田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『永遠のジャンゴ』

2017-11-29 09:05:27 | 新作映画を見てみた

天才ギタリストの知られざる半生



 ナチスドイツが支配する欧州で生き抜いた、ロマ(ジプシー)の血を引く天才ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルト(レダ・カテブ)の知られざる半生を、実話を基に描く。

 ジャンゴは、ロマ音楽とスイングジャズを融合させた音楽で、後のミュージシャンに多大な影響を与えたことでも知られる。もちろん本作も、その演奏を再現しながら、人種や差別を超えて人々を魅了したジャンゴの魅力を十分に伝えてくれる。

 演奏シーンも含めて、ダンディなジャンゴを体現したカテブの好演も光る。

 だが、本作のユニークなところは、エチエンヌ・コマール監督が「ジャンゴは、迫り来る危険を聞き取ることを拒否し、目を閉ざしたミュージシャン」と語るように、ナチスの迫害を受けながらも、時代や政治の変化には無頓着で、自分さえよければいいと考えがちだったジャンゴの弱点も描いている点だ。

 ところが、それが決してマイナスにはならず、逆にジャンゴの音楽がより人間くさい魅力を持って見る側の心に響くところに、本作の意義を感じることができる。

 そんなジャンゴの曲が聴きたくなってちょっと調べてみたら、ルイ・マル監督が第二次大戦中の若者の悲劇を描いた『ルシアンの青春』(74)と、ジョゼ・ジョバンニ監督、アラン・ドロン主演で、ジプシーの血を引く犯罪者の姿を描いた『ル・ジタン』(75)で、ジャンゴの曲が使われていたことを思い出した。

 公開時に両作を見た時はジャンゴのことは知らなかったが、今回の映画を見たおかげで、ジャンゴの曲が使われた意味が分かった。40年ぶりの新発見がうれしい。
https://www.youtube.com/watch?v=1Ya6gD_89Vk

 ところでコマール監督によれば、『続・荒野の用心棒』(66)のセルジオ・コルブッチ監督は、ジャンゴのファンだったので、フランコ・ネロ演じる主人公の名とタイトルを「ジャンゴ」としたのだという。

 そして、彼が両手を潰され、銃が握れなくなりながらも、敵と闘う姿を描いたが、これは、やけどによって左手の薬指と小指に障害が残り、“3本指”でギターを弾き続けたジャンゴの姿から取られたらしい。

 また、ジプシーの言葉では、ジャンゴには「私は目覚める、気付く」という意味があるそうだ。こんなふうに、映画の奥に潜む意外な事実を知るのは面白い。

コメント (1)
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『ジャスティス・リーグ』

2017-11-28 07:00:58 | 新作映画を見てみた

やっと役者がそろった



 『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』から数ヵ月後の物語。絶大な力を得るために、三つのマザーボックスを手に入れようとするステッペンウルフを迎え撃つため、バットマン(ベン・アフレック)は、ワンダー・ウーマン(ガル・ガドット)、アクアマン(ジェイソン・モモア)、フラッシュ(エズナ・ミラー)、サイボーグ(レイ・フィッシャー)とジャスティス・リーグを結成する。

 「DCエクステンデッド・ユニバース」の第5作。スーパーマン(ヘンリー・カヴィル)も復活し、やっと役者がそろったという感じがする。今回はワンダーウーマンの魅力が爆発。ガル嬢本人も見る方も慣れてきた。若いフラッシュとサイボーグはフレッシュな印象を残す。また、ロイス・レーン(エイミー・アダムス)とマーサ・ケント(ダイアン・レイン)の存在がいいアクセントになっている。

 全体的には、マーベルにはない“暗さ”が魅力か。ラストに「カム・トゥゲザー」のカバーが流れるおまけもあり。

エズラ・ミラーとレイ・フィッシャーへのインタビューは↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1131655

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レッツエンジョイ東京「2018年お正月映画特集」

2017-11-27 17:16:57 | レッツエンジョイ東京

年末恒例の、ぐるなび レッツエンジョイ東京「2018年お正月映画特集」が公開に。



ラインアップは

【お正月映画BIG3!】
『オリエント急行殺人事件』
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
『キングスマン:ゴールデン・サークル』

【ファンタジー&ノスタルジー】
『DESTINY 鎌倉ものがたり』
『花筐/HANAGATAMI』

【ザ・対決】
『否定と肯定』
『ジャコメッティ 最後の肖像』

https://www.enjoytokyo.jp/feature/newyear/movie/

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『映画の森』「2017年11月の映画」

2017-11-27 16:46:44 | 映画の森
共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)11月27日号で、
『映画の森』と題したコラムページに「11月の映画」として5本を紹介。
独断と偏見による五つ星満点で評価した。

