私の住むところから歩いて20分ばかりの所に 50坪ほどの小さな湿地がある。 湿地といってもそこの上は住宅地で その高さ5メートルぐらいの土手の斜面は近くの農家の土地だ。 昔、その高いところから崖崩れがあったそうでえぐれたような地形になった。 そして上から染み出る水でじめじめしている。そこに 大阪ではとても希少な花が次々と咲く。春が来ると真っ先にシハイスミレが咲き、そのあとタチシオデ、クチナシグサ、ヒメハギ、5月に入ると「ヤマトキソウ」が咲く。その「ヤマトキソウ」が 「今年はたくさんの花が開花している」と 仲間から連絡が入り 飛んで行った。「トキソウ」に似ているが この「ヤマトキソウ」はもっと小さく地味目だが 今年は30株ほど 開花している。5.6年前に発見したのだが それからずいぶん株が増えたものだ。
作業小屋では地主のKさんが 夫婦で田植えの準部をしておられた。私が 病気を繰り返していたこと 夫が亡くなったことはご主人は知っておられたが あまり畑には出てこられない奥様はご存じなかった。夫が亡くなったことを知って 残念がってくださった。 「前に畑で一輪車が倒れた時に 居合わせた夫がすぐさま助けに来てくれた」と言われた。いつも誰にでも優しい夫だったが そんな風に覚えていてくださってうれしかった。夫が亡くなって2年半になる。
この湿地はこれから秋の「ウメバチソウ」の季節まで 次々と絶滅危惧種の植物が咲く。地主さんが 折を見て草刈りをしてくださるので いい状態が保たれている。 モウセンゴケ、カキラン ササユリ コオニユリ ヤマサギソウ ヌマトラノオ ミソハギ リンドウ イヌセンブリ。 楽しい場所です。