田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

「BSシネマ」『風と共に去りぬ』

2025-01-12 08:00:39 | ブラウン管の映画館

『風と共に去りぬ』(39)

スカーレットは金と土を手にした時に我に返る
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8d281dac8d3be0ae10bea71f54c57f07

『風と共に去りぬ』配信停止
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c9c866d7e9880236db1cb86fb46bbeaa

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ビデオ通話で西部劇談議『壮烈第七騎兵隊』

2025-01-11 18:44:45 | 駅馬車の会 西部劇Zoomミーティング

 今回のお題は、インディアンとの戦いで全滅した第七騎兵隊とカスターの物語『壮烈第七騎兵隊』(41)。原題の「彼らはブーツを履いたまま死んだ」とは、どうやら軍人の名誉を表す言葉のようだ。日本公開は戦後の1953年。

 

 ジョージ・アームストロング・カスター(エロール・フリン)は1857年、ウェスト・ポイントの陸軍士官学校に入学。成績は開校以来最低といわれたが、勇敢なことも開校以来と評判となった。南北戦争勃発で卒業が繰り上げられ、カスターは恋人のリービー(オリビアデ・ハビランド)に別れを告げる間もなく、北軍に加って出征し、大きな勲功をあげて副少将にまで昇進した。

 凱旋したカスターはめでたくリー ビーと結婚したが、退役軍人の生活はあまり幸福ではなかった。 そのことを気遣った妻の尽力でカスターは現役に復帰することになりダコタのリンカーン砦にある第7騎兵隊の司令官に任命されるが…。

 正直なところ、騎兵隊ものはちょっと苦手なのでどうかと思ったのだが、大胆な脚色、前半のユーモアとロマンスに対して後半はシリアスという描き分け、新聞記事や字幕、あるいはデゾルブなど省略の技法を駆使したラオール・ウォルシュの演出の妙が味わえたし、名手バート・グレノンによる迫力満点の戦闘シーンにも目を見張った。『風と共に去りぬ』(39)と同じく「ディキシー」などを使ったマックス・スタイナーの音楽も印象的だ。

 ただ、『小さな巨人』(70)など、いわゆるニューシネマで描かれたカスター像を先に見てしまったので、この映画の英雄的な描き方にはなじめなかった。果たして彼は英雄なのか虐殺者なのか、軍人としては有能なのか無能なのか、時代によって評価が変転するカスターをどう捉えるかは難しいところがある。

 エロール・フリンとオリビア・デ・ハビランドというワーナーの名コンビの共演はこれが8作目で最後になったという。インディアンのクレージー・ホース役でアンソニー・クイン、敵役でアーサー・ケネディ、『風と共に去りぬ』と同じくメイド役でハティ・マクダウェルが出演している。


 

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『雪の花 -ともに在りて-』

2025-01-11 11:35:22 | 新作映画を見てみた

『雪の花 -ともに在りて-』(2024.10.16.松竹試写室)

 江戸時代末期、有効な治療法がなく多くの人の命を奪ってきた痘瘡(天然痘)。福井藩の町医者・笠原良策(松坂桃李)は、痘瘡に有効な「種痘(予防接種)」という予防法が異国から伝わったことを知り、京都の蘭方医・日野鼎哉(役所広司)に教えを請い、私財を投げ打って必要な種痘の苗を福井に持ち込む。

 だが、天然痘のうみをあえて体内に植え込むという種痘の普及には、さまざまな困難が立ちはだかる。それでも良策は、妻の千穂(芳根京子)に支えられながら疫病と闘い続ける。

 『雨あがる』(00)『蜩ノ記』(14)『散り椿』(18・脚本)『峠 最後のサムライ』(22)などで、時代劇を通して人間の美しい在り方を描いてきた小泉堯史監督が、吉村昭の小説『雪の花』を映画化。

