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ITニュース、ほか何でもあり。by KGR

ITニュースの解説や感想。その他、気になる話題にもガンガン突っ込む。映画の感想はネタばれあり。

試写会「今夜、列車は走る」@セルバンテス文化センター

2008-03-21 23:21:53 | 映画感想
市ヶ谷、麹町のセルバンテス文化センターでの開催。
この会場は初めて。(会場の様子は別途)
 
アルゼンチン映画。
全編スペイン語のため、字幕に頼らざるを得ない。

物語の肝に入る部分を最初に出し、
時間をさかのぼって最初から語り出す手法で、
時系列を多少入れ替えてあるが、そんなにわかりにくくはない。

サン・ルイス(アルゼンチンの都市)の「脚本賞」を取って、
同市の映画補助事業の援助を受けて作られた作品。

原題は「Proxima Salida」
意味は「次の出口」

***

鉄道会社の事務室。
一人の男が何かを書き残して拳銃自殺をする。

雨の中、3人の子供が走る。
今、僕たちが行動を起こすときだ、みたいなナレーション。

TVでうす禿の男が、キャスターの質問に答えている。

「どうしようもないんです、我々は鉄道員であることに誇りを持っていました」
なんてことを答えている。



話は、何カ月か前に遡る。

労働組合の幹部アントニオ(アルベルト・スアレズ)が、
組合員に廃線の告知と退職の同意を求めている。

しょうがないと諦める者もいれば、絶対同意しないぞと
怒りをあらわにするものもいる。

鉄道一筋で、ほかに職を考えたこともない人々が突然、会社の都合で首。

形式上は自主退職に追い込まれてしまった。
突然収入がなくなり、退職金も借金返済で消えてしまった。
医療保険にも入れないし、失業手当ももらえない。

そんな状況に中産階級だった何人かに焦点を絞って話は展開していく。

一人はカルロス(ダリオ・グランディネティ)、
娘とかみさん(メルセデス・モラン)がいる。
新しく職を探して回るが、なかなかうまくいかない。

ゴメス(オスカル・アレグレ)、
独り者で馴染みの女カルメン(ルシリア・カペロ)と寝る金もない。

ダニエル(パブロ・ラゴ)はかみさん(バレンチナ・バッシ)と
ぜんそくの子供がいる。
カロイエロ(クラウディオ・リッシ)に仕事探しを頼んでいるというが、
かみさんは胡散臭いと踏んで信用していない。

アティリオ(バンド・ビリャミル)自家用車を使って配送屋に就職するが、
客に騙され、悪がきにパンクさせられと散々な目にあう。

そして、唯一、退職同意書にサインしないで修理工場に居座る
ブラウリオ(ウリセス・ドゥモント )。

それぞれのつらい日々が繰り返される。

最も怪しい道に進むかと思われたダニエルは、
実はスーパーの警備員に就職できた。

ある日、アティリオはTVの配送で、
アントニオの家に行き、古いTVをもらって喜々とする。

そして、2人の男とゴメスをスーパーに送るが、
ゴメスからアントニオが裏切り者だと聞かされ、怒る。

アティリオはガソリンを取りに修理工場に戻るが、
プラウリオは心臓まひで息絶えていた。

やけくそで家の修理をしていたカルロスの目に飛び込んできたのは、
ゴメスが仲間とスーパーを襲っているというニュースだった。

カルロスは、いてもたってもいられず
TV局に乗り込んで鉄道会社の理不尽さを訴える。

スーパーで図らずも対峙することになったゴメスとダニエル。
そんな彼らにもカルロスの訴えが飛び込んできた。

そして、その時、全員が目を奪われたものは、、、、
彼らの運命はどうなってしまうのか、、、。

***

監督です。
強面(こわもて)に見えますが、温厚な好青年という感じでした。





社会派ドラマです。
しかし、監督の意図は、政府批判でも国鉄民営化反対でもありません。

アルゼンチンの国鉄民営化になぞらえてはいますが、
何とかやってきてこれからも現状が続いていくと思っていた
普通の中流階級の人たちが、突然、職を失い、
まったく先が見えない、出口の見えないトンネルに追い込まれてしまった。

そんな人たちが必死に努力してあるものは堕ち、
あるものは這いあがり、あるものは命を失う。

そしてそんな彼らに出口を見せることはできるのか。

いつの時代にもどの国にでも、ひょっとしたら
自分にも起こりうることをテーマとしており、
ドキュメンタリーが主眼ではない、ということのようです。


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1 コメント

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コメントありがとうございました! (mezzotint)
2008-10-11 22:53:54
KGRさん
今晩は☆★
いつもお世話になっております。
日本の裏側、アルゼンチンも厳しい状況のようですね。まあ何処もかしこも、多かれ少なかれ、末端で
働く労働者の皆さんにしわ寄せがいくのは当たり前のようです。突然の解雇で、大人たちがどうしていいのか?分からない。その姿がヒシヒシと伝わってきました。とりあえず何か行動を起さないといけないと、
立ち上がった若者の心意気に拍手を送りたいと思い
ました。地味だけど、良い作品でした。
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