toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「無限の玄/風下の朱」 小谷田奈月

2018年08月26日 | 読書日記
タイトル通り「無限の玄」と「風下の朱」の2作を収めた一冊。

「無限の玄」はブルーグラスバンドの一家がツアーから戻ると、一足先に戻っていた父親が死んでしたところから物語が始まる。
不審死ということで警察が遺体を運んでいくが、翌未明に父親が現れる。
しかしその父親はその晩亡くなってしまう。
そして警察がその遺体を運んでいくが、翌朝また父親が現れる。
以降同じことが毎日続く・・・という三崎亜記の出来損ないのようなシュールなお話。
そして良くわからないラスト。

「風下の朱」は「無限の玄」よりは面白かったけれど、やっぱり良く分からなかった。





筑摩書房
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「5分後に恋の始末」 橘つばさ、桃戸ハル

2018年08月25日 | 読書日記
どういうわけかまたまた3人の女子高生の物語。
と言っても彼女達が主人公だったり、3人の中の誰かがちょこっとだけ絡んだりと、バラエティーに富んだ短編集。

読み始めてすぐ、これは選択を誤ったと思ったけど、意外なひねりが有ったりして割と面白い。
一編が短くて読み易いのも良いと、読み進めるとなんだか月並みな話ばかりになる。
と思うとまた一ひねり有る話が出てきたりする。

どうも作者が二人と言うのは別々に書いていて、どっちか分からないけどどちらかが面白い話を書いて、もう一人が月並みな話を書いていると思われる。

面白い方の話だけ纏めてくれたら読んでみたいと思うけど、今のままだったらもうお腹いっぱい・・・。





Gakken
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「翡翠の色の、君だけの夏。」 渡波みずき

2018年08月24日 | 読書日記
全く偶然だけど、これで高校生が主人公の小説が4連続。
でも、どれも自分の高校時代と違い過ぎて、高校生に戻った気分にはなれないな(笑)、

で、この本。
「翡翠館」、「ホラー」、「ミステリー」と来たら、本好きなら誰でも綾辻行人の本格ミステリーを連想する。
期待して読み始めると、出だしからすぐに勘違いに気付く。
ホラーっぽいのは翡翠館に一人で泊まった夜の出来事だけ。
それも、詳しい説明はないけれど、どうも本人の幻想ってオチ?

ストーリ展開は必然性が全く感じられない展開の連続でちょっと強引な感じ。
一応伏線らしいものは回収された感じで、物語としてまとまっているようだけど釈然としない。

別荘ではじめて電話に出たとき、その電話機は「この電話にはボタンが無くて保留にできない」と描写されているのに、次に電話に出たときには、「保留ボタンに指を添えながら・・・」と記述がある。
綾辻行人のような本格ミステリーの場合は緻密さが要求されるのに・・・・。
まあミステリーとは名ばかりで、翡翠館にちょっとした秘密が有ったという程度のお話だから良いか。。
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「南西の風やや強く」 吉野万理子

2018年08月16日 | 読書日記
意図せず3冊続いて中高生が主人公の本だった。
その中ではこの本が一番リアリティに富んでいて読みごたえもあった。

苦手だった同級生とふとしたきっかけで親友になったり、その親友との別れと再会など、自分にも思い当たることが有ったりする。

小六、中三、高三の時の話から構成されているけれど、その間のことが抜けている。
小六の時はじめて苦手だった同級生と話をしたのに、中三の時には親友になっていたけど、その過程も読みたかった。






あすなろ書房
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「わたしが少女型ロボットだったころ」 石川宏千花

2018年08月14日 | 読書日記
突然自分がロボットだと思い込んでしまった少女の話。

作品中には書いては無いけど、タイトルから想像するに、過去にロボットだと思い込んでいた自分のことを振り返ったという事なのだろうか・・?


途中に何度か意味ありげな描写が挿入されていて、もしかしたら本当にロボットと言うSF?という構成になっているけど、最後まで真実は明かされない。

設定はどうあれ、ストーリも面白いし、文章も読み易くあっと言う間に読んでしまった。
何事も素直に受け入れるまるちゃんは素晴らしい。。







偕成社
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「水槽の中」 畑野智美

2018年08月14日 | 読書日記
女子高生の日常の物語。

友達と遊んだり、恋愛や進路に悩んだりとどこにでもありそうなお話。

個人的には子どもの頃から鉄腕アトムを見てお茶の水博士になりたくて、そのまま工学部に進んでエンジニアになった私は進路に悩むことは無かったし、ほぼ男子校で恋愛に悩むことも無かったから遠い世界の話と感じて読み終わった。
でも結構面白く読めました。


ちなみに私の通った高校の卒業式は生徒だけで仕切ってお祭り状態だったけど、普通は違うのかな・・?






