ご存知、昨年の直木賞受賞作。
川端裕人に「夏のロケット」と言う作品がある。
高校時代にロケットにあこがれていた仲間が、自分達でロケットを飛ばす話だけど、タイトルからこの作品も同じように下町の工場でロケットを作って飛ばす話だろうと勝手に想像していたが、まるで違う話。
前半は完全に企業小説。
悪質な特許抗争に巻き込まれて会社が危機に陥る。
ところがこれに勝訴(実際は和解)して、逆に多額の資金を得る。
この資金を元手にロケットを開発するのかと思ったらそんな単純な話ではなかった。
バラバラだった社員達が団結して立ち向かって行く様子は感動的だけど、エンジニアの私としてはもう少し技術的なことにも触れて欲しかった。
すでに出来上がって特許を取った技術が最初からある設定ではなく、そこに至る過程とか・・
あと登場人物が、取引先の人や目上の人に対して、自分のことを「俺」って言うのが納得できない。
いくら技術屋でもそんな非常識な人は居ませんよって。。
小学館 1700円
夏のロケット 文春文庫 638円