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キリンとサントリーの合併頓挫

2010-02-08 21:35:36 | 政治経済
キリンとサントリー、経営統合交渉が決裂(読売新聞) - goo ニュース

本当のところ、個人的には統合によってあまり巨大化するのはよくないと思ってました。

体感的にはマーケットが大きくなればなるほど生き残れる企業数が減ると考えていますが、
経営統合によって海外展開を加速することが、国内の消費者の利益にかなうのかどうかは
不透明だと思ってました。

市場の評価は合併頓挫で失望=株価急落、裏を返せば合併でさらに儲かるだろうとみていたわけですから、
あながち私の見方も間違っていないかもしれません。

キリン株価急落、5か月ぶりの安値(読売新聞) - goo ニュース

それはともかく、後付けではありませんが、このところのニュース記事を読んでいて、
ひょっとしてうまくいかないんじゃないかとうすうす思ってました。

記事を読む限り、上場企業と非上場企業の方向性の違いが埋まらなかったように読めます。

創業家の利益を確保したい気持ちは、大株主の利益を確保したいということですが、
ある意味株主全体の利益を確保したいということにもなるのでおかしいとは言いませんが、
創業家の経営に対する発言力を維持したいということなら、ちょっと違うんじゃないかという気がします。

サントリーがそうだとは言いませんが、会社を創業家のもののように表現するケースがたまにあります。

経営と保有は別。

創業者が多数の株を保有し大きい利益を得ること自体は悪いとは思いません。

創業者が技術的にも経営にも長け、また人物としてもすぐれていたからこそ、
会社が大きく発展したのも事実でしょう。

しかし、一族が何代にもわたって創業者と同じ能力を持ち、同じ力を発揮するとは限りません。

専門性の高い世界ではあり得ると思います。

社長自らが最高の技術者であり続けるような、いわば芸術的技能によって商品が成り立つような世界では、
技術技能の伝承が大事で、それが世襲に近い形で受け継がれていくことはあり得るでしょう。

しかし、事業規模が拡大し商品の幅も広がってくれば、創業者一族だからと言って
特にその会社の経営に抜きんでて優秀であるという保証はないでしょう。

創業者がいかに立派で大きい貢献をしたからと言って、その一族が長年にわたって
経営に君臨することはいいこととは思えません。

サントリーはそんなことはないと思いますが、やはり方向性が微妙に違うんでしょうね。

** 追記

サントリーの社長の談によれば、「オーナー企業とパブリック企業の違い」ということで、
キリンの社長は「透明性や独立性が保てない」と述べたと伝えられる。

創業家一族が1/3超の株を保有することで「拒否権」を持つことになり、
ここがお互いに譲れない一線となったようだ。

つまり、サントリーは、創業家が株の90%を握り、経営にも大きくかかわっているし、
今後もかかわりを持ち続けたいと考えている。

現に重要事項決定に際しては、創業家にお伺いを立てているそうで、
経営と所有が混然一体としているし、今後もそうありたいというわけだ。

一方のキリンは上場企業であり、
特定の株主の意向で経営を左右されるのは好ましくないと考えているわけで、
お互いに相譲れないのも仕方がないのだろう。

サントリーの社長は、相違点は合併比率だけと言っていたが、
これがまさしく創業家の経営への関与そのものであり、
経営の透明性独立性と表裏一体のことだから、「何が透明でないのか教えてほしい」というのは、
分かっていて言っているとしか思えない。

この考え方の違いは、それぞれに長短あろうが、簡単にどちらかが譲れるとは思えず、
今にして思えば、壊れるべくして壊れた縁談なのかもしれない。

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