久しぶりに感動的な作品に出会いました。
フリーランスの放送作家・水車誠太郎が、自分の祖父・勘助の残した手記を仕事の参考にしようと読むという設定で、誠太郎の行動と勘助の手記が交互に記述される形式。
内容がつまらないわけでは無いけれど、特に手記の方は戦場での出来事という重い内容ということもあり、サクサク読めるような本ではないため、読むのに時間がかかってしまった。
少々尻切れトンボ気味に手記が終わり、方向が戦場での兵士と慰安婦の恋愛物語から慰安婦問題へと変わってから物語が大きく動き始め、俄然面白くなってゆく。
明らかに朝日新聞の植村隆がモデルの村椿修一が書いた捏造記事による、在りもしない慰安婦問題やそれに便乗した少女像をはじめとした韓国系の嫌がらせと、慰安婦ビジネスに触れながら、最後の展開は見事。
手記のその後も明らかになり、感動のラスト。
後日譚も見事。
ところでアメリカの夏子の遺族は、どうして番組の夏子が自分達の先祖だと気づいたのだろう。夏子なんて名前使っていなかったはずだけど…。
作中、植村隆に騙されて、慰安婦が強制連行されたと思っていたような書き方になっているけれど、裁判の時に大きく報道された(特に産経に…)から、それが一般的な認識だったとは思えない。
また、元の文章が横書きだったものを縦に編集しなおしたのか、「○○ーー」とか「○○ー」が「○○||」や「○○|」(縦書きだから逆だけど)と思われる個所がいくつかあった。
最初何か意味があるのかと悩んでしまった。ちゃんと校正して欲しい。
日本橋出版