ラインアップは

どこまで広がり続ける…『マイティ・ソー バトルロイヤル』☆☆
映画はいかにして作られるのか『人生はシネマティック!』☆☆☆☆
監督に引退を撤回させた見事な脚本『ローガン・ラッキー』☆☆☆☆
大人が楽しめる正調喜劇『こいのわ婚活クルージング』☆☆☆
天才ギタリストの知られざる半生『永遠のジャンゴ』☆☆☆

クリックすると拡大します↓



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【インタビュー】『ジャスティス・リーグ』エズラ・ミラー、レイ・フィッシャー

2017-11-21 14:39:54 | インタビュー

11月23日公開の『ジャスティス・リーグ』で、フラッシュ/バリー・アレンを演じたエズラ・ミラーと、
サイボーグ/ビクター・ストーンを演じたレイ・フィッシャーにインタビュー。



陽気だが、受け答えは真面目な2人。
当たり前のことだが、自分の役柄について深く理解している。
今後が楽しみだ。

https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1131655

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『GODZILLA 怪獣惑星』

2017-11-20 07:17:36 | 新作映画を見てみた

ゴジラという存在は、ハードなSFとは合わない



 20世紀末、突如地球に姿を現した巨大生物ゴジラ。人類はゴジラとの半世紀にわたる戦いに敗れ、移民宇宙船にわずかな人々を乗せて地球を脱出する。だが宇宙には人類が生存可能な地はなく、移民船は地球に帰還することに。長距離亜空間航行での20年の間に、地球では2万年の時が流れていたが、ゴジラはまだ生きていた。人類とゴジラの戦いが再び開始される。

 これまでのどのゴジラとも一線を画す、シビアでハードな未来世界を舞台に、ゴジラと人類の因縁を描く3部作の序章、という謳い文句。確かに、実写とは違う、アニメでしか表現できないものはあるとは思うが、やはり、これは“ゴジラとは別物”と言うほかはない。そもそも、ゴジラという存在は、ハードなSFとは合わないものなのだ。

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『こいのわ婚活クルージング』

2017-11-19 07:07:58 | 新作映画を見てみた

大人が楽しめる正調喜劇



 歩きスマホの衝突を防ぐ電子機器の開発で成功した門脇誠一郎(風間杜夫)。だが、会社を私物化したかどで、突然社長の座を解任される。65歳の門脇は、第二の人生を共に歩むパートナー捜しを始めるが、そこに35歳の美人編集者(片瀬那奈)が現れて…。

 広島県庁の婚活事業「こいのわプロジェクト」を題材に、さまざまな事情を抱える男女の出会いを通して、現代社会が抱える問題を描いた婚活コメディー。広島の観光映画の側面もある。

 古くは『蒲田行進曲』(82)の銀ちゃんなど、エキセントリックなコメディー演技にも定評がある風間が、久しぶりにパワーを全開させて楽しませる。そんな風間とがっぷり四つに組んだ若い片瀬の健闘も光るが、金子修介監督は、この2人にジャック・レモンとゴールディ・ホーンのイメージを重ねて撮ったのだとか。

 確かに本作には、身近だが巧みな設定で笑わせるという、ハリウッド製のシチュエーション・コメディをほうふつとさせるところがある。最近では珍しい、大人が楽しめる正調喜劇だ。

主演の風間杜夫へのインタビュー掲載。↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1125863

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【ほぼ週刊映画コラム】『ローガン・ラッキー』

2017-11-18 15:05:30 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

アメリカのカントリー賛歌の側面もある
『ローガン・ラッキー』



詳細はこちら↓

https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1131399
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【インタビュー】『こいのわ 婚活クルージング』風間杜夫

2017-11-17 19:41:48 | インタビュー

突然社長の座を解任された65歳の主人公が、第二の人生を共に歩むパートナー捜しを始める。
そこに35歳の美人編集者が現れて…という、広島を舞台にした婚活ラブコメディー『こいのわ 婚活クルージング』



主演の風間杜夫へのインタビュー掲載。↓

https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1125863

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『シン・ゴジラ』(再)

2017-11-13 08:59:56 | 映画いろいろ

久しぶりに民放で映画を見た。



 ところで、日比谷シャンテ付近の工事のため、知らぬ間にゴジラ像とスターの手形が撤去されていた。東京駅周辺に移したら『シン・ゴジラ』のラストともつながって面白いかもしれないと思ったが、どうやらシャンテの地下に移動するらしい。



『シン・ゴジラ』については↓
http://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2895cc7360f7590115dcd7168ac36ac8
http://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/363561f56ae91573b66f8c75e3751a44

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