家に帰ると、次郎はこれから起こるであろう出来事と、その際の対処を詳細にまとめた手紙を母と加代にしたため、部屋の机の上に並べた。そして、その晩の夕食の後、母と加代に診断の結果と今後の所在を伝えると二人はしばらく黙っていた。結核は不治の病であり、治療の為に高原の療養所へ行く事は、死を意味し、生きては戻ってこられない事が通説であったが、次郎はそれでも二人の気持ちを察して、
「すいません。せっかく帰って来たのにこんな事になってしまって・・・・・・」
と言って、頭を下げた。
加代は涙をこぼれるのをこらえていたが、母はまっすぐに次郎を見つめていた。気丈であった。それは、この地から戦場へ行った若者たちを何人も見送り、戦死公報だけが届いた母親の悲しみを十分すぎるほど理解していたからだった。
「・・・そうですのね。分かりました。しっかり治療していらっしゃい。母はいつまでも貴方の帰りを信じて待っていますから。」
と、母が言うと、加代は涙をこぼし、言葉を詰まらせながら、
「・・・もっと勉強して・・・、結核なんて・・・、あっという間に直す・・、治療法を見つけて・・・、絶対お兄様を助けるから・・・。」
と言った。加代の気持ちが痛いほどわかった次郎は、
「ありがとう。でも、心配しなくてもいいよ。自分で言うのもなんだけれど、模範的な患者になる才能があると思うから。」
と、言って笑った。加代はそれを聞いて
「いやあね。お兄様ったら。」
といって、涙を拭きながら微笑んだ。それは余り冗談を言わない次郎が加代に対して今できる精いっぱいの思いやりでもあり、次郎の気持ちを察した加代の優しさでもあった。
「すいません。せっかく帰って来たのにこんな事になってしまって・・・・・・」
と言って、頭を下げた。
加代は涙をこぼれるのをこらえていたが、母はまっすぐに次郎を見つめていた。気丈であった。それは、この地から戦場へ行った若者たちを何人も見送り、戦死公報だけが届いた母親の悲しみを十分すぎるほど理解していたからだった。
「・・・そうですのね。分かりました。しっかり治療していらっしゃい。母はいつまでも貴方の帰りを信じて待っていますから。」
と、母が言うと、加代は涙をこぼし、言葉を詰まらせながら、
「・・・もっと勉強して・・・、結核なんて・・・、あっという間に直す・・、治療法を見つけて・・・、絶対お兄様を助けるから・・・。」
と言った。加代の気持ちが痛いほどわかった次郎は、
「ありがとう。でも、心配しなくてもいいよ。自分で言うのもなんだけれど、模範的な患者になる才能があると思うから。」
と、言って笑った。加代はそれを聞いて
「いやあね。お兄様ったら。」
といって、涙を拭きながら微笑んだ。それは余り冗談を言わない次郎が加代に対して今できる精いっぱいの思いやりでもあり、次郎の気持ちを察した加代の優しさでもあった。