私の記事を読んでくださっている皆様へ
皆様のブログからは未知の世界を、 心の広さを、知ることができ、感性が豊かになり、
うきうきとしてきます。
あなた様のこれからがいい日々でありますよう、
お祈り申し上げます。
私も研鑽いたします。ありがとうございます。
弁慶と義経公(平泉・弁慶堂)
義経公 享年31歳 弁慶 享年38歳
弁慶が彫った像
高館城落城と共に義経と奮戦し衣川中で立ち往生悲憤の姿となります。
戦いに出る前、勝利の請願、三日三晩で彫り上げた自作像を地蔵堂に奉納
大男といわれる弁慶の繊細な胸の中を知らされる像。でしょうか・・・
皆様のブログからは未知の世界を、 心の広さを、知ることができ、感性が豊かになり、
うきうきとしてきます。
あなた様のこれからがいい日々でありますよう、
お祈り申し上げます。
私も研鑽いたします。ありがとうございます。

弁慶と義経公(平泉・弁慶堂)
義経公 享年31歳 弁慶 享年38歳


弁慶が彫った像
高館城落城と共に義経と奮戦し衣川中で立ち往生悲憤の姿となります。
戦いに出る前、勝利の請願、三日三晩で彫り上げた自作像を地蔵堂に奉納
大男といわれる弁慶の繊細な胸の中を知らされる像。でしょうか・・・
【節三・memo】
父新助に謹慎守れと言われた節三が畦道を小坂川の方角へ歩いているのが見えた。
腕を組み、歩幅を狭く歩く節三の顔からは、いつもの獲物を狙う精悍な顔つきが消えていた。
十五歳の少年が初めて経験する「大義名分のない他人の死」「相手の死を目的にしたのではない、結果としての死」
何もできない自分の力。得体のしれない圧力は節三を押しつぶし、節三は必死に圧力と対抗した。だが得体のしれない魔物は容赦なく節三を襲い離れようとしない。
雲間の朝陽が一面灰色だった靄を白く照らし変え始めたが、節三はすり減った高下駄の尾がジワリと冷えて来るのを感じながら、もやの向こうに消えていった。
謹慎三日目、新助と戍太郎が節三の喧嘩相手を見舞に行ったその夜、節三は二人に呼ばれた。
破れた袴の裾を手繰り上げ、いつもはドスンドスンと音を立てて歩く節三であったが、今日は神妙な顔つきになり、音を消して部屋の中に入った。
部屋に入ると、酒の匂いがする。新助と戍太郎が一杯ひっかけていた。
新助の盃に酒を注ぎながら戍太郎が
「節三、お前はこれからも喧嘩をするか」聞いた。
あっけにとられている節三に戍太郎がさらに
「相手が弱いと思ったら、ほどほどにしろ、児玉師範も言っていた。相当の腕前だと褒めていた。一、二番を競っているそうじゃないか。今回のようなことをまたしでかしたら、好きな柔道もできないようになるぞ」
変だ。節三は戍太郎の口調についていけなかった。
喧嘩相手の様子が聞けない。後回しになっている。
「売られた喧嘩はする」
しないとは約束しない節三であったが、部屋で反省しろと言われ引き下がった節三を、母のクニとミツが待っていた。
いきなりミツが
「よかったな、節三。先方さんは生きているんだと。巡査が言っていた意識不明になった、というのは、ただ寝ていただけのことだと、ただ、足の骨が折れて、夜中には、吐き気がして、夜中ええらい騒ぎになったらしいがな、それを聞いた巡査が父さんからお金をだまし取る芝居を作ったらしい、父さんもどの位、渡したか言わなかったけど相当のお金だったんだろうね、巡査は少しだけ先方さんに渡すと、そのままいなくなったということだ。花輪村の駐在に行ってそれがわかってな、血が昇ってどなたらしいけど、バツが悪いと思ったのか分からないけど、お前や私らのことを考えるといくらかホットしたって訳だ。帰りはお前の道場へ寄って師範とお会いになり、お前を通わせますからよろしくと、お願いして来てね、道中父さんと兄さんは、節三にはお灸をすえるつもりで黙っていようと示し合わせてきたようだ、よ」
節三はくたっと腰を落とした。
クニが
「喧嘩はやめられねぇのか」
とつぶやいた。
「うん」その返事は、するともしないとも取れる低い声だった。
「明日から勉強も道場も真面目に通いなさいよ。今日は早く寝なさい」
ミツは立ち上がりながら上機嫌で節三の肩をポン、ポンと叩いた。
事の前後が理解できないまま、いつの間にか深い眠りに節三は、あくる日、相変わらずの破れ袴に二人分の弁当を持って学校に行ったが、先生の眼を盗み教室を抜けだし、道場に向かって一目散に駆けだした。
腕を組み、歩幅を狭く歩く節三の顔からは、いつもの獲物を狙う精悍な顔つきが消えていた。
十五歳の少年が初めて経験する「大義名分のない他人の死」「相手の死を目的にしたのではない、結果としての死」
何もできない自分の力。得体のしれない圧力は節三を押しつぶし、節三は必死に圧力と対抗した。だが得体のしれない魔物は容赦なく節三を襲い離れようとしない。
雲間の朝陽が一面灰色だった靄を白く照らし変え始めたが、節三はすり減った高下駄の尾がジワリと冷えて来るのを感じながら、もやの向こうに消えていった。
謹慎三日目、新助と戍太郎が節三の喧嘩相手を見舞に行ったその夜、節三は二人に呼ばれた。
破れた袴の裾を手繰り上げ、いつもはドスンドスンと音を立てて歩く節三であったが、今日は神妙な顔つきになり、音を消して部屋の中に入った。
部屋に入ると、酒の匂いがする。新助と戍太郎が一杯ひっかけていた。
新助の盃に酒を注ぎながら戍太郎が
「節三、お前はこれからも喧嘩をするか」聞いた。
あっけにとられている節三に戍太郎がさらに
「相手が弱いと思ったら、ほどほどにしろ、児玉師範も言っていた。相当の腕前だと褒めていた。一、二番を競っているそうじゃないか。今回のようなことをまたしでかしたら、好きな柔道もできないようになるぞ」
変だ。節三は戍太郎の口調についていけなかった。
喧嘩相手の様子が聞けない。後回しになっている。
「売られた喧嘩はする」
しないとは約束しない節三であったが、部屋で反省しろと言われ引き下がった節三を、母のクニとミツが待っていた。
いきなりミツが
「よかったな、節三。先方さんは生きているんだと。巡査が言っていた意識不明になった、というのは、ただ寝ていただけのことだと、ただ、足の骨が折れて、夜中には、吐き気がして、夜中ええらい騒ぎになったらしいがな、それを聞いた巡査が父さんからお金をだまし取る芝居を作ったらしい、父さんもどの位、渡したか言わなかったけど相当のお金だったんだろうね、巡査は少しだけ先方さんに渡すと、そのままいなくなったということだ。花輪村の駐在に行ってそれがわかってな、血が昇ってどなたらしいけど、バツが悪いと思ったのか分からないけど、お前や私らのことを考えるといくらかホットしたって訳だ。帰りはお前の道場へ寄って師範とお会いになり、お前を通わせますからよろしくと、お願いして来てね、道中父さんと兄さんは、節三にはお灸をすえるつもりで黙っていようと示し合わせてきたようだ、よ」
節三はくたっと腰を落とした。
クニが
「喧嘩はやめられねぇのか」
とつぶやいた。
「うん」その返事は、するともしないとも取れる低い声だった。
「明日から勉強も道場も真面目に通いなさいよ。今日は早く寝なさい」
ミツは立ち上がりながら上機嫌で節三の肩をポン、ポンと叩いた。
事の前後が理解できないまま、いつの間にか深い眠りに節三は、あくる日、相変わらずの破れ袴に二人分の弁当を持って学校に行ったが、先生の眼を盗み教室を抜けだし、道場に向かって一目散に駆けだした。