お見舞いに来てくださった方からの頂き物の中に見事なリンゴがあったとき、島崎藤村の詩の中に「リンゴのもとに見えしとき・・・」と云う詩があったなあ、と思い始めた。高校生の頃全部暗記して友人に云って見せ得意がっていたなあ、と思い始めたがナカナカ思いだせない。いくら努力しても出てこない、間もなく80歳だから、これが80歳になるということだ、などと余計なことを考えていたりしていた。ところが、今朝突然ツルツルと出てきた。
「初恋」 島崎藤村
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君とおもひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
ひとこひ初(そ)めしはじめなり
わがこころなきためいきの
その髪の毛にかかるとき
たのしき恋の盃(さかづき)を
君が情[なさ]けに酌(くみ)しかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰(た)が踏み初(そ)めしかたみぞと
問たもうことこそこひしけれ。(T)(一部ネット検索による)
散歩道で。