『マイノリティ・リポート』(02)(2005.7.19.)
2054年、米ワシントンでは未来を予知する超能力者と最新技術によって、罪を犯す前に犯罪者を逮捕する制度が運用されていた。ところが、捜査官のアンダートン(トム・クルーズ)は、殺人犯として予知されてしまう。アンダートンは必死に逃亡し、真実を暴こうとするが…。
『宇宙戦争』(05)の余波をかって未見だったこの映画をDVDで見てみた。クルーズの逃亡劇という点では、この映画の延長線上に『宇宙戦争』があるのは明らかだ。
さて、冒頭の殺人予知システムによる犯人逮捕のスピード感と緊張感が抜群で、こりゃあすごい映画かもと思わされたものの、その後、話が複雑になって説明が多くなり、最初の期待感からはいささか外れる。
このへんが、『プライベート・ライアン』(98)あたりからのスピルバーグの弱点、あるいはストレート勝負が出来なくなった衰えなのかな(『宇宙戦争』も)。
もっともこの映画はやはり原作者である“すれすれSF作家”フィリップ・K・ディックの味わいが濃くて、『トータル・リコール』(90)のダン・オバノンたち同様、今回のスコット・フランク、ジョン・コーヘンもまた、よくもまあこんな話をシナリオ化したなあという感じがする。ディックの“記憶”に対するイメージは夢魔に近い。
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