toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「人魚の石」 田辺青蛙

2018年01月27日 | 読書日記
こういうのもファンタジーになるのだろうか。朱川湊人というより三崎亜記に近い異様な世界のお話。
誰も居なくなった荒れ果てた寺に、継ぐために元住職の孫の由木尾が帰って来るところから物語が始まる。
庭にある池を掃除しようと水を抜くと、池の中に異様な人物がいた。それが由木尾が後にうお太郎と呼ぶことになる人魚との出会い。そして由木尾とうお太郎との奇妙な生活が始まる。

特別な石を見つけることができる家系の由木尾の他、その売れない小説家の兄、生魚の石の少女に天狗と奇妙な登場人物(妖怪?)が多数登場する。

はじめ異様な設定にちょっとついて行けなかったけれど、連作小説風になっていて読み易い事と、次第に世界が理解できて来たことで途中からはスイスイ読めるようになった。
ただ何の説明もないまま話が進んでいき、徐々に分かってくるという書き方が多用されており、話の持って行き方がイマイチなので、理解しにくいことこの上ない。それに、細かい矛盾点も多い。例えば、うお太郎がしばらく会わなかった間に「電車に乗って町まで行った。」と言ってたのに、その後一緒に電車に乗ったとき「電車に乗ったこと有るのか?」と聞くのも変だしうお太郎が「小さい頃に一人でね。」と言う答えている。

最後は途中で知り合ったもう一人(一匹?)の人魚が主人公になってやたらとブラックな終わり方になるけれど、内容が理解しきれない上、伏線のまま残っているような状態で取り残された感じ。





徳間書店
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「巨乳の誕生」 安田理央

2018年01月01日 | 読書日記
献本で当選した本。

日本人が、また世界中の男性たちが、女性の胸に対して歴史上どう考えてきたかを考察した一冊。

江戸時代において女性の胸は単に子供に乳を与えるための存在で性の対象ではなかったというところから始まって、海外の事情にも多少触れつつ、現代に至るまでのとらえられ方を主にアダルト系のメディアを中心に解説されている。

女性の胸がどう呼ばれてきたか、その原点は何なのかと多くの資料にあたって詳しく調べた内容が一つの主題となっているが、それにまつわる様々な事柄についてもかなり掘り下げて研究されている。
多くの男性に好まれる(マスコミに取り上げられる?)胸の大きさ(や体形)の変遷とか、言われてみればそんな事が有ったなぁ・・ということがきちんと時系列で整理されている。
単に「おっぱい」好きな人が気ままに書いた本かと思って読むと、完全に裏切られるれっきとした学術書となっている。

後半はAV中心の話になって行き、昔お世話になった宇宙企画とか懐かしい名前も登場するけれど、多くはほとんど聞いたこともない女優さんばかりで写真も無いのでイマイチ理解しにくい部分も。
最後に年表でまとめてあり、そこに写真も何点か載っているけれど小さすぎて見えません。





太田出版
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「代理人」 本城雅人

2018年01月01日 | 読書日記
日本ではあまり聞かないプロ野球選手の代理人が主人公にした連作短編集。

目の付け所が新鮮だけど、それを生かし切れていない感じ。
代理人がスポーツ新聞で大きく取り上げられるとか、現実では無理な設定がリアリティさを無くしている。
物語そのものは良いものもあるし、イマイチなものもあり玉石混交といったところ。





実業之日本社
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