toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「底惚れ」 青山文平

2021年11月29日 | 読書日記
どっかで読んだことのある設定だと思ったら、「江戸染まぬ」の長編化と言うことでした。

主人公の一人称で物語が進むせいで、やけに哲学的だったりするところがちょっと読みにくかったりするけれど、面白かった。
ストーリとしてはちょっと上手く行きすぎなところも有るけれど、結局は銀次に助けられ、信の掌で転がされてたって言うことだったんですね。






徳間書店
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「ミニシアターの六人」 小野寺史宜

2021年11月25日 | 読書日記
ミニシアターで醸成された監督の追悼映画をたまたま一緒に見ていた6人と、その監督の息子がそれぞれ主役の短編集。
映画の内容と、それぞれ観客の人生、そして観客同士が微妙にリンクしていて不思議な雰囲気になっている。
ただ映画と言うものを特別視しすぎているところには全く共感できない。

小野寺史宜の作品は私には、ちょっと微妙な感じ。






小学館
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「赤と青のエスキース」 青山美智子

2021年11月23日 | 読書日記
赤と青の絵の具で描かれたエスキースと言うタイトルの絵を巡る連作短編集。
章構成の形になっているけれど内容は連作短編。

第1章はエスキースのモデルになった女性とその恋人の物語。
第2章はエスキースの額縁を作成した青年が職人として成長して行く話。
第3章は絵とは直接関係無いけれど、話し合いをした場所にエスキースが飾ってあったと言う話。
物語としては一番良かった。

第4章は最後に登場人物が第1章の二人だと明かされる。
最後のエピローグは推理小説の謎解きのような内容。
あれもこれも、タイトルまでも伏線だったのか・・・と言うところでやられた感満載だけど、ちょっとやりすぎじゃないの。





PHP研究所
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「中野のお父さんの快刀乱麻」 北村薫

2021年11月22日 | 読書日記
出版社で文芸編集を担当する田川美希が疑問に思ったことを、中野の実家に暮らす高校教師の父親が解決するという連作短編集。
シリーズ第3弾と言うことだけど、読むのははじめて。

タイトルや益田ミリのイラストから連想される通り、軽く読める感じの作品でギャグも散りばめられているけれど、そもそもの疑問がかなりマニアックのうえ、父親の解答もなかなか難しい。
そもそも全体的に説明が足りていなくて、状況が良く分からなかったりする。
(もしかしてシリーズを最初から読んでいればもう少し分かったかもしれない場面もあるけど・・)
そんなわけで、全体としてはちょっと手ごわい小説。

最後の「古今亭志ん朝の一期一会」は良い話だった。



文藝春秋
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「トリカゴ」 辻堂ゆめ

2021年11月21日 | 読書日記
殺人未遂事件の容疑者が無戸籍だと判明するところから物語が始まる。
以前読んだ中島京子の「やさしい猫」のような話なのかと思いちょっと気が重くなった。
でも背景に重いテーマを抱えながら、冒頭の殺人未遂事件以外に次から次へと謎があらわれてゆく展開にすぐに嵌まって厚めの本も一気読み。
最後にはすべての謎はもちろん、懸案事項も無事に解決してめでたしめでたし。

いつも明るいハナが暗くなりがちな物語の良いアクセントになっている。

お茶の場面はずっと気になっていたから、最後のリョウの忠告で解決したけれど、あまりに不自然だし無くても良いエピソードだから、カットした方が良かったんじゃないかな。






東京創元社
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「山田錦の身代金」 山本薫

2021年11月19日 | 読書日記
いきなり冒頭で混乱してしまった。

「黄金色に輝く穂波の中、(中略)周囲の淡緑色の(後略)」
一体この田んぼはどう言う状況なのか?
収穫時期間近だと思ったらまだ青々してるのか・・・?
ミステリーはどこが伏線になっているか分からないから注意深く読もうと思ってるのに出だしからこれだと大変だなぁ・・・と思いつつ読み始める。

読み進めるとやたらにおかしな点が目に付く。

・その1
山田錦以外の酒造好適米は確かにまた追い付いていないかもしれないけれど、「足元にも及んでいな」は言いすぎでしょう。

・その2
警部の直美が一般人に対して横柄な口のきき方するのは不自然すぎる。勝木主任も口が悪すぎ。事故を目撃した警官も被害者の救助をせず加害車両を追跡しようとするし、兵庫県警はどういう教育をしてるのか?

