toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「原発ゼロ、やればできる」 小泉純一郎

2019年01月27日 | 読書日記
原発について、私自身の個人的な見解は、子供の頃から「原発は夢のエネルギー」と言う電力会社のキャンペーンを信じていて、まさにその通りだと思っていた。
海外で大きな事故が起きたり、国内でも小さな事故が有ったけれど、日本の原発は安全だろうと漠然と思っていた。
ところが福島の事故以来、百八十度考えが変わって、「原発いらねぇ~」と唄う清志郎にすっかり同意。

郵政民営化に政治生命をかけた小泉さんも私と同じ考えだったことがこの本の序章で良く分かる。
この事故が彼が総理の時代に起きていたら、今の日本の状況は随分違ったでしょうね。

本書の内容は、半分は誰でも知ってることで、残りも興味を持って新聞を読んでいればほとんどが聞いたこと有るようなこと。
これだと読んでいて詰まらなくなってしまいそうだけど、一流の政治家の著者は流石。
分かり易い言葉で、どんどん読ませていく。
専門的な事柄も、文系の小泉さんが随分勉強したんだなと感じさせる。
科学的、社会的な様々な事実から鋭い考察を交えながらの説得力は圧巻。







太田出版
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「南極メルトダウン」 北沢栄

2019年01月26日 | 読書日記
読み始めてすぐ幸田真音の「大暴落ガラ」を連想したけれど、物語はすぐに違う方向に進む。
「日本沈没」の世界版と言った話。
南極がメルトダウンして大津波が来るというとき、主人公が避難先に選んだところが我が家のあたりと言うことで、ここに住んでいる限りは大丈夫(笑)。

とにかく読者に対して状況設定や詳細内容などをセリフで説明するので会話が不自然。
専門家たちが会食する場面とか、企業のトップとその腹心の会話がありえない内容。
そんな事、その人だったら当然知ってなきゃ変・・と言うような事ばかりしゃべっていて違和感だらけ。
冒頭は背景の説明が必要だから、この手法でも仕方ないところも有るけれど、最後まで説明会話が出てくる。
あと、聖書の言葉だか何だか分からないカタカナ言葉が何の説明も無くやたらに登場するのには困った。
終わりに近い16項あたりは物語と無関係に、主人個の考えとして著者の思想がひたすら書かれれていてかなり煩わしい。

それにしても、この中途半端なラストは何なの??
著者の思いを物語の形で吐き出しただけ??






産学社
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「スーパーカブはなぜ売れる」 中部博

2019年01月23日 | 読書日記
エンジニアとして尊敬と言うかあこがれている人は、本田宗一郎、池田敏夫、井深大の3人。
この本は、そのうちの一人本田宗一郎か登場する。
憧れの人だから彼に関する本は何冊も読んでいるけれど、この本はホンダ最大のベストセラーで今日のホンダの礎となったスーパーカブに関する本。

エンジニアとしては、一番興味のあるスーパーカブの開発ストーリを期待していたのにその手の話は殆どない。
「本田宗一郎が6ヶ月で作り上げた」・・とかそんなのばかりで開発の苦労話みたいなものは一切なし。
世界各地で、その国の事情に応じたモデルを開発する時に、仕様上で悩んだという逸話が登場するくらい。
つまり、そのように各地で独特の派生機種を開発していったことがベストセラーになった理由というところが本書の言わんとするところかな。。
エンジニア目線を離れると、その地に赴任した責任者や営業マンが色々努力した話が有って、どちらかと言えばそちらの方に重点が置かれているんだけど、すごいなぁと思わせるようなことは書いてなかった。




集英社インターナショナル
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「奈落の偶像」 麻見和史

2019年01月19日 | 読書日記
警視庁捜査一課十一係シリーズ9弾。
と言っても読むのは第3弾の「水晶の鼓動」に次いで2作目。

最後まで楽しめるけれど、犯人の行動が途中で入って来るのこともあり、割と早く犯人が分かってしまう。
それは別に構わないのだけど、捕まった後に犯人が一気に全ての謎解きをする構成がイマイチですね。
それと事件を起こしている途中で共犯者が現れるって言うのはどうなの?
もし彼が現れなければ、犯行が成功していなかったんじゃないの??
あと、ICレコーダ事件を起こした理由がもう一つ理解できない。
捜査の重要な手掛かりとなってスト-リ上必要だったのかもしれないけど、逆に犯人にしてはそのリスクを冒してまでする意味が読んでいて伝わってこない。

