。有名な建築家フランク・ロイド・ライトの孫にあたる。

 『彼女は二挺拳銃』(50)のような明るい役も演じたが、『イヴの総て』(50)で、ベティ・デイビス演じる大女優をだましてのし上がっていく新進女優を演じて強烈な印象を残し、以後は天使と悪魔のどちらにもなれる小悪魔的な役柄を得意とした。そういえば『十戒』(56)でも、モーゼ役のヘストンを惑わす悪女を演じていたなあ。

 この映画では、バクスターに色違いのドレスを何着も着せて、カラー映像の中で目立つように撮っており、そこが一つの見どころになっている。

 とは言え、この映画の一番の儲け役はメキシコ人の牧童頭を演じたギルバート・ローランド。その息子役で、後に個性派俳優として活躍しながら、妻殺しの疑いで逮捕されたロバート・ブレイクの姿も見える。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『我が家の楽園』

2016-04-27 10:42:16 | 映画いろいろ

 久しぶりにフランク・キャプラ監督の『我が家の楽園』(38)を再見。



 この映画の原題は「You Can't Take It With You=持って行けやしないよ」。で、どこに何を持って行けないのかと言うと「あの世に金を」なのだ。

 主人公は元実業家のバンダーホフ(ライオネル・バリモア)。彼はある日突然、金儲けに嫌気がさして、今は自由人として暮らしている。彼の娘(スプリング・バイントン)は劇作家を気取り、その夫(サミュエル・S・ハインズ)は地下室で仲間(ドナルド・ミークら)と共に花火や玩具を製造している。孫娘(アン・ミラ―)は元レスラーのロシア人(ミッシャ・オウア )にバレエを習い、その夫(ダブ・テイラー)は印刷業のかたわらシロフォンの演奏をしている。

 この何とも自由というか、奇妙な一家のもう一人の孫娘のアリス(ジーン・アーサー)は、軍需工場の若き副社長トニー(ジェームズ・スチュワート)の秘書を務めていた。ところが、トニーの父のカービー(エドワード・アーノルド)は、工場拡大のためにバンダーホフ家の周辺を買収しようと画策していた。対立する父親たちの息子と娘が恋仲になって…という、キャプラ十八番の人情喜劇が展開する。

 すったもんだの挙句、バンダーホフがカービーに言う「あの世に金を持って行けやしないよ」のセリフと、小道具のハーモニカが決め手となって、最後は奇跡のハッピーエンドが訪れる。これもキャプラの十八番。

 最も大切なものは愛と友情だと説く心、スチュワートとアーサーの共演、被告であるバンダーホフ一家に肩入れしてしまい思わず苦笑する裁判長、罰金が払えないバンダーホフ一家になけなしの金を恵む人々、何とも哀れな役を演じるH.B・ワーナーなど、後年の『スミス都へ行く』(39)『素晴らしき哉、人生!』(46)につながるようなシーンもある。

 また、この映画では気のいい自由人を演じたバリモアが、『素晴らしき哉、人生!』では一転、金の亡者のポッター老人を演じている。改めて変幻自在のすごい俳優だったことに気づかされた。

 ところで、もちろん現実はこんなに甘くはないし、キャプラの映画をご都合主義だと言ってしまえばそれまでだが、うまい嘘は見る者を幸せな気分にさせるし、現実もこんな風だったらいいのになと夢見る楽しさを与えてくれる。などと思うのは、自分が年を取った証拠なのか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『フィフス・ウエイブ』

2016-04-25 09:28:28 | 新作映画を見てみた

クロエ・グレース・モレッツよどこへ行く…




 地球外生物(アザーズ)からの5段階攻撃(フィフス・ウエイブ)を受け、絶滅の危機に瀕した人類。ヒロイン、キャシー(クロエ・グレース・モレッツ)の孤独な闘いを描く。

 見た目は敵と味方の区別がつかないことから生じる怖さや面白さは、オーソドックスな侵略SF(ボディスナッチ)の常套手段。この映画はそこにジュブナイルの要素をプラスしているが、主人公の少女の成長物語を続き物で描くというのは、『ハンガーゲーム』『ダイバージェント』の後追いの感は否めない。

 小品の佳作『アリス・クリードの失踪』(09)のJ・ブレイクソン監督作だけに期待したが、残念ながら新味はなかった。どうもクロエは作品に恵まれていない気がする。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『アイアムアヒーロー』

2016-04-24 13:30:27 | 新作映画を見てみた

ついにここまでやったか…



 漫画家のアシスタントをしている英雄(大泉洋)は、謎のウイルスに感染し「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化した人々から必死に逃げまくるが…。ヒーローになりたくてもなれない“英雄”という名の男を主人公にしたスプラッター・ゾンビ映画。

