殺人事件が起きた。
遺留品や目撃情報からすぐに容疑者が特定され、裏付け捜査が始まる。
捜査が進むうちに関係者が過去の事件に関わっていることが分かり、謎が深まっていく。
どんどん引き込まれていく展開だけど、この物語には特定の主人公が居なくて、警察官の捜査員達が各々捜査することで真相に迫っていく構成。
全体を通しての主人公がいなくて、それぞれの捜査員がそのパラグラフの主人公になるので、物語の進行に一貫性が無いうえ、捜査対象者などとにかく登場人物が多いので読んでいて混乱するばかり。
パラグラフが変わるたびに捜査員と捜査対象者が変わっていくので、この人は誰で何のための捜査なんだっけ?状態で、混乱状態のまま読み進めてそのうち分かって行くか、それでも分からないときは読み返さなければ思い出せなくて、なかなか先に進めない。
パラグラフを細切れにしないでもっと長いスパンにするとか、巻頭に登場人物の一覧表をつけてもらわないとスラスラ読めない。
さもなければ、ありきたりだけど一人の刑事を主人公にして、その人を中心に物語を進めるとか…。
捜査が進むにつれ、単純な殺人事件と思われたものが、もっと大きな事件の一部であることが徐々に分かってくる。
物語の3分の2くらいのところで政治介入により全容解明前に容疑者を逮捕せざるを得なくなる。
逮捕された容疑者は黙秘権を貫き、ここでタイトルと内容が一致する。
しかしそこまでの流れで、容疑者は真犯人では無く、何らかの事情が有って黙秘してることは明らか。
その事情を明らかにするところがそこからの主な展開となるが、その時点でほとんど見えてしまう。
政治家の圧力との戦いがその後の展開の要かと思ったら、尻つぼみであっさりと終わってしまった感じで、最後はちょっと拍子抜け。
途中までの展開が良かっただけに、詰めが甘い感じ。
それにしても三宅刑事の聞き込みの時の一般人に対する口のきき方は問題じゃないの??
角川書店