寒がりのオソマツ君であるが、今日は午後からポカポカ陽気で「館内散歩」と称していつものコースを車いすを漕いで出かけた。
最初は3階の中央部にある大きな角ガラスのところで、此処から眼下に広がる田圃や畑を眺める。
今日は驚いた。昨秋刈取り2月頃から彦生えまで出していた稲の切株がきれいに掘り起こされ土と混ぜられていたからだ。こうして、
4月5月になれば、切株は完全に腐敗し新しくうえられた稲の肥やしとなることだろう。
人間はお米だけ横取りして、後は全て土にお返しして大自然にお返ししていると云えなくもない。稲作を始めた弥生時代からの作風なのだろう。
オソマツ君は中学高校時代、よく農作業を手伝っていたので、田圃を見るとすべてのことがすぐに分かる。機械化が進んだことまでよくわかり、感無量になる。
同じ階の書家は舞鶴ご出身で、魚を取る船に乗っておられたとかで、畑や田圃を見ても何も思わないとおしゃっておられた。そうかもしれない。
とすれば、僕は子供の頃よく農作業を手伝わされたことに感謝すべきだろう。
そのおかげで、今田圃や畑を見ていると、いつの間にか、そこに、子供の頃のぼくと、1歳年上の兄の姿が重なって見えてくる。(T)
田の麦