秋草に鹿図鐔 (鍔の歴史)


秋草に鹿図鐔 古美濃
銀地を魚子地に仕上げ、文様部分が極端に高い美濃彫独特の描写方法で秋草に鹿の戯れる、まさに豊穣の秋の様子を表現した作。萩と鹿の取り合わせは古歌にあり、我が国の秋を象徴する景色の要素。この鐔ではさらに菊花と女郎花を組み合わせ、印象を深めている。
美濃彫の鐔は、多くが赤銅を素材とし、金銀の色絵を施している。ここでは銀地に替え、金と赤銅の色絵で常に見る風合いとは異なる印象を鮮明にしている。
萩と菊の咲き乱れる合間を鹿が駆け抜ける、という場面かというと、そうではなさそうだ。鹿と秋草は各々が欠くことはできない素材で、風景としては単なる組み合わせ。むしろ秋草という文様の中に鹿を点在させている。確かに秋草だけでも鐔になる。文様表現として見事に成功している例である。73ミリ。


秋草に鹿図鐔 古美濃
銀地を魚子地に仕上げ、文様部分が極端に高い美濃彫独特の描写方法で秋草に鹿の戯れる、まさに豊穣の秋の様子を表現した作。萩と鹿の取り合わせは古歌にあり、我が国の秋を象徴する景色の要素。この鐔ではさらに菊花と女郎花を組み合わせ、印象を深めている。
美濃彫の鐔は、多くが赤銅を素材とし、金銀の色絵を施している。ここでは銀地に替え、金と赤銅の色絵で常に見る風合いとは異なる印象を鮮明にしている。
萩と菊の咲き乱れる合間を鹿が駆け抜ける、という場面かというと、そうではなさそうだ。鹿と秋草は各々が欠くことはできない素材で、風景としては単なる組み合わせ。むしろ秋草という文様の中に鹿を点在させている。確かに秋草だけでも鐔になる。文様表現として見事に成功している例である。73ミリ。