toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「inventⅡ 覗き窓の死角」 相沢沙呼

2022年09月29日 | 読書日記
中編ミステリの「生者の言伝」と、同じ探偵の登場する長編倒叙推理小説「除き窓の死角」の2篇。

「生者の言伝」は読者だけでなく犯人?までもミスリードさせ、伏線を回収しながら最後にどんでん返しという構成。
夏木蒼汰の「あの計画」って結局何だったの??

表題作「除き窓の死角」の時刻トリックにはびっくり。
かなり苦しいけど、「その手が有ったか!!」って私が知らなかっただけかな??


全体としてキャラ設定と内容が合わない印象。
シリーズ物みたいだから、支持されているのかもしれないけれど、私には違和感しか残らなかった。
このキャラ設定だったらミステリにしなくても面白い作品になりそうだし、ミステリにするなら清水義範の「やっとかめ」のような路線で行った方が良かったのではないかな。
このキャラ設定だと、折角の本格っぽい展開がもったいない。



講談社
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「透明人間は密室に潜む」 阿津川辰海

2022年09月25日 | 読書日記
ノンシリーズのミステリが4編。

表題作「透明は密室に潜む」は透明人間が殺人事件を起こした密室でどこに隠れるかと言う話。
殺人の動機が弱いなと思っていたら最後に謎解きがある。
大げさな設定を良く生かしていると思うけれど、作品としてはイマイチ。

「六人の熱狂する日本人」はドタバタで、オチも面白くない。

「盗聴された殺人」はこの中では一番出来が良い。
本人は本格と言ってるけれど、私は本格とは認めない。

「第13号船室からの脱出」は良く有る人違いの作品。
どんでん返しかと思ったらまたどんでん返し、そしてまた・・・と凝った構成だけど、ご都合主義だらけの設定で興醒め。





光文社
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「天龍院亜希子の日記」 安壇美緒

2022年09月24日 | 読書日記
人材派遣会社に勤める27歳の田町譲が主人公。
会社が結構ブラックで、仕事・同僚・恋人のことで色々有る毎日。
そして、偶然見つけた昔の同級生のブログを読むという設定で、その日記の内容が話の切れ目に挟まるんだけど、当然ながら内容はストーリとは全く関係ない。

物語が進んでそれなりの結末になるんだけど、最後まで日記が何だったのか意味不明。




集英社
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「楽譜と旅する男」 芦辺拓

2022年09月23日 | 読書日記
楽譜がキーワードになる短編集。

芦辺拓はもう読まないと決めていたけれど、タイトルに惹かれて手に取ってみた。
けど、やっぱり失敗。

物語はそこそこ面白いけれど、結末はお粗末。




光文社
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「異次元の館の殺人」 芦辺拓

2022年09月21日 | 読書日記
どうも芦辺拓とは相性が悪いようで、当たったためしがない。
もう読むのは止めようかな。。

ミステリーにパラレルワールドとのスリップとか持ち込んだら反則でしょう。。
直接のトリックは別のところだったとしても。
推理の手助けのためだけにしたとしたら興醒め。

あとがきにSFミステリーと書いているけど、SFとミステリーを合わせたら何でも有りで、夢オチとおなじでしょ。
それにこの程度の内容で本格ミステリとはとても言えないと思うけどどうでしょう。。





光文社
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「人間タワー」 朝比奈あすか

2022年09月19日 | 読書日記
運動会で6年生全員によって人間タワーを作る小学校に関係する短編集。

第三話から第五話は主人公が代わりながら話が繋がって行くけれど、他の3話は登場人物が微妙にリンクするものの独立した物語になっている。

どの話もつまらなくは無いけれど、どれも主人公の思考が特異過ぎたり設定がイマイチだったりで物足りない感じ。

最後の第六話はそれまでの結論を示す形になってるけれど、ちょっと納得できないな。




文藝春秋
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「イン・ザ・ヘブン」 新井素子

2022年09月18日 | 読書日記
新井素子には珍しいシュールな短編集。
ちょっとブラックだったり、SFチックだったり。

私の思っていた新井素子とは違う感じだった。

「ノックの音が」と言う星新一のタイトルみたいな作品の冒頭、「21世紀に入って20年くらいしてから、凄まじい勢いで、未知の感染症が、人間社会に蔓延した・・」って2007年に発表された作品なのに。。。




新潮社
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「火のないところに煙は」 芦沢央

2022年09月16日 | 読書日記
ノンフィクションドキュメント風ホラー小説短編集?

