「ほらほら、いつまでのんびりしてるの。はやくしないと仕事に遅れるわよ !! 」
平日の朝の食卓。時間を気にせずゆっくりとコーヒーを飲んでいるわが娘はいつもマイペースだ。
「えっ! やだっ、もうこんな時間! 」
だから言わんこっちゃない。娘のとなりでご飯を食べている孫娘も驚いて娘の顔を覗き込んる。
「あかりっ、ママはもう仕事に行くから、きちんとご飯食べなきゃだめよ。」
「は~い」
汗汗する娘に対し、無邪気に返事をする孫娘。ホントおりこうさんね。
「母さん、あかりのことよろしくたのむわね。 あ~っ、いけない! 書類忘れた!!」
ジャケットに袖を通しながら慌ただしく部屋へ書類を取りにゆく。恥ずかしながら、こういう所は私にそっくりだなといつも思ってしまう。
「あかりちゃんのことはいいから、自分の事しっかりなさい! ほらっ、あなたもっ! いつまでも新聞読んでないで、早くしないとバスに乗り遅れるわよ。」
「はいはい。母さんはせっかちだねぇ。」
「なにをおしゃいますやら。私がお尻を叩かないとなかなか動かないでしょ。はい、お弁当。」
「ありがとう。」
「おとうさん。途中まで車で送ってこうか? 」
「そういうのもたまにはいいかぁ・・・・・・。いや、でも、遅れてるわけじゃないから父さんはいつも通りバスに乗っていくよ。じゃあ、まいりましょうか。」
夫と娘は顔を見合わせると、互いに頷いた。
「では、いってきます。」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」
二人を玄関まで見送りし、早足でリビングまで引き返す。
「ふぅ。毎日の事とはいえ大変だわ~。ほらほら、あかりちゃん。お味噌汁がこぼれてるわよ。」
「あ~っ。」
テーブルの上に置いてあるティッシュで、孫娘の服を拭く。
「ほらほら。お洋服が汚れちゃうでしょ。しょうがないわねぇ。」
夫と娘を送り出した後、孫娘の身支度を整え保育園の送迎バスの停留所まで送る。これが私の朝の役割。少し慌しいけれど乗り切った後の達成感や夫や娘や孫が元気でいてくれる事に幸せを感じている。
あかりちゃんを送った後、静かになったリビングで紅茶を入れ、ふわりと立ち上る湯気と香りを楽しみつつそっと口に含む。
この瞬間から、お婆ちゃん、お母さん、妻という肩書から解放され、「わたし」にもどる。
さっきまで夫が読んでいた新聞を手に取る。紙面にはあいかわらず憂鬱な出来事で埋め尽くされているけれど、私にはどうすることも出来ない。
だから、いつも気になったトピックだけを読むようにしている。じっくり読まず、手際よくページをめくってゆく。この方がなんか楽でいい。
「あらっ」
地方版に掲載されていた一枚の見覚えのある写真に思わず目が留まる。確かこの木は・・・・・・。
平日の朝の食卓。時間を気にせずゆっくりとコーヒーを飲んでいるわが娘はいつもマイペースだ。
「えっ! やだっ、もうこんな時間! 」
だから言わんこっちゃない。娘のとなりでご飯を食べている孫娘も驚いて娘の顔を覗き込んる。
「あかりっ、ママはもう仕事に行くから、きちんとご飯食べなきゃだめよ。」
「は~い」
汗汗する娘に対し、無邪気に返事をする孫娘。ホントおりこうさんね。
「母さん、あかりのことよろしくたのむわね。 あ~っ、いけない! 書類忘れた!!」
ジャケットに袖を通しながら慌ただしく部屋へ書類を取りにゆく。恥ずかしながら、こういう所は私にそっくりだなといつも思ってしまう。
「あかりちゃんのことはいいから、自分の事しっかりなさい! ほらっ、あなたもっ! いつまでも新聞読んでないで、早くしないとバスに乗り遅れるわよ。」
「はいはい。母さんはせっかちだねぇ。」
「なにをおしゃいますやら。私がお尻を叩かないとなかなか動かないでしょ。はい、お弁当。」
「ありがとう。」
「おとうさん。途中まで車で送ってこうか? 」
「そういうのもたまにはいいかぁ・・・・・・。いや、でも、遅れてるわけじゃないから父さんはいつも通りバスに乗っていくよ。じゃあ、まいりましょうか。」
夫と娘は顔を見合わせると、互いに頷いた。
「では、いってきます。」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」
二人を玄関まで見送りし、早足でリビングまで引き返す。
「ふぅ。毎日の事とはいえ大変だわ~。ほらほら、あかりちゃん。お味噌汁がこぼれてるわよ。」
「あ~っ。」
テーブルの上に置いてあるティッシュで、孫娘の服を拭く。
「ほらほら。お洋服が汚れちゃうでしょ。しょうがないわねぇ。」
夫と娘を送り出した後、孫娘の身支度を整え保育園の送迎バスの停留所まで送る。これが私の朝の役割。少し慌しいけれど乗り切った後の達成感や夫や娘や孫が元気でいてくれる事に幸せを感じている。
あかりちゃんを送った後、静かになったリビングで紅茶を入れ、ふわりと立ち上る湯気と香りを楽しみつつそっと口に含む。
この瞬間から、お婆ちゃん、お母さん、妻という肩書から解放され、「わたし」にもどる。
さっきまで夫が読んでいた新聞を手に取る。紙面にはあいかわらず憂鬱な出来事で埋め尽くされているけれど、私にはどうすることも出来ない。
だから、いつも気になったトピックだけを読むようにしている。じっくり読まず、手際よくページをめくってゆく。この方がなんか楽でいい。
「あらっ」
地方版に掲載されていた一枚の見覚えのある写真に思わず目が留まる。確かこの木は・・・・・・。