 今回は、多くの人々を疫病から救った実在の町医者の姿を描いているため、どうしてもコロナを意識したものとしてとらえられがちだが、小泉監督が「コロナを意識していないわけではないが、どちらかと言えば笠原良策という人物に引かれて撮った。歴史と伝統を大切に、医者として病に対峙し、いかに生きるか。その生き方を問う作品」と語るように、無名だが類いまれな人物だった笠原良策を世に知らしめたいという思いが強かったのだろう。

 そして、その結果として「時代劇、要するに歴史といっても人間の営みは現代と全く同じ。その時代に生きている人たちが今の自分たちにつながる」ところが大きいのだ。
 
 面白いのは、鼎哉と良策の師弟関係や良策の行動などに、小泉監督の師匠・黒澤明監督の小石川養生所を舞台にした『赤ひげ』(65)をほうふつとさせるシーンがあるところ。また、原作は吉村昭なのに、妻の千穂の人物像などに山本周五郎的なものを感じさせるところが小泉監督の真骨頂だ。

 良策と妻の千穂をはじめ、登場人物が皆いい人なのは出来過ぎの感もあるが、「爽やかな気持ちになって劇場を後にしてもらえたらうれしい」という小泉監督の言葉通りの映画にはなっていると思う。

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『サンセット・サンライズ』

2025-01-10 21:03:49 | 新作映画を見てみた

『サンセット・サンライズ』(2024.12.18.ワーナー試写室)

 新型コロナウイルスのパンデミックにより日本中がロックダウンや活動自粛に追い込まれた2020年。東京の大企業に勤める釣り好きの西尾晋作(菅田将暉)はリモートワークをきっかけに、南三陸に見つけた4LDKで家賃6万円の物件に“お試し移住”することに。

 仕事の合間には海に通って釣り三昧の日々を過ごす晋作だったが、地元住民たちはよそ者の彼のことが気になって仕方ない。晋作は一癖も二癖もある住民たちとの交流に戸惑いながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力で次第に人々の中に溶け込んでいくが…。

 岸善幸監督が脚本家・宮藤官九郎とタッグを組み、楡周平の同名小説を映画化したヒューマンコメディ。町のマドンナ的存在で晋作の移住先の大家でもある関野百香を井上真央が演じるほか、中村雅俊、三宅健、池脇千鶴、小日向文世らが共演。

 宮城県出身のクドカンは、昨年「不適切にもほどがある!」「季節のない街」「新宿野戦病院」といったテレビドラマで、自身の震災やコロナへの思いを癖のある人物たちに仮託して脚本を書いたが、この映画の脚本も同一線上にあると言ってもいいだろう。そのテーマは喪失と再生だ。

 この映画では、今振り返れば、失笑することもあるコロナ禍での規制、リモートによる在宅勤務に加えて、震災が残した傷、地方の過疎化による空き家などの社会問題をユーモアとペーソスを交えて描いている。菅田の個性が光り、宮城県女川町出身の中村がいい味を出している。

 もう一つの見どころは、南三陸のグルメの数々。「孤独のグルメ」の松重豊同様、菅田のあまりにもいい食べっぷりに目を奪われる。これも立派な南三陸のアピールだ。

 惜しむらくは、全体がいささか長くなったこととギャグにくどさがあった点。三谷幸喜同様、クドカンも本来は舞台やテレビドラマの人なので、映画になるとちょっとテンポや間が悪くなるところがある。

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『室町無頼』

2025-01-10 12:28:06 | 新作映画を見てみた

『室町無頼』(2024.12.13.東映試写室)

 1461年、応仁の乱前夜の京。人々は大飢饉と疫病に襲われ、人身売買や奴隷労働も横行していた。だが、時の将軍・足利義政(中村蒼)は享楽にふけっていた。そんな中、己の腕と才覚だけで乱世を生きる自由人の蓮田兵衛(大泉洋)はひそかに倒幕と世直しを画策し、立ち上がる時を狙っていた。