文中で著者が怪談話と書いているけれど、怪談と言うよりは奇妙な物語と言う感じ。
私には朱川湊人の「箱三輪探偵団」に似たテイストに思えた。
ノンフィクションの形式にすることで怖さをより大きくして、最終話でクライマックスに持って行くという作戦なのかな?
どれも何となく中途半端な物語だなと思っていたら、最終話で解決しましたというところだけど、個人的にはあまりうまくいっている感じではない。
完全なフィクションの形で、榊さんがバシバシ解決していくという作品にした方が良かったかも・・。




新潮社
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「さいとう市立さいとう高校野球部 おれが先輩?」 あさのあつこ

2022年09月15日 | 読書日記
シリーズものらしいけれど、はじめて読む。
「バッテリー」のような内容かと思ったら全く違った。

主人公のエースピッチャの一人称で語られる形式になっているけれど、話がすぐに逸れていって物語とは関係の無い話になって行く。
作者はその話が面白いと思って書いているんだろうけれど、最初のうちは面白がって読んでいたものの、同じような内容ばかりだし、おかげでストーリがちっとも進んでいかないので嫌になってしまう。
その部分が無ければ4分の1くらいの分量になりそう。

折角ストーリ展開が面白いのに読む気が失せる。。




講談社
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「地図とスイッチ」 朝倉かすみ

2022年09月14日 | 読書日記
同じ日に同じ病院で生まれた二人。
母親同士も知り合いだった。
そんな二人が、本人同士は知らないまま(読者には分かっている)微妙にかかわりを持ちながら生きていく。
この流れでドラマチックな展開が待ってると思いきや、そのまま終了してしまう。




実業之日本社
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「流れる星をつかまえに」 吉川トリコ

2022年09月13日 | 読書日記
はじめましての作家の短編集。
主人公は全部違うけれど、登場人物が微妙にかぶっていたり、ストーリがかすかに繋がっていたりする。

冒頭の「ママはダンシング・クイーン」は、意味不明の言葉だらけで調べながら読むのが大変だったけど、内容は面白かった。
それで期待して読んだ2作目以降はさっぱり・・・。
最後の「プロムへようこそ」が少し良かったくらい。

短編集としたらイマイチだけど、全体で一つの長編と思えば、ストーリがあちこち飛んで統一感が無いうえ中だるみがあるものの、少しは良いかも。。、





ポプラ社
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「三世代探偵団 春風にめざめて」 赤川次郎

2022年09月11日 | 読書日記
調べてみたら2作目の「枯れた花のワルツ」を読んだのが2年半前で、設定とかすっかり忘れてた。
しかも最初の場面は未読の3作目の「生命の旗がはためくとき」から繋がっているようで、特異な設定にちょっと戸惑う。
前作までに説明されていることを改めて説明し直したりしないけど、分からなくても大きな問題は無いし、読んでるうちに何となく思い出してくる。

相変わらず登場人物が多くて、別の人と取り違えて混乱するところも有ったけれど、物語自体は単純ではないもののそれほど込み入っている訳ではないので付いて行ける。

暑くて緻密なトリックの本格派なんか読んでいられるか!!・・・と言うようなときにお勧めの一冊。




文藝春秋
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「くらやみガールズトーク」 朱野帰子

2022年09月10日 | 読書日記
朱野帰子は絶妙なタイトルに惹かれて何冊も読んでいるけれど、短編集はこれがはじめて。
今まで読んだものとはずいぶん方向が違った。

どれも重いテーマでホラーチックで、私の好みで言えば玉石混淆と言ったところ。
一番短い「ガールズトーク」、「子育て幽霊」、「変わるために死にゆくあなたへ」、「帰り道」が良かった。

「帰り道」はこの前に読んでいた青山七恵の「ブルーハワイ」に収録されていた「わかれ道」と同じモチーフの作品。

それにしても「藁人形セット」なんか売ってるんですね。
検索してみたら色々有ってびっくり。そんなに需要が有るなんて・・・・。






角川書店
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「ブルーハワイ」 青山七恵

2022年09月09日 | 読書日記
はじめましての作家の短編集。

「わかれ道」は子どもの頃、よく空想していたことのような物語。
それ以外の作品は、どれも何が言いたいのか良く分からなかった。
こういうのを純文学と言うんだろうか??



河出書房新社
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「教室に並んだ背表紙」 相沢沙呼

2022年09月08日 | 読書日記
これが面白くなかったらもう相沢沙呼を読むのは辞めようと思って手に取った一冊。
大当たりではなかったけれど、私の相沢沙呼史上一番良かった。

まったく共感できなかった「雨の日は学校に行かない」と同じく中学生達が主人公で、設定が特殊過ぎて着いて行けなかった「卯月の雪のレター・レター」と同じテーマの短編集。
「雨の日は学校に行かない」を「卯月の雪のレター・レター」の手法で作り変えて完成させたと言った感じかな。

「雨の日は学校に行かない」と同じく登場人物が微妙に重なっていて、主人公が代わりながら同じエピソードをそれぞれの視点からとらえてるというスタイル。
どうでも良いけど、注意深く読んでいないと、同じ図書館を舞台にした2つの時間の物語で構成されていることを見逃すかも。。
「しおり先生」と言うキーワードに惑わされるって言うのも有るけど、並べ方も絶妙な感じ。
(続編で三崎さんが司書になってたらやり過ぎだけど(笑)・・・)
ラストで三崎さんに声をかけたのがあおちゃんとはっきり書いてないところがちょっと気にいった。

あっちの話のあの部分がこっちの話の伏線になっていたりと、とにかく複雑に絡み合ってるのを楽しむのも面倒くさいけど面白いかも・・。

ただ、読書で救われたというのはまだ許せるけれど、いじめられっ子や協調性の無い子が読書に逃げるような書き方をしてるのが納得できない。




集英社
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