 気弱な主人公が最後は暴力に目覚める姿を見ながら、サム・ペキンパーの『わらの犬』(71)を思い出した。

 日本は欧米に比べると死体を大切にする習慣があるし、思想や宗教的にも、幽霊や魂は存在してもゾンビはいない。それ故、今まではゾンビものにしてもどこか遠慮気味に作っている節があったが、この映画を見ると、そうした殻を破ってついにここまでやったかという印象が残る。

 ゾンビものは一種のコメディだとは思うが、個人的には、ゾンビならばいくら撃ち殺してもいいのかという違和感が拭えないし、破壊される肉体、吹き出す血潮、飛び散る肉片…を見ながら、スカッとするという感覚はどうにも分からない。

 『寄生獣』もそうだが、こうしたものが日本でも受けるようになった理由は、ゾンビやスプラッター映画に影響された漫画家が創造したイメージやゲームの影響が大きいのでは、と推察する。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】『レヴェナント 蘇えりし者』

2016-04-23 17:01:49 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

何もかも奪われた時、人は何になるのか…
『レヴェナント 蘇えりし者』




詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1046896
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『クール・ランニング』

2016-04-22 08:11:07 | All About おすすめ映画

『クール・ランニング』(93)

事実は小説よりも奇なりの面白さ

 この時期のディズニー(ブエナ・ビスタ)映画は、少年アイスホッケーチームのコーチを主人公にした『飛べないアヒル』(92)など、人生に挫折した主人公がスポーツを通して再生する姿を描いたものを得意としていました。この映画は、ジャマイカのボブスレーチームが苦労の末にオリンピックに出場する模様をコミカルに描きます。

 まず、常夏の国ジャマイカのチームが冬季五輪に出場するという発想がユニーク。しかもフィクションではなく実話を基にしたというところが大きいのです。奇抜なアイデアを駆使した彼らの特訓を見ると、事実は小説よりも奇なりの面白さを感じることができます。そして最後は、五輪で健闘を見せた彼らの姿に拍手を送らずにはいられなくなります。

 この映画には、もともとは「参加することに意義がある」と唱えながら、金メダル至上主義へと変化した五輪やスポーツ界全体への痛烈な皮肉が込められています。4人の選手たちに加えて、コーチ役のジョン・キャンディがいい味を出していますが、惜しくもこの映画の日本公開直後に亡くなりました。

 監督はジョン・タートルトーブ。この映画を出世作とし、後に『あなたが寝てる間に…』(95)『フェノミナン』(96)などを手掛けました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『フェノミナン』

2016-04-20 09:22:20 | All About おすすめ映画

『フェノミナン』(97)

少しだけ世界を変えた男の話



 “現象”を表すタイトルのちょっと不思議な味わいを持った映画。アメリカの片田舎で平凡な暮らしを営むジョージ(ジョン・トラボルタ)は、37歳の誕生日の夜に、謎の閃光を目撃したことで不思議な力と天才的な頭脳を得ます。

 ジョージはこの奇跡を人々のために生かそうと考え、実行します。ところが、初めはジョージが起こす数々の奇跡に拍手を送っていた隣人たちが、彼の行動に疑問や恐怖を抱くようになり、彼を疎外し始めるのです。

 そして、四面楚歌の中でとうとうジョージは引きこもり状態に…。そんなジョージのもとを、恋人のレイス(カイラ・セジウィック)が訪れます。

 その時、ジョージの顔をおおった無精ひげをレイスがきれいにそってあげるシーンは、この映画のテーマである“再生”を的確に表現し、忘れ難いものになっています。やがてジョージの身に起きた奇跡は病のためだと分かり、レイスとの別れが訪れます。

 そしてラストシーン、エリック・クラプトンが歌う「チェンジ・ザ・ワールド」をバックに、“主人公のいない誕生パーティ”を見せながら、ジョージがまいたさまざまな種が結実した様子を見せて映画は終わります。

 そうですジョージは少しだけ世界を良い方向に変えたのです。このように、実際にはあり得ない話を、見ている間はそう感じさずに見せ切るのがアメリカ映画伝統の力技です。

 監督は『クール・ランニング』(93)『あなたが寝てる間に…』(95)を撮ったジョン・タートルトーブ。この映画も、心温まる反面、人生の厳しさや皮肉も感じさせ、本当に幸福な人生とは何なのかを問い掛けてきます。

 トラボルタとセジウィックに加えて、ジョージの親友役のフォレスト・ウィテカー、後見人的な町医者役のロバート・デュバルも実にいい味を出しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「真田丸」『清須会議』『ギャラクシー街道』

2016-04-19 20:58:52 | 大河ドラマ

「真田丸」『清須会議』『ギャラクシー街道』の意外な関係とは!?
というコラムを書きました。

詳細は↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/1046141

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする