イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

アルト アディジェ ピノ ネロ “サンクト ヴァレンティン”

2015-10-10 21:39:51 | イタリアワイン

今回抜栓したイタリアワインはアルト アディジェ ピノ ネロ “サンクト ヴァレンティン”(Alto Adige Pinot Nero “Sanct Valentin”)2006です。

色調は奥が見通せる、一点の曇りのないピュアなルビーレッド。香りはスパイシーでラズベリーの中に、時折レッドカーランツが割り込んできます。それに灌木、腐葉土、煙草の香りは、さながらラズベリーの果樹園に迷い込んだような感じです。ぷっりとした柔らかな酸とシルキーなタンニン、洗練された輪郭の鮮明な果実味。味わいは複雑とか重層的ではなく、と云って単調ではない、深淵は奥深さがあり。寡黙で優雅な印象を残します。

5年間のエイジングですが、未だに若々しい外観に思わず見とれてしまいます。それは、ファションモデルのランウェイでのドモンストレーションを見ているような、アピールはするけれど、媚びることのない美しさがあります。とにかく訴えてこない、しかし、美味しいなと感じる万感の思いにしっかり持っていかれてしまいます。味わっている最中に脳裏を過ったのが、雉と猪を食べたくなったことです。清楚で上品に感じるのに、ガッツリ肉を食べたくなりました。