「 ガッシャ ガガガ ガリガリ ドーン! 」
暗い病室の中に、ホシザキの氷剥離音が響く。
おぼろげに起きたヒゲ。
そうか!?
あれは、昨日の夕食後、カァちゃんの肩を借りて、ベッドに移動した時からか。
それだけで力尽き、貧血模様に。
カァちゃんも直ぐに、蒼白くなったヒゲの異変に気付く。
腰に力を入れると、筋肉周りに大きな痛みが! 「 ひぇ~ 」
もうこれは、病院に行くしかないなぁと、諦めた瞬間を思い出す。
次の日(12/8)、先ずはかかりつけの地域医療センターへ。
病院の車椅子を借りてきたカァちゃんが、ヒゲを運ぼうとするのだが、
前車輪が小さく、凸凹の一般道は大変だ。
やっとの思いで辿り着き、暫くの問診の後、手術した国立病院に行く方が良いとなった。
前ブログの通り、VIP(?)な対応で主治医の処へ。
詳細を問診・触診した後、先ずは、脳梗塞の疑いからとMRI検査に。
「 先生、この方、重症な閉所恐怖症なんですが ・・・
最初の手術後なんですよね。 」
「 無理でも、やってもらいます。 奥さんも付いていて良いですよ。 」
「 ○○さぁん、 ●●を□□cc持って来て~ 」
「 注射しましょう! 」
主治医とカァちゃんは相性が良いようで、ニヤリ笑いをしながら、ヒゲをいたぶる?
ヒゲをおとなしくさせておこうというつもりだ。
頭部異常なし。
時間を置いて、腰部のMRIも異常なし。
当然、入院の段取りとなるが、部屋が空いてない。
去年の手術後いたCCU横の処置室で一晩明かすことになった。
移動・検査・諸々の疲れで、直ぐにウトウトと寝てしまう。
冒頭の音で目を覚ましたヒゲ。
「 今、何時なんだろう? 」
時計も無い、白いカーテンで仕切られた狭いベッド。
時折聞こえる製氷機の音だけが仲間か?
そう云えば、この音には、馴染みがあるぞー。
90年代、深夜の田園・吉兆の間。
薄暗い部屋に、ヒゲ一人でお泊り。
機械音だけが、時折聞こえてきます。
ホシザキ製氷機が、氷を熱線でカットして、ドーンと落とす擦禍音。
ビール冷蔵庫の冷却ファンが、突然廻り始める音。
一人きりなら、こんなモンでも仲間に感じるから不思議です。
そして朝早く、モーニングコールで起こされます。
目も覚めやらぬ足取りで向かうのは、岩田屋伊勢丹デパート(現在の熊本県民百貨店)。
朝一番の行列の中に。
年に一度の “ 西日本西部伝統工芸展 ” に、一番槍で乗り込む為です。
二日酔いの香り漂わせたヒゲは、早い者勝ちで工芸品の入札をしていったので御座いました。

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