toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「半席」 青山文平

2018年10月21日 | 読書日記
今で言えば刑事が副業で事件の背景を追うといった感じかな。
当時は事実関係さえ認められれば刑が決まるということで、その原因は問題にされなかったらしい。
それで、事件の背景を知りたい被害者ほか関係者などから依頼され、裏の仕事として犯人の動機を調査する徒目付の物語。

裏稼業で私財を肥やすこと無く、出世を目指していながらついつい依頼に答えてしまう。
直接の依頼主は上司の組頭。
この二人、釣りが好きで、同じく釣り好きの親父の経営する居酒屋が密談場所。
釣りの話や季節の魚の話も楽しい。

連作短編集で6話収録されているが、最初の話は別にして、それぞれの話に同じ説明がコピペのように何度も登場するのがちょっとうざい。
「はぐれ長屋」もそうだけど。「はぐれ長屋」の場合は一冊一話で一冊に一度しか登場しないから許せるけれど、一冊に6回も登場するとちょっと・・・。
初出はおそらく雑誌の連載か何かだと思われるけれど、本にまとめる時にはそのあたりを修正して欲しかった。

意外な結末でこの著者の作品の中では一番面白いと思ったが、探偵役の主人公が真実にたどり着くのが突然すぎるかも。。





新潮文庫
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「緑のなかで」 椰月美智子

2018年10月11日 | 読書日記
表題作は北海道の大学の寮に住む3年生の物語。
そしてその話の前日譚となる高校3年生時代を描いた中篇作の「おれたちの架け橋」。

私も大学は学校の寮に住んでいたので思いっきり共感できた。

椰月美智子は4作目で、最初に読んだ「伶也と」が全く好みじゃなかったんだけど、それ以外は結構面白く、この作品は一番。

ただ、主人公の工学部の学生が毎日授業が終わったと言って寮に帰ってくるのが不自然。
工学部は授業の後、毎日実験で明るいうちに帰れるなんてことは稀です。





光文社
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「雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール」 呉勝浩

2018年10月07日 | 読書日記
話が現在と4年前と2年前を行ったり来たり。その上設定が異常過ぎて状況がさっぱり分からない。
何度も読むのをやめようと思ったけれど、中盤になってようやく状況が分かってきてからは少しずつ読み易くなってきた。


葵ちゃんは面白いし、10ページに一回くらいナイスな表現が出てきたりするけれど、やっぱり最後までなじめんかったのは暴力場面が多すぎて過激すぎるせいかも。。。





光文社
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「忙しすぎる人のための宇宙講座」 ニール・ドグラース・タイソン

2018年10月02日 | 読書日記
タイトルの意味は、おそらく各項目が細かく分かれていて、それぞれが短くまとまられているため、細切れで読めるということだと思う。
小説のように物語風だったり、遠くの星から地球を見ると言う普通とは逆の視点から解説したりと変わったアプローチをしている。

翻訳がこなれていないところも所々有って、読みにくかったりするところも。。
接続詞がおかしくて何度も読み直して確認したところもいくつかあって、折角短くまとめられているのにかえって時間がかかってしまうことも・・。

最後は宇宙物理学から離れて哲学的になって行ってしまう。。


訳:田沢恭子
監修:渡部潤一








早川書房
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