と勝手なことを書いてきたけど、面白かったです。





KADOKAWA NOVELS
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「青山に在り」 篠綾子

2019年01月16日 | 読書日記
久しぶりに良い小説を読んだ気分です。
細かいところで色々言いたいことがあるものの、全体としては素晴らしい。

読み始めてすぐに分かるように、着想は間違いなく「王様と乞食」。
設定は同じでもストーリ展開はまるで異なる。

主要登場人物が「正義の味方と悪者」にはっきり分かれていて、正義の味方はどこまでも清廉潔白であるのに対して、悪役は性格や考え方がゆがんでいる。
生い立ちや境遇である程度は分かるけれど、ちょっと極端にはっきり書き分けられすぎている。
そういう人物が登場するのは構わないけれど、みんながみんなそんな人ばかりで、そこのところがちょっと・・・。

悪役の宗像舎人のとんでもない考えが結局正解だったという流れも気に入らない。
なんの脈絡も無く気づいてしまったところがあまりに不自然。
結果的に舎人が最初に気づくのはストーリー上良いとしても、そこに至る思考過程が欲しかった。

最後の場面もあれで良かったのか。もう少しもって行きようが無かったのか…。
そして何と言っても、真実を知った左京と時蔵そしてお通がこの後どうなるのか。。
ここで終わっちゃうの??

と色々書いてきたけど、最初に書いたように全体としては良い作品でした。




KADOKAWA
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「神様のお恵み」 佐藤愛子

2019年01月14日 | 読書日記
オカルトチックな短編集。

表題作
自叙伝風短編。
自分に起こった出来事をネタに小説を書いていたが、やがて何も起こらなくなり書けなくなってしまう。
そんな時、娘と二人で北海道の別荘に避暑に行く。

「夏が過ぎて、そして秋」
エッセイ風短編。
飼い犬が子どもを産んでしまう。
夏になり子犬を連れて北海道の別荘に行き、子犬の貰い手を見つける。
秋になり家に戻り、12月になると・・・。

「怪談石切が原」
御伽噺風短編。

「岸岳城奮戦記」
オカルト風短編。
表題作の続編。
小説なのかエッセイなのか・・・。

「玄界灘月清し」
そのまた続編。

「幽霊騒動てんまつ記」
小説と言うよりドキュメント?







青志社
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「旬のスケッチブック」 俵万智

2019年01月09日 | 読書日記
俵万智のどこが好きかって、実は「顔」なんです(笑)。

「サラダ記念日」がブームの頃、短歌には全く興味が無いのに彼女の写真見てすぐに買いました。
でも当時付き合ってた彼女は、ひとこと「ブス」(笑)。
私の感覚は普通とはズレてるのかなぁ・・・?
私にはど真ん中なんだけどな。

と言うことで彼女を通じて短歌を読むようになったんだけど、どうも良く分からない。
物理学の解説書のように直球勝負で、時には数式を駆使して分かり易く書いてあるようなものが好きなのに、短歌はひとつの単語の意味を裏まで読んだりで、じっくり読んでもイマイチ。

この本は1月から12月までテーマを決めて、それに対してのエッセイと、彼女の御母堂の一言と、関連する短歌とその解説から構成されている。
この解説を読むとやっぱり短歌は奥が深くて、単純な私にはついて行けない世界だなぁ・・・と感じてしまう。
テーマの選定は意外だったり月並みだったりだけど、エッセイの部分は独自の切り口で楽しく読める。
それにも増して以外にも(?)面白いのが「母のひとこと」。




角川文庫
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「しゃばけ読本」 畠中恵

2019年01月07日 | 読書日記
某サイトで当選して献本されたのですが、すっかり勘違いしてました。
畠中恵は何冊も読んでいましたよ。
で、送られてきた本を見たとき、最初に思ったのは「あ、違う!!」(笑)。
何と私の中で高橋由太のオサキシリーズと畠中恵のしゃばけシリーズが混乱してました。
読んだのは高橋由太のオサキシリーズ。
畠中恵のしゃばけシリーズはまだ未読でした。
どこでどう間違えたものか、すっかり勘違いしてたようです。

と言うわけで、しゃばけシリーズを一冊も読んでいないのに何と「しゃばけ読本」を読むことに・・。
まあ、シリーズを読んでなくても何か不都合があるわけじゃないし、何の問題も無いのですけど、実に惜しい。
やっぱりこの手の本は、元のシリーズを読んでないと楽しさ半減ですね。

所謂、よくあるシリーズの解説書のわけですが、シリーズを読み続けてる人には「あーそうね。」とか「そういうことだったの!」と言う内容でしょうが、読んでない私にはただただシリーズへの興味が湧いてくるだけの本でした。