 一方、天涯孤独で夢も希望もない日々を過ごしていた才蔵(長尾謙杜)は、兵衛に武術の才能を見いだされて鍛えられ、彼の手下となる。やがて兵衛のもとに集った無頼たちは、巨大な権力に向けて暴動を仕掛ける。そんな彼らの前に、兵衛のかつての悪友・骨皮道賢(堤真一)率いる幕府軍が立ちはだかる。

 日本史上で初めて武士階級として一揆を起こした蓮田兵衛の知られざる戦いをドラマチックに描く、垣根涼介の時代小説を映画化した戦国アクション。監督・脚本は入江悠。

 昨年『碁盤斬り』『十一人の賊軍』が公開された白石和彌監督に続いて、入江監督も時代劇に参戦。この映画のユニークなところは、あまり時代劇映画の舞台にはならない室町時代を背景にし、実在したが無名の男を主人公としたため、自由度が高くなった点にある。それ故、アクションや設定にマカロニウエスタンや香港の武侠映画の要素を取り入れながら、独自の世界を構築している。大泉も長尾もみごとな殺陣を見せる。

 上記2作の白石監督と、『雪の花 -ともに在りて-』の小泉堯史監督にインタビューした際に、時代劇の魅力について尋ねると、どちらも「時代劇の魅力は自由なところで、そこに現代性を持たせることもできる」と語ってくれたが、この映画の入江監督に尋ねても同じような答えが返ってくるのではないかという気がした。

 その一方、『十一人の賊軍』とこの映画の製作・配給はかつて時代劇を量産し黄金時代を築いた東映で、『侍タイムスリッパー』にも協力している。そう考えると、これらの映画は“ニュー時代劇”ではあるが、ちゃんと伝統も継承しながら作られていることが分かる。こうして様々な形で時代劇が復活し、どんどん元気になっていくのはうれしい限りだ。

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【ほぼ週刊映画コラム】『劇映画 孤独のグルメ』『シンペイ 歌こそすべて』

2025-01-10 08:26:56 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『週末映画コラム』

今週は
空腹時に見てはいけない『劇映画 孤独のグルメ』
約2000曲を残した名作曲家の生涯を描いた『シンペイ 歌こそすべて』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1459101

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「BSシネマ」『大いなる西部』

2025-01-10 08:00:29 | ブラウン管の映画館

『大いなる西部』(58)

「お気楽映画談議」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a1a46cfb235a9718c22d837a28d10f40

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『男はつらいよ 葛飾立志篇』『明治侠客伝 三代目襲名』

2025-01-10 00:21:43 | 映画いろいろ

『男はつらいよ 葛飾立志篇』(75)(2010.7.17.浅草名画座)

 久しぶりに映画館で寅さんと再会。今回は寅さんが樫山文枝演じる大学の助手にほれて学問に目覚めるのだが、東大法学部卒のインテリである山田洋次が描く、無学な寅さんが持つ滑稽さや悲しみ、そして無学故のたくましさという二律背反がこのシリーズに深みを与えていると感じた。

 個人的には、シリーズの舞台である葛飾・柴又の隣町に引っ越してきてから1年がたち、「男はつらいよ」シリーズへの親しみがさらに増した。それと共に、年を取るにつれて山田洋次の人間描写の確かさや細かいシーンのうまさに気がつくようになった。


『明治侠客伝 三代目襲名』(65)

 時代劇(様式美)と実録やくざもの(リアリズム)の間に挟まれた徒花のような東映任侠映画の代表作。加藤泰監督のローアングルへのこだわり、鶴田浩二のどこまでも説教くさいセリフ回し、ある意味で娘の寺島しのぶよりもずっと生々しい藤純子、いかにも憎々しい悪役の安部徹と大木実の存在感、冒頭でアラカンを刺す脇役・汐路章のすご味、まだマイワールドを構築する前の丹波哲郎の怪しい演技など見どころ満載で楽しんだ。