・その3
醸造用アルコールの添加は三増酒のことを言っているのだろうけれど、大吟醸など特定名称酒に味の調整などの目的で添加されているものまで否定するのはやりすぎ。醸造用糖類は全く不要なものだけど、醸造用アルコールは意味があります。

等々・・・・・。

他にも日本酒の蘊蓄を書きたかったらしく、そのために色々不自然なところが色々ある。
でもその辺りのことには目をつぶるとミステリーとしてはなかなか良くできている。

口のきき方を知らない直美だけど、なかなか鋭く完全犯罪になりそうだった殺人事件を見抜くし、流離いの杜氏は登場するし・・・登場人物の個性やサイドストーリも楽しめる。





幻冬舎文庫
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「開高健の本棚」 開高健

2021年11月15日 | 読書日記
本に関するエッセイなどを集めた本。
開高健の本に対する考えが良く分かる。

写真がカッコイイ。
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「あつあつを召し上がれ」 小川糸

2021年11月14日 | 読書日記
いろんなタイプの短編集。
それぞれの話は一応「食」がテーマっぽくなってるけれど、全くバラバラで玉石混交と言った感じ。

「親父のぶたばら飯」と「こーちゃんのおみそ汁」が良かった。




新潮社
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「始まりの木」 夏川草介

2021年11月12日 | 読書日記
別の作家で同じ匂いの作品を読んだ覚えが有るけれど、残念ながらすぐに思い出さない。

民俗学の准教授と院生のフィールドワークの物語。
連作短編集のような感じで、登場人物は同じ五つの章が独立した作品になっている。
それぞれ違ったテイストの話になっていて楽しい。
シリーズ化して欲しい気もするけれど、最後の章は哲学的で説教臭くなって来ていてこの路線で行くならちょっと嫌だな。。。





小学館
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「幻の旗の下に」 堂場瞬一

2021年11月11日 | 読書日記
堂場瞬一らしいスポーツ小説。

1940年に返上した東京オリンピックの代わりに開催された「東亜競技大会」の実現に向けて努力した青年と、大会に招待された野球チーム「ハワイ朝日」のマネージャの奮闘の物語。
「東亜競技大会」も「ハワイ朝日」も初めて聞く固有名詞で、何となくハードルの高さを感じたけれど、読み始めたら一気読み。
流石に堂場瞬一は上手いな。。





集英社
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「死にふさわしい罪」 藤本ひとみ

2021年11月09日 | 読書日記
どうも藤本ひとみの小説に登場する人物の行動原理が分からい。
いままで読んだのはすべて同じ主人公だから、主人公の和典が分からないのはまだ良いけれど、他登場人もみんな理解できない行動をすえる。

この本はタイトルから想像できるようにミステリで、意外な犯人でびっくり・・・と言う内容ではあるけれど、どうもいろんなところでしっくり来ない。
サイドストーリ的にいろんなことがテンコ盛りすぎることも有るのかもしれない。


あと、おかしい点がいくつか。。

その1
和典が颯の部屋に入ったとき、製図版などが無いことからここで仕事をしていないと考えるけれど、今時は全部CADですって。。。

その2
「靴からヨコエビが出てこなかったら(A)必ず犯人ではない(B)」は間違い。
Bならば間違いなくAは成り立つけれど、AはBの十分条件ではないし、AでなかったらBでないことの必要条件にはなるけれど、やはり十分条件ではない。

その3
和典が颯のパソコンを借りたとき、最初の目的であったブログの原稿には目もくれなかったのは何故?







講談社
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「リボン」 小川糸

2021年11月08日 | 読書日記
冒頭4分の1くらいで主人公が卵から育てた黄色い鳥のリボンが逃げてしまう。
そこから、それまでの話が突然終わって全く別の話が始まる。

それからは黄色い鳥が登場すると言うことだけが共通する短編だったり、何となく前の話と繋がっている感じの短編だったりと言う感じで続いてゆく。
それぞれの話に登場する黄色い鳥が「リボン」なのかどうかは分からないけれど、なんとなくそうかもしれないと思わせる。
(でないと、脈絡のない話を並べただけの本になってしまう・・・)

もうすぐ終わりというところで、冒頭の話の主人公が再度登場する。
そんなこと有りえない!!って分かっていながら感動のラスト。

でもやっぱり途中の話はもうちょっとべつのかたちにしてほしかったな。。





ポプラ社
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「就活ザムライの大誤算」 安藤祐介

2021年11月04日 | 読書日記
自分の就活を思い出した。
私の母校にはゼミと言うシステムも無かったし、理系なので就活も学部の紹介という形で全く違ったけれど、なかなか決まらずに苦労しました。

ゼミの活動や就活での失敗を通して主人公の徹郎や仲間たちがが成長する物語。
いかにも安藤祐介らしい展開の物語でした。

ただちょっと設定が中途半端。
徹郎のキャラがぶっ飛んでいるのを生かしてドタバタにしてしまうか、徹郎をもう少し現実的なキャラ設定にしてリアリティある感じにするかして欲しかった。
折角ストーリが良いのにちょっと残念。





光文社
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「白秋秘唱」 鳥越碧

2021年11月02日 | 読書日記
詩の才能はすごかったけれど、人間としてはろくでもなかったんですね。





文藝春秋企画出版部
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「EV」 高嶋哲夫

2021年11月01日 | 読書日記
近未来(ホンの数年先、もしかしたら来年・・・)のお話。
内容は虚実入り乱れていて、実際5年後にはどうなっているか分からない世界の話だけに、現実とフィクションの境目が分からなくなる。
小説としてはここまでなんだろうけど、物語として続きが読みたい。。。

10年後に読んだらどう思うんだろうか。

素人が(別の世界では一流のプロだとしても)形が似ているというだけで思いついたことで、その後の歴史が代わるようなことが起こるけれど、そこだけはちょっと・・・。





角川春樹事務
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