で、早速本屋さんに行こうと思うのでありました。





新潮文庫
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「ながい坂」 山本周五郎

2019年01月07日 | 読書日記
徒歩組の平侍の家に生まれた阿部小三郎(のちに三浦主水正)の物語。

複雑な人間関係は最初に主要登場人物一覧があるし、用語の注解も有って分かり易くて良い。
ただ、注解は要らないだろうという用語まで解説されているのはちょっと余計。

向上心旺盛で文武両道の小三郎の少年時代は、考え方が生意気すぎて共感できないが、何故か殿様に気に入られて役人に登用される。
それからの行動はすごい。ただ凄すぎて、現実感が乏しいところもある。
しかし、それは物語が進むにつれて気にならなくなっていく。
ちなみに時刻の表記も「午後3時」とかになっているけど、これも最初は違和感が有ったもののこれはこれで分かり易くて良い(笑)。

前半は「巳の年の騒動」及び「拾躒紀聞(しゅうれききぶん)」の失われた7巻の謎解きにもなっている。
後半はクーデター勢力に対抗するための隠密作戦と言ったところか。。

なんだかあっちに行ったりフラフラしてストーリーの流れが良くつかめないまま話が進んでいくけれど、最終盤になってテーマがはっきりしてからは面白くなる。
行動を起こす場面は感動的ですらある。


そもそも役人になりたいという動機が、今まで有った橋が突然毀されて(壊されて)しまったから・・・ということだと何度も繰り返し語られるけど、これが理解できない。
まぁさして重要な項目ではないし、ストーリーには何の影響もないからどうでも良いけど・・。

章が変わった時、突然物語が動いていることが多々有ってちょっと分かりにくい。
一番驚いたのは、三浦姓に変わって、あんなに嫌っていたつると結婚していたこと。
巻頭の主要登場人物一覧で結婚することは分かっていたけれど。

突然、江戸の長屋で一人暮らしを始めていたことも。。
そんな感じでストーリーがワープしてたりして、それが関係の無い人の会話でようやく繋がったりと構成が凝り過ぎで分かりにくいところが多いけれど、それがいかにも文学らしくていいって言う人も居るのかも。
個人的にはどうも分かりにくくて、読んでいて嫌になりかけたことも何度か・・。

昔から名作だと評判の本だけど、私にはそうでもなかったです。





新潮文庫
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「流れの勘蔵」 佐伯泰英

2019年01月06日 | 読書日記
「鎌倉河岸シリーズ」もこれで終了。
ここで終わっちゃうのかと言うのが一番。
佐伯泰英の中で一番好きなシリーズなのに・・・。

政次が親分になってからの活躍が読みたかったのにな。
そして亮吉とお菊はどうなったんだ??

お熊と言えば、「はぐれ長屋」なんだけど(笑)



ハルキ文庫
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「嫁入り」 佐伯泰英

2019年01月05日 | 読書日記
「鎌倉河岸シリーズ」第30巻

豊島屋の十右衛門の祝言の他に、小夜の婚約および青物役所での騒動、そして十右衛門の昔の過ちからの騒動、祝言当日の掏摸騒ぎと盛りだくさん。

最後はみんなで京に貸切船で旅たち。




ハルキ文庫
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「島抜けの女」 佐伯泰英

2019年01月03日 | 読書日記
「鎌倉河岸」シリーズの31巻。
一緒に買った30巻より先にこっちを読んでしまった(笑)。

老人クラブ連合会はみんなで京都旅行。
宗五郎の留守中に政次は寺坂を通して奉行所から呼び出される。
その頃菊小僧が行方不明になり、3つの話が交錯する。

老人クラブの面々は途中お伊勢参りやら大阪見物やら。
(酔いどれ小籐次と同じネタの使いまわし??)

菊小僧はやがて発見されるけれど、本筋とは何の関係も無く、いつもの捕物話へと展開してゆく。
そこで終わりかと思うとおまけのような捕物劇が有って亮吉が手柄を立てるも大けがをおってしまう。

看病にあたったお菊とはそろそろ。





ハルキ文庫
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「不良老人の文学論」 筒井康隆

2019年01月01日 | 読書日記
2004年から2018に書かれた、本に関するエッセイ、書評、選評、解説などをまとめたもの。

作品の紹介にもなっていて、それが魅力的に書かれているから読んでないものは読みたくなってしまう。
既読の作品に関しても、「そういう見方もあったのか」と思わせるところは流石筒井康隆先生であります。

筒井康隆の新作も読んでみたいですね。
その昔、赤い背表紙の新作が出るたびに買っていたことを思い出します。





新潮社
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