今回のお題は、インディアンとの戦いで全滅した第七騎兵隊とカスターの物語『壮烈第七騎兵隊』(41)。原題の「彼らはブーツを履いたまま死んだ」とは、どうやら軍人の名誉を表す言葉のようだ。日本公開は戦後の1953年。
ジョージ・アームストロング・カスター(エロール・フリン)は1857年、ウェスト・ポイントの陸軍士官学校に入学。成績は開校以来最低といわれたが、勇敢なことも開校以来と評判となった。南北戦争勃発で卒業が繰り上げられ、カスターは恋人のリービー(オリビアデ・ハビランド)に別れを告げる間もなく、北軍に加って出征し、大きな勲功をあげて副少将にまで昇進した。
凱旋したカスターはめでたくリー ビーと結婚したが、退役軍人の生活はあまり幸福ではなかった。 そのことを気遣った妻の尽力でカスターは現役に復帰することになりダコタのリンカーン砦にある第7騎兵隊の司令官に任命されるが…。
正直なところ、騎兵隊ものはちょっと苦手なのでどうかと思ったのだが、大胆な脚色、前半のユーモアとロマンスに対して後半はシリアスという描き分け、新聞記事や字幕、あるいはデゾルブなど省略の技法を駆使したラオール・ウォルシュの演出の妙が味わえたし、名手バート・グレノンによる迫力満点の戦闘シーンにも目を見張った。『風と共に去りぬ』(39)と同じく「ディキシー」などを使ったマックス・スタイナーの音楽も印象的だ。
ただ、『小さな巨人』(70)など、いわゆるニューシネマで描かれたカスター像を先に見てしまったので、この映画の英雄的な描き方にはなじめなかった。果たして彼は英雄なのか虐殺者なのか、軍人としては有能なのか無能なのか、時代によって評価が変転するカスターをどう捉えるかは難しいところがある。
エロール・フリンとオリビア・デ・ハビランドというワーナーの名コンビの共演はこれが8作目で最後になったという。インディアンのクレージー・ホース役でアンソニー・クイン、敵役でアーサー・ケネディ、『風と共に去りぬ』と同じくメイド役でハティ・マクダウェルが出演している。