角川書店
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「釣り仙人」 井川香四郎

2018年08月11日 | 読書日記
読む本が無くなってしまったので緊急調達した本。
取りあえず何でもよかったのでタイトルで選択。
もちろん「釣り」で決めました(笑)。

シリーズはSNSでの感想で名前だけは知っていたけど読むのははじめて。

シリーズの途中で登場人物の関係が良くわからない。
「はぐれ長屋」シリーズは毎回しつこく説明が入るのがちょっとうざいけど、たまたま読む人には助かってるんですね(笑)。

そんなわけで人物の背景が良くわからないことも有って、私にはイマイチでした。
悪役はとことん悪い人で、最初の方で想像した通り。
全体的にちょっと浅い感じ。
ストーリも登場人物の相関も思った通りで、もうひとひねり有ったら良かったのに・・・。

4話構成で、最初の2話は独立した話。
後半の2話は続いている話。

主人公(とその知り合い達)は釣りが好きらしいけど、釣りの場面は最初の話でちょっと出ただけでした。
その後では、一緒に釣りをする友人みたいに触れるだけで、釣り好きにはちょっと残念。







ベスト時代文庫
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「七緒のために」 島本理生

2018年08月08日 | 読書日記
表題作と「水の花火」の2作を収めた短編集。

どちらも、つまらなくはないけれど、最後まで何が言いたいのか良くわからない。
それぞれ、女子中学生、女子高生の同級生との日常を描いたもの。

この作者とはちょっと合わないかも・・。





講談社
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「リトル・バイ・リトル」 島本理生

2018年08月02日 | 読書日記
今年の直木賞作家はまだ読んだこと無かったので取りあえず目についたこの本から。

表紙の内容は全く関係ない様で、母子家庭で異父妹と暮す高校を卒業したばかりの女性が主人公。
イントロダクションがひたすら続いていつ物語が始まるんだろうと思っているうちに終わってしまった。

でもまあ面白く読めたから良かったことにしておく。。






講談社
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「天意を汲めるか」 鶴石悠紀

2018年08月02日 | 読書日記
まず最初に5ページに渡って登場人物の一覧が載っているの驚かされる。
本文に新しい人物が登場するとその都度見るようにしていたけど、結構詳しく書いてあったりするのでその人がその後どうなるのか分かってしまう。
まさに津波の場面で初登場した人物が、「津波で死亡」なんて書かれているとこんなモブキャストまで・・と思ってしまう。
ちょっと書き過ぎじゃないのかな。

2025年に遠州灘を震源とする大地震が発生、その後大津波が太平洋岸の各地を襲うところから物語が始まる。
地震の発生メカニズムはそれらしく書かれているけれど、図が無いと上手く理解できない。
折角色々調べてリアリティが有るように書いたのだろうにちょっともったいない。
それにしても津波の描写は凄惨を極める。
「日本沈没」を連想してしまった。
迫力満点の展開だけど、細かすぎるところも。
ある程度の裏付けは有るのかもしれないけれど、どうせ創作したデータなんだから細かい地名と災害の様子をいちいちあげなくても・・・。

災害からの復興にストーリが進むと、とたんにリアリティが無くなってしまう。
作者の理想なんだろうね。
みんなが賛同して、すべてが順調に進んだように書いてあるけど、そんなに簡単に行くかどうか。。
新幹線はともかく、地下鉄をリニアにする意味も説明が無くて(最後の方に効率が良いってちょっとだけ触れたけど)最後まで理解できないまま。
ここでもやたらに細かいデータが登場する。

登場人物一覧の説明で想像ついていたけど、最後はもうオカルトの世界になって行く。
前半が良かっただけに、後半の展開にはちょっとがっかり。。

ところで「植物は、夜間には炭酸ガスを吸収し、酸素を放出する」って記述が有るけど、それって日中の光合成のことで、夜間は呼吸だけになるから逆じゃなかったっけ?








幻冬舎メディアコンサルティング
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「文字の消息」 澤西裕典

2018年08月02日 | 読書日記
いかにも三崎亜記が書きそうなシュールな世界での物語。

年老いた夫婦が知り合いの女性に宛てた手紙だけで構成されている。
文字が降る(正確には知らない間に増えているらしい)世界での出来事が、その降ってきた文字を一文字ずつ貼り付けて作られた手紙に綴られてゆく。

物語が進むにつれ、相手の女性がどんな女性か徐々に明らかにされてゆくが詳細は最後まで不明のまま。
それは一方的な手紙の内容だけで構成されるという手法上仕方ないと思うし、また物語にはあまり関係の無いことであるからだと思うけれど。
と言うよりも、それ以外の諸々の内容も最後まで良くわからない。
最後はそこに住むすべての人達が諦め、絶望の境地になって行ったように書かれているけれど、結局何が起こったのか理解できない。


中編の表題作のほかに、2つの短編が収録されている。

「砂糖で満ちてゆく」も「文字の消息」と同じくシュールな物語。
体が使わない器官から徐々に砂糖に変わってゆくという病気の話。
これだけで、シュールさが想像できると思います。
最後はちょっとホラー。

「災厄の船」もシュールっぽいところも有るけれど、こちらは日本昔話系。

どの話も作者の書きたかったものが何なのか良くわからなかった。







書肆侃侃房
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