 なぜかピストルを持っている客人の藤山寛美、ラストの出入りに赴く鶴田浩二が馬に乗って行くところや貨物列車からぬーっと姿を現すシーンには西部劇的な趣きもある。

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『されど魔窟の映画館 浅草最後の映写』 (荒島晃宏)

2025-01-10 00:16:07 | ブックレビュー

『されど魔窟の映画館 浅草最後の映写』 (荒島晃宏)

 かつての映画館のメッカ浅草六区に残った旧作映画とピンク映画を上映する昭和レトロな映画館群「浅草中映劇場」「浅草名画座」「浅草新劇場」「浅草世界館」「浅草シネマ」(一つの会社が経営)。だが、実はいわゆる「ハッテンバ」だったり、時には警察や消防が出動するなど場内はまさにカオス状態。

 多額の借金を背負い、そこに映写係で勤務することになった筆者が体験する疾風怒濤の日々。だが、かつては映画館街として栄えた浅草から、ついに映画館の灯が消える日がやってくる…。

 以前、『名画座番外地:「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記』(川原テツ)という本を読んだが、本書も同じように個性的な映画館に勤めた者にしか書けない代物で、カオスから閉館に至るまでの、おもしろうてやがて悲しき物語だった。その川原氏は浅草名画座にも籍を置いていたらしいが、『名画座番外地』と本書の違いは、筆者の荒島氏が映写係であるところだろう。それ故、映写係から見た映画館や観客というユニークな内容になっている。

 荒島氏は自分とほぼ同年代。文中で、1982.4.10.に浅草東宝のオールナイトで『獣人雪男』『怪獣大奮戦ダイゴロー対ゴリアス』『妖星ゴラス』『キングコング対ゴジラ』『世界大戦争』という東宝特撮5本立てを見たと記しているが、自分もその時そこにいた。

 また荒島氏が映写技師をしていた大井武蔵野館と自由が丘武蔵野館(旧武蔵野推理劇場)には自分もよく通った。

 加えて、荒島氏は2011年に『映画館のまわし者: ある映写技術者のつぶやき』を近代映画社から出しているが、その前年に自分も同じ近代映画社から『人生を豊かにするための50の言葉 名作映画が教えてくれる最高の人生の送り方』という本を出した。何か、いろいろとかすっていると思いながら読み進めていくと親近感が湧いてきた。

 さて、浅草東宝よりも浅草六区の奥にある映画館群はやはり怖さが勝って足を踏み入れたことがなかったが、2010.7.17.『男はつらいよ 葛飾立志篇』『明治侠客伝 三代目襲名』で浅草名画座にデビューした。

 そして、スカイツリー元年となった2012.4.レッツ・エンジョイ東京「違いのわかる映画館」で浅草中映劇場と浅草名画座を取材した。話を聞いたのは広報係もやっていたという荒島氏ではなく、支配人だった。中映劇場と名画座は同年の10月に閉館したから、まさにぎりぎりで間に合った取材となった、


【違いのわかる映画館】vol.19 浅草中映劇場/浅草名画座(2012.10.閉館)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2404ff037e7fc20f6a39c6a8e14245dc


 

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【インタビュー】映画『サラリーマン金太郎』【暁】編 /【魁】編 鈴木伸之

2025-01-09 09:16:46 | インタビュー

 元暴走族のヘッドでマグロ漁師からサラリーマンの世界に飛び込んだ不屈の男・矢島金太郎が、持ち前の度胸や腕っぷしの強さを武器に令和の社会で大暴れする姿を描く映画『サラリーマン金太郎』【暁】編 (1月10日公開)/【魁】編(2月7日公開)。2部作となった本作で主人公の金太郎を演じた鈴木伸之に話を聞いた。

「金太郎は働くサラリーマンの味方であるべき存在」
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1458866


『映画 サラリーマン金太郎【暁】編』『映画 サラリーマン金太郎【魁】編』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f76965f8f68827377ff57fff0